契約延長間近のアルテタ&アーセナルに学ぶ「ビッグクラブが若い監督を抜擢して成功するポイント」
リース・ネルソン、ウィリアム・サリバ、ブカヨ・サカ、マルティン・ウーデゴーア、ベン・ホワイト、冨安健洋、ジョルジーニョ。この1年で、主力の契約延長を着々と進めたアーセナルが、いよいよラスボスと握るようです。42歳になったミケル・アルテタとの現行の契約は、残り12ヵ月。ノースロンドンのクラブは、プレミアリーグで最高レベルのサラリーを提示するといわれています。
「デイリー・メール」によると、クラブとスペイン人監督は既に正式な交渉を始めており、ほどなく合意する見通しです。エドゥ・ガスパールSDとの関係は良好で、経営ボードからも絶大な信頼を得ている若きマネージャーに、他のクラブでゼロからチームを創り上げるという選択肢はないでしょう。プレミアリーグとチャンピオンズリーグを制覇…ミッションは明確です。
2016年からの3年半は、ペップ・グアルディオラの下でアシスタントコーチ。ラヒム・スターリングとレロイ・サネにカットインのノウハウを叩き込み、ゴールを量産できるウインガーに仕立てたのは彼の功績といわれています。ウナイ・エメリを解任した古巣に復帰したのは、2019年12月。獲得に動いたエドゥTD(当時)の決め手は、「明快なアイデアを持っていたから」でした。
最初の半年は、プレミアリーグ21試合9勝7分5敗で8位フィニッシュ。しかしFAカップではマン・シティとチェルシーを連破し、就任初年度でタイトル獲得という好スタートとなりました。苦しかった2020-21シーズンは、今振り返れば将来に向けて種をまき始めた1年でした。ガブリエウとトーマスが加わる一方で、ムヒタリアンやエジルを放出しています。
飛躍のきっかけとなったのは、2021-22シーズンの夏の補強です。前のシーズンはローンだったウーデゴーアを完全移籍で獲得し、ベン・ホワイト、冨安健洋、ラムズデール。サカとマルティネッリをサイドに据え、ウーデゴーア、ジャカ、トーマスを中盤に定着させたアルテタ監督は、優勝を狙えるチームを作れると確信したはずです。
この年は2ポイント差でTOP4を獲り逃したものの、2022-23シーズンから2年連続でペップとトロフィーを争っています。ガブリエウ・ジェズス、ファビオ・ヴィエイラ、トロサール、ジョルジーニョ、キヴィオル、ティンバー、デクラン・ライス、カイ・ハヴェルツ…的確な補強が大半を占めるようになったのは、指揮官のコンセプトと強化ポイントが明確だったからでしょう。
近年は、欧州のトップリーグで目覚ましい成果を出す若い指揮官が増えています。レヴァークーゼンを率いてバイエルンの連覇を止めたシャビ・アロンソは43歳、シュツットガルトを2位に引き上げたセバスティアン・ヘーネスは42歳、ボローニャをCLに導いたチアゴ・モッタは41歳。彼らは全員、アルテタと同世代です。
バイエルンが38歳のコンパニと契約したのは、新たなムーブメントに触発されたからでしょう。そんななかで、プレミアリーグのビッグ6の考え方を変えたのは、間違いなくアルテタとアーセナルです。リヴァプールが招聘したアルネ・スロットは45歳。チェルシーが合意に近づいているエンツォ・マレスカは44歳で、ペップのアシスタント以外にビッグクラブでの実績はありません。
若い監督に白羽の矢を立てたビッグクラブが陥りやすいのは、短期間で成果が出なかった際に、指揮官の経験不足をあげつらうことです。躍進したドイツのクラブやボローニャのように失うものがなければ、信頼関係をベースにがんばれるのですが、タイトルを獲得できなければ失敗と捉えるクラブの多くは、忍耐という言葉とは無縁です。
アーセナルの復活に学ぶなら、「指揮官に対する経営ボードの絶大な信頼と忍耐力」「指揮官と連携を取れるエドゥのような優秀なディレクター」「コンセプチュアルなチーム作り」の3点を押さえるべきでしょう。かくいう私も、プレミアリーグ8位&FAカップ制覇という初年度のアルテタと同じ戦績の監督を疑っているのですが…!
