2024.11.02 監督トピックスマンチェスター・ユナイテッドの話題
続投発表から116日。現地記者がレポートする「テン・ハフの留任と解任、アモリム就任の舞台裏」
「マンチェスター・ユナイテッドは、ルーベン・アモリムの男子トップチームのヘッドコーチ就任を発表できるのを喜ばしく思っています。契約は、現在の所属クラブでの義務を全うしてから2027年6月までで、1年の延長オプションが付与されています。彼は11月11日にマンチェスター・ユナイテッドに合流する予定です」(オフィシャルサイトより)
あと1日で決まるというルーベン・アモリムの予告通り、金曜日の午後にマンチェスター・ユナイテッドがステートメントを配信しました。「テレグラフ」の速報によると、テン・ハフを解任したクラブは、840万ポンドの契約解除金に加えて、早期獲得のオプションとして84万ポンドをスポルティングCPに支払うそうです。
3部リーグのカーザ・ピアを昇格させた後、ブラガでタッサ・ダ・リーガを制し、スポルティングCPへ。名門のオファーを受けたのもシーズン中で、今回で前科2犯となります。現在は39歳で、指導者歴は6年。母国ポルトガル以外で指揮を執るのは初めてです。就任までの最大の難関は、ラストマッチとなるブラガ戦ではなく、月曜日にリスボンで開催されるUEFAのプレスカンファレンスでしょう。
その翌日にキックオフを控えたチャンピオンズリーグのリーグフェーズ4節は、よりによってマンチェスター・シティとのホームゲーム。マンチェスターから押し寄せるジャーナリストたちは、既に退任が決まっているクラブの戦い方に、さほど興味はなさそうです。1週間後に始まる新たな仕事について聞かれる時間は、シーズン中の移籍に対する罰ゲームと考えるしかありません。
マンチェスター・ユナイテッドサポーターのみならず、プレミアリーグファンのなかには、「エリック・テン・ハフの留任は、新たな監督に支払う契約金やサラリーを出し惜しんだからではないか」と見ている人もいるでしょう。この問いに対して、「テレグラフ」のサム・ウォレス記者が明快な答えを提出しています。
金曜日に配信された記事のタイトルは、「Inside story of how Man Utd appointed Ruben Amorim after Erik ten Hag left ‘devastated’(エリック・テン・ハフが打ちひしがれて去った後、マン・ユナイテッドがルーベン・アモリムを指名した舞台裏)」。緻密な取材を重ねた記者は、6月に不振の監督を切らなかった最大の理由は、体制が整っていなかったからとレポートしています。
テン・ハフの続投が発表されたのは7月4日、オマール・ベラダがCEOに就任したのは9日後、ダン・アシュワースが到着したのはその後です。マン・シティから来たCEOも、ニューカッスルで辣腕を振るったSDも、当時は所属していたクラブからガーデニング休暇を与えられている状態で、マン・ユナイテッドのインフラやスカッドを把握する機会は得られませんでした。
今後のチーム作りを担う2人が責任を取れない指揮官変更は回避され、プレミアリーグ8位という悲惨な戦績を非難された指揮官は残留となりました。先行き不透明な監督と、わざわざ新契約を締結したのは、「FAカップを制した監督をサポートしている」という見せ方が重要だったからで、5月に複数の監督と話したのは、有力なターゲットを囲い込みたかったからだそうです。
体制が整うまでのつなぎのプランとはいえ、強力なサポートがあればテン・ハフは結果を出せるかもしれないという期待はあったようです。しかし新シーズンもチームの課題は解決せず、指揮官の要望を叶えた唯一の新戦力だったマタイス・デ・リフトも微妙なスタートでした。執行猶予期間が終わったのは9月。現場を支えるサポートチームの体制が整いました。
オマール・ベラダ、ダン・アシュワース、ジェイソン・ウィルコックス、クリス・ヴィヴェルに加え、パフォーマンスディレクターのサム・エリス。0-3で完敗した月末のスパーズ戦は、新たな監督をしっかりサポートすべしという考え方にシフトするトリガーとなりました。崖っぷちに立っていたテン・ハフの命綱は、ウェストハムによって切り落とされました。
新たなサポートチームは、以前からアモリムを最優先の候補と見做し、戦術と采配を分析していたそうです。彼らの答えは、「テン・ハフと異なる3バックを採用しているが、独断でアプローチする人物ではなく、戦術的な柔軟性が高い」。無敗のチームを率いている監督との契約を、最初の交渉から3日で成立させるサプライズは、入念な準備があったからこぞ実現したのでしょう。
見方を変えれば、新体制の混乱のなかで新契約を締結したテン・ハフは、幸運を活かせず時間切れとなったというお話です。留任発表から、何も変わらなかった116日。サポートはなかったとしても、開幕からしばらくはプレッシャーもなく、戦力と自由はあったはずです。今回のクラブの決断とアクションは、不格好ではありながらも、適切だったといえるのではないでしょうか。
