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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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クロップ退任は最高のタイミング?スロット監督を支える新体制と11年前のモイーズを比較すると…!

リヴァプールの新たな組織とスカッドを見ると、ユルゲン・クロップ監督は最高のタイミングでバトンタッチしたのだなと思います。アルネ・スロット監督が置かれた環境を、11年前にファーガソン勇退の後を継いだデヴィッド・モイーズと比べると、どちらがやりやすいかは一目瞭然。まずは、クロップ監督が遺したポジティブなレガシーから確認していきましょう。

現在のリヴァプールは、サラー、アリソン、ファン・ダイク、アーノルド、ロバートソンなど黄金時代の主軸が健在です。「リヴァプール2.0」を標榜したクロップ監督は、丁寧に世代交代を進めつつ、チームの背骨が衰える前にポジションを譲りました。ヘンダーソン、ファビーニョ、フィルミーノ、マティプ、チアゴら直近のマーケットで去った選手の後釜は既に揃っています

最もポジティブな要素は、ラストシーズンにブレイクした若手の存在です。イングランド代表から声がかかったクアンサー、アーノルド欠場の穴を埋めたブラッドリー、ELのスパルタ・プラハ戦でゴールを決めたクラーク、FAカップのセインツ戦で2発のジェイデン・ダンズ。昨季のプレミアリーグでは、6人のティーンエイジャーが貴重な経験を積んでいます。

エリオットやカーティス・ジョーンズ、ショボスライ、フラーフェンベルフもまだ伸びしろがあり、負傷で無為な1年を過ごしたバイチェティッチは復活してくれるでしょう。3つめのプラス材料は結果論ですが、前年のマーケットで高額な移籍金を投下しておらず、プラッシャーに晒される選手がいないこと。カイセドとラヴィアの争奪戦で、負けてよかったといえるでしょう。

ベテラン、中堅、若手のバランスがいいチームは、過剰な補強をせずともそれなりに戦えるはずです。対してサー・アレックス・ファーガソンが遺したチームは、ファーディナンド、ヴィディッチ、ギブスらが下降線を辿っており、起用できるレベルの若手はいませんでした。スイッチングコストがかかる状態だったのに、即戦力補強がマタとフェライニだけでは、停滞は必然です。

チーム強化の問題は、デヴィッド・ギルという優秀なCEOが退任した直後の勇退という状況も一因です。ファーガソンは、彼が去ったのを見て自らも離れようと決断したのではないでしょうか。後任のエド・ウッドワードは、商売至上主義。スカッドの強化を任せられる人物ではありません。最悪の船出が、現在の苦しい状況を生んだといっても過言ではないでしょう。

クロップ退任が発表された後、フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)の新体制構築は鮮やかでした。SDとして復帰するつもりはないといっていたマイケル・エドワーズを口説き落とし、CEOとして招聘。ボーンマスにいたリチャード・ヒューズSDは、新CEOとは20年を超える付き合いで、ヘッドハンティングによってマージーサイドにやってきました。

2022年にマイケル・エドワーズの後を継ぎながら、1年で辞めたジュリアン・ウォードの復帰は驚きでした。新たな役割はテクニカルディレクターで、アカデミーとローン移籍に加えて、FSGが新たに立ち上げるフットボールイノベーション部門を担当します。マイケル・エドワーズが直属の上司ならOKということなのでしょうか。

クロップのラストシーズンより、格段に強力なバックアップを得られるスロット監督は、マネージャーではなくヘッドコーチの肩書きで、チーム作りと選手の指導、ファーストチームの若手の育成に注力できます。CEOが全権を掌握する組織図と業務分掌は明快です。そもそも、ファーガソンが直々にモイーズに声をかける後任選びって…!

リヴァプールは、長期政権後の再生に苦しんだマン・ユナイテッドやアーセナルのようにはならないでしょう。仮に新指揮官が失敗したとしても、適切なリカバープランが発動するはずです。今のわれわれは…SDが決まらないと、身動きが取りづらくなります。「トゥヘルとの交渉決裂」といったニュースを聞きながら、自らの去就の決定を待つテン・ハフ監督の心中はいかに。


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