わずか85日でボブ・ブラッドリー解任!迷走スウォンジーを立て直すのは誰だ!?
2015-16シーズンは12勝11分15敗で12位だったチームから、夏にいなくなった主力はアシュリー・ウイリアムズとアイェウのみ。最終ラインにはアヤックスからファン・デル・ホールンを加え、前線にはフェルナンド・ジョレンテとボルハ・バストンを引き入れたチームは、机上の計算では強化されているはずでした。しかし実際は、統率力が高い主将アシュリー・ウイリアムズを失った穴は、相当大きかったようです。前線のボルハ・バストンはプレミアリーグになじむのに時間がかかり、2014-15シーズンにはプレミアリーグ33戦8ゴールと獅子奮迅の活躍をみせたキ・ソンヨンは、別人のようなプレイに終始。ジョレンテはここ6試合で5ゴールと調子を上げ、シグルズソンのプレースキックとミドルシュートは冴えているものの、アマト、ニール・テイラー、ランヘル、モーソンのDF陣に落ち着く気配はありませんでした。
守備戦術を買われて就任したブラッドリー監督が、前半戦も終わろうとしているこのタイミングで最終ラインの人選で試行錯誤しているようでは、ジャンプアップは望むべくもありません。イギリスメディア「デイリー・メール」は、「Bob Bradley was nicknamed ‘Ronald Reagan’ by members of the Swansea staff(ボブ・ブラッドリーはスウォンジーのスタッフに”ロナルド・レーガン”というあだ名をつけられていた)」と報道。アメリカ人監督のメソッドと戦術は、1980年代のかの国の大統領を持ち出したくなるほどオールドファッションであり、選手たちは応えていなかったと伝えています。「短期間で勝ち点を積み上げるのは難しいことだとわかっていた」と語った指揮官が解任の憂き目にあったのは、戦績が芳しくないだけでなく、選手やスタッフと良好なリレーションを築けなかったことも大きかったようです。
さて、問題は次の監督です。「BBC」が候補に挙げていたのは、元マンチェスター・ユナイテッドのライアン・ギグス、ウェールズ代表を監督のクリス・コールマン、ラニエリ監督の前にレスターの強化に成功したナイジェル・ピアソン、バーミンガムを率いていたギャリー・ロウェット。10月のグイドリン解任時に打診を断っていたギグスが、さらにチーム状態が悪化した今、翻意する理由はないでしょう。クリス・コールマンにとっては、プレミアリーグ残留よりも、母国のワールドカップ出場というミッションのほうがやりがいがあるのではないでしょうか。2人とも、来ていただければおもしろいのは間違いありませんが、火中の栗を拾う動機は限りなくゼロに近いのではないかと思われます。
一方、ピアソンとロウェットは、いずれも今季のチャンピオンシップで解任されており、現在はフリーの身です。わずか14試合、3勝5分6敗でダービー・カウンティを去ったピアソンさんは、2014-15シーズンのプレミアリーグで春まで最下位だったレスターを覚醒させ、最終盤の7勝1分1敗という巻き返しでクラブを残留に導いた指揮官です。最高の状態でラニエリ監督にバトンを渡した彼を、「レスター優勝のもうひとりの立役者」といっても過言ではないでしょう。チャンピオンシップにいたクラブをプレミアリーグで戦えるクラブに育て上げた手腕は、今のスワンズからは頼もしく映るのではないでしょうか。
ジャン・フランコ・ゾラにバーミンガム監督の座を追われたロウェットさんは、2014年10月の就任後、守備重視の戦術でクラブをプレミアリーグ昇格が狙えるポジションまで引き上げました。バーンズリーとニューカッスルに完敗したのが解任劇のトリガーになったという認識ですが、シーズン終了後にはクラブ経営陣は早まったジャッジを悔やむかもしれません。守備に問題を抱えるスワンズには、リスクを最小限に抑えてシンプルな攻撃でゴールに向かう彼のようなスタイルがはまりそうです。心情的には、レスターを強くした直後にラニエリさんに取って代わられたピアソン推しですが、短期間で結果を出しそうなのはロウェット監督のほうです。
今季プレミアリーグで出遅れたウェストハムとストークが、その後巻き返しているのを見ると、前シーズンに残留に成功したグイドリンさんを信じたほうがよかったのではないかと思います。状況的には「火中の栗」ですが、ジョレンテ、ボルハ・バストン、シグルズソン、ルートリッジ、フェル、バロウといった攻撃陣は魅力的で、決して下に落ちるレベルではありません。プレミアリーグにおけるウェールズ唯一のクラブに残っていただくべく、次期監督の巻き返しに期待したいと思います。
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