2025.11.26 監督トピックスマンチェスター・ユナイテッドの話題
10人のチームにホームでノーゴール…悪夢を繰り返すルーベン・アモリムは限界か、発展途上か?
望外のリードによって、エヴァートンの戦い方は明確になりました。追いつかれるまでは、ひたすら守ってこのまま逃げ切り。後半のシュートはゼロで、最前線のバリーは自陣での空中戦で15回も勝っています。11対10になってから77分、0-1とされてからも61分。充分な時間があったマンチェスター・ユナイテッドはゴールを決められず、ノーゴールで敗れ去りました。
プレミアリーグ創設以降、オールド・トラフォードでアウェイチームが10人になってから負けたのは初めてです。マンチェスター・ユナイテッドが放り込んだ38本のクロスを見て、デヴィッド・モイーズは苦い記憶が脳裏をよぎったかもしれません。2014年2月、フラムを相手に入れたクロスは81本。当時の指揮官は無策と嘲笑されたのですが、あの試合は2-2のドローでした。
今シーズンの戦績を振り返ると、ポゼッション50%以上で勝てなかったのは6度めです。後半のボール支配率は76%で、シュートは17対0。クロス26本は不発に終わりました。試合終了直後のレポートでも触れましたが、このチームは半年前にも同じような負け方でトロフィーを失っています。EL決勝のスパース戦は80%で、シュートは11対0、クロスは19本でした。
ビッグタイトルとCLの出場権を同時に逃す激痛の敗戦から、何も学ばなかったのか。エヴァートン戦で、ルーベン・アモリムの限界を見たような気がしました。自陣のスペースを埋めることに終始したアウェイチームに対して、CBは3人もいらないでしょう。空回りした交代策は、ゴールに向かうより自らのポリシーを守るほうを優先しているようでした。
ハーフタイムのマズラウィをメイソン・マウントは、アマド・ディアロとエンベウモで右サイドを攻略という意図はわかるものの、前半に最も多くのシュートを打っていた2列めの選手をゴールから遠ざける策でもあります。「ルーク・ショーはサイドに出てクロスを入れていたので、実質的には4バックだった」という論には、「ならばダロトの役割は?」と返したくなります。
58分という早い時間にドルグをダロト、カゼミーロをメイヌーと同じポジションで代えたため、終盤のオプションがなくなってしまいました。ルーク・ショーの攻め上がりに期待するなら、キャラかぶりするダロトより、シュートレンジにバリエーションをもたらすシェイ・レイシーというギャンブルのほうが納得感がありました。
「ボールを失ったときは、選手同士で激しくやり合ってほしい。退場は避けなければならないけど。われわれは多くの試合でそれができることを示してきたが、今日はできなかった。多様な特徴を持つ選手を揃えれば、ローブロックに対してもゴールの選択肢が増える。負けることもあるけれど、今日とは違うインテンシティで戦わなければならない」(ルーベン・アモリム)
足りなかったのはマインドとインテンシティ…。システムと戦術に問題はなかったのか。メイソン・マウントの最後のシュートは63分で、終盤のアマド・ディアロは打てるエリアでもらえなくなっていました。3-4-2-1自体が悪いわけではありませんが、適材適所かといわれれば甚だ疑問で、「CBを上げて放り込み」しかオプションがなければ同じような負け方を繰り返すでしょう。
就任から1年、プレミアリーグの戦績は39試合12勝9分18敗。「この5週間、みんながわれわれの進化を称賛していたけど、私はいつも同じことをいっている。われわれはまだ、ほど遠い」とぼやく指揮官こそが、進化を求められているのではないでしょうか。「ホームで10人に敗戦」「ポゼッションを取ると勝てない」という現状は、精神論で打開できるものではありません。
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