あと1日で決まるというルーベン・アモリムの予告通り、金曜日の午後にマンチェスター・ユナイテッドがステートメントを配信しました。「テレグラフ」の速報によると、テン・ハフを解任したクラブは、840万ポンドの契約解除金に加えて、早期獲得のオプションとして84万ポンドをスポルティングCPに支払うそうです。
3部リーグのカーザ・ピアを昇格させた後、ブラガでタッサ・ダ・リーガを制し、スポルティングCPへ。名門のオファーを受けたのもシーズン中で、今回で前科2犯となります。現在は39歳で、指導者歴は6年。母国ポルトガル以外で指揮を執るのは初めてです。就任までの最大の難関は、ラストマッチとなるブラガ戦ではなく、月曜日にリスボンで開催されるUEFAのプレスカンファレンスでしょう。
その翌日にキックオフを控えたチャンピオンズリーグのリーグフェーズ4節は、よりによってマンチェスター・シティとのホームゲーム。マンチェスターから押し寄せるジャーナリストたちは、既に退任が決まっているクラブの戦い方に、さほど興味はなさそうです。1週間後に始まる新たな仕事について聞かれる時間は、シーズン中の移籍に対する罰ゲームと考えるしかありません。
マンチェスター・ユナイテッドサポーターのみならず、プレミアリーグファンのなかには、「エリック・テン・ハフの留任は、新たな監督に支払う契約金やサラリーを出し惜しんだからではないか」と見ている人もいるでしょう。この問いに対して、「テレグラフ」のサム・ウォレス記者が明快な答えを提出しています。
金曜日に配信された記事のタイトルは、「Inside story of how Man Utd appointed Ruben Amorim after Erik ten Hag left ‘devastated’(エリック・テン・ハフが打ちひしがれて去った後、マン・ユナイテッドがルーベン・アモリムを指名した舞台裏)」。緻密な取材を重ねた記者は、6月に不振の監督を切らなかった最大の理由は、体制が整っていなかったからとレポートしています。
テン・ハフの続投が発表されたのは7月4日、オマール・ベラダがCEOに就任したのは9日後、ダン・アシュワースが到着したのはその後です。マン・シティから来たCEOも、ニューカッスルで辣腕を振るったSDも、当時は所属していたクラブからガーデニング休暇を与えられている状態で、マン・ユナイテッドのインフラやスカッドを把握する機会は得られませんでした。
今後のチーム作りを担う2人が責任を取れない指揮官変更は回避され、プレミアリーグ8位という悲惨な戦績を非難された指揮官は残留となりました。先行き不透明な監督と、わざわざ新契約を締結したのは、「FAカップを制した監督をサポートしている」という見せ方が重要だったからで、5月に複数の監督と話したのは、有力なターゲットを囲い込みたかったからだそうです。
体制が整うまでのつなぎのプランとはいえ、強力なサポートがあればテン・ハフは結果を出せるかもしれないという期待はあったようです。しかし新シーズンもチームの課題は解決せず、指揮官の要望を叶えた唯一の新戦力だったマタイス・デ・リフトも微妙なスタートでした。執行猶予期間が終わったのは9月。現場を支えるサポートチームの体制が整いました。
オマール・ベラダ、ダン・アシュワース、ジェイソン・ウィルコックス、クリス・ヴィヴェルに加え、パフォーマンスディレクターのサム・エリス。0-3で完敗した月末のスパーズ戦は、新たな監督をしっかりサポートすべしという考え方にシフトするトリガーとなりました。崖っぷちに立っていたテン・ハフの命綱は、ウェストハムによって切り落とされました。
新たなサポートチームは、以前からアモリムを最優先の候補と見做し、戦術と采配を分析していたそうです。彼らの答えは、「テン・ハフと異なる3バックを採用しているが、独断でアプローチする人物ではなく、戦術的な柔軟性が高い」。無敗のチームを率いている監督との契約を、最初の交渉から3日で成立させるサプライズは、入念な準備があったからこぞ実現したのでしょう。
見方を変えれば、新体制の混乱のなかで新契約を締結したテン・ハフは、幸運を活かせず時間切れとなったというお話です。留任発表から、何も変わらなかった116日。サポートはなかったとしても、開幕からしばらくはプレッシャーもなく、戦力と自由はあったはずです。今回のクラブの決断とアクションは、不格好ではありながらも、適切だったといえるのではないでしょうか。
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ファーガソンまで切るほどコストカットしているのに、テンハグに契約延長して余計な解約金払ってるのは、、
テン・ハフ契約延長はいわゆるプランBで
アモリム就任で本流に転換したって事ですね。
これまでのフロントの動きが、非常に分かり易く書かれていて
リーグ開幕前からのモヤモヤがスッキリしました。
(ファーギーの件は置いておくとして)
良記事ありがとうございます。
あとはアモリムが結果を出せるか、ですね。
とりあえず今シーズンは、内容さえ良ければトップハーフでもOKかな。