話が拡散してしまいました。マンチェスター・ユナイテッドがテン・ハフをどうするのかは、別な場で語るとして、アルテタ監督の話に戻しましょう。ビッグタイトルにリーチをかけた指揮官の次なるテーマは、「選手のフレッシュネスを高め、停滞する時期を最小限にするターンオーバーの導入」でしょう。
サカ、ウーデゴーア、デクラン・ライス、サリバが不在のときの戦い方を確立させなければ、プレミアリーグとチャンピオンズリーグのダブルは難しくなります。優先順位はストライカー、レフトバック、ウインガー、アンカーでしょうか。自らの契約をスムーズに終え、満を持してトランスファーマーケットに向かっていただければと思います。(ミケル・アルテタ 写真著作者/Prime Video AU & NZ)
「デイリー・メール」によると、クラブとスペイン人監督は既に正式な交渉を始めており、ほどなく合意する見通しです。エドゥ・ガスパールSDとの関係は良好で、経営ボードからも絶大な信頼を得ている若きマネージャーに、他のクラブでゼロからチームを創り上げるという選択肢はないでしょう。プレミアリーグとチャンピオンズリーグを制覇…ミッションは明確です。
2016年からの3年半は、ペップ・グアルディオラの下でアシスタントコーチ。ラヒム・スターリングとレロイ・サネにカットインのノウハウを叩き込み、ゴールを量産できるウインガーに仕立てたのは彼の功績といわれています。ウナイ・エメリを解任した古巣に復帰したのは、2019年12月。獲得に動いたエドゥTD(当時)の決め手は、「明快なアイデアを持っていたから」でした。
最初の半年は、プレミアリーグ21試合9勝7分5敗で8位フィニッシュ。しかしFAカップではマン・シティとチェルシーを連破し、就任初年度でタイトル獲得という好スタートとなりました。苦しかった2020-21シーズンは、今振り返れば将来に向けて種をまき始めた1年でした。ガブリエウとトーマスが加わる一方で、ムヒタリアンやエジルを放出しています。
飛躍のきっかけとなったのは、2021-22シーズンの夏の補強です。前のシーズンはローンだったウーデゴーアを完全移籍で獲得し、ベン・ホワイト、冨安健洋、ラムズデール。サカとマルティネッリをサイドに据え、ウーデゴーア、ジャカ、トーマスを中盤に定着させたアルテタ監督は、優勝を狙えるチームを作れると確信したはずです。
この年は2ポイント差でTOP4を獲り逃したものの、2022-23シーズンから2年連続でペップとトロフィーを争っています。ガブリエウ・ジェズス、ファビオ・ヴィエイラ、トロサール、ジョルジーニョ、キヴィオル、ティンバー、デクラン・ライス、カイ・ハヴェルツ…的確な補強が大半を占めるようになったのは、指揮官のコンセプトと強化ポイントが明確だったからでしょう。
近年は、欧州のトップリーグで目覚ましい成果を出す若い指揮官が増えています。レヴァークーゼンを率いてバイエルンの連覇を止めたシャビ・アロンソは43歳、シュツットガルトを2位に引き上げたセバスティアン・ヘーネスは42歳、ボローニャをCLに導いたチアゴ・モッタは41歳。彼らは全員、アルテタと同世代です。
バイエルンが38歳のコンパニと契約したのは、新たなムーブメントに触発されたからでしょう。そんななかで、プレミアリーグのビッグ6の考え方を変えたのは、間違いなくアルテタとアーセナルです。リヴァプールが招聘したアルネ・スロットは45歳。チェルシーが合意に近づいているエンツォ・マレスカは44歳で、ペップのアシスタント以外にビッグクラブでの実績はありません。
若い監督に白羽の矢を立てたビッグクラブが陥りやすいのは、短期間で成果が出なかった際に、指揮官の経験不足をあげつらうことです。躍進したドイツのクラブやボローニャのように失うものがなければ、信頼関係をベースにがんばれるのですが、タイトルを獲得できなければ失敗と捉えるクラブの多くは、忍耐という言葉とは無縁です。
アーセナルの復活に学ぶなら、「指揮官に対する経営ボードの絶大な信頼と忍耐力」「指揮官と連携を取れるエドゥのような優秀なディレクター」「コンセプチュアルなチーム作り」の3点を押さえるべきでしょう。かくいう私も、プレミアリーグ8位&FAカップ制覇という初年度のアルテタと同じ戦績の監督を疑っているのですが…!
話が拡散してしまいました。マンチェスター・ユナイテッドがテン・ハフをどうするのかは、別な場で語るとして、アルテタ監督の話に戻しましょう。ビッグタイトルにリーチをかけた指揮官の次なるテーマは、「選手のフレッシュネスを高め、停滞する時期を最小限にするターンオーバーの導入」でしょう。
サカ、ウーデゴーア、デクラン・ライス、サリバが不在のときの戦い方を確立させなければ、プレミアリーグとチャンピオンズリーグのダブルは難しくなります。優先順位はストライカー、レフトバック、ウインガー、アンカーでしょうか。自らの契約をスムーズに終え、満を持してトランスファーマーケットに向かっていただければと思います。(ミケル・アルテタ 写真著作者/Prime Video AU & NZ)
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