2025.12.19 監督トピックスマンチェスター・シティの話題
「ペップ・グアルディオラにとって、今季は最後の1年になる」現地メディアの記事を読んで思うこと。
ペップ・グアルディオラにとって、2025-26シーズンはマンチェスターで過ごす最後の1年になる…「アスレティック」のオリヴァー・ケイ記者のレポートを読んで、サー・アレックス・ファーガソンとユルゲン・クロップの去り際を思い出しました。彼らには、「新たな戦い方を持ち込もうとしていた」「ともに戦ったパートナーを失っていた」という共通項があったからです。
フットボールのメインストリームに背を向けるように、フラットな4-4-2を守り続けたサー・アレックス・ファーガソンが突如、引退を表明したのは2012-13シーズンが終わる間際でした。既に72歳で、いつ辞めてもおかしくなかったのですが、ファン・ペルシと香川真司を加えて欧州の最先端だった4-2-3-1を導入しようとしていた矢先のリタイアは、長年のサポーターを驚かせました。
その3ヵ月前、マンチェスター・ユナイテッドで15年をともにしたデヴィッド・ギルCEOが、シーズン終了後の退任を発表していました。ファン・ペルシ無双で独走態勢を築いていたものの、新たなチャレンジはうまくいっているとはいえなかった名将にとって、理解者の喪失は耐えがたい事件だったのかもしれません。
2024年1月に退任の意向を表明したユルゲン・クロップも、「リヴァプール2.0」と称する世代交代を敢行している最中でした。チームの強化に欠かせない存在だったマイケル・エドワーズSDがマージーサイドに別れを告げたのは、2022年の夏。前年のマーケットで、フィルミーノ、ヘンダーソン、ファビーニョ、ミルナーを失ったのも、決断に至るトリガーのひとつでしょう。
ペップ・グアルディオラの現状は、名門クラブに黄金時代をもたらした2人と酷似しています。契約を2年延長したと発表された2024年11月は、プレミアリーグで1勝1分6敗という信じられない不振に陥った時期でした。年明けから巻き返したものの、リヴァプールとアーセナルに届かず3位となり、プレミアリーグ5連覇の野望は潰えました。
オフシーズンになると、相棒のチキ・ベギリスタインが勇退。長らく信頼関係を築いていたケヴィン・デブライネ、エデルソン、ギュンドアン、カイル・ウォーカーがチームを離れました。後釜を確保したとはいえ、マテウス・ヌネスとドンナルンマはコンセプトを体現するタイプとはいえないでしょう。今季の序盤戦はハーランド依存症で、彼らしからぬ戦いが続いていました。
マンチェスター・シティでプレミアリーグを6回制した稀代の名将は、今なお新たなチームづくりを継続しており、先人たちのようにピリオドを打つと宣言したわけではありません。とある記者が「退団のゴシップが流れた過去2回とは状況が異なる」「シティは既に対応し始めている」とレポートし、日本の小さなブログの筆者が「さもありなん」といっているだけです。
「ペップは幕引きを考えている」と感じたのは、2025年9月11日。エティハドのアーセナル戦で、残り20分から5バックにシフトし、自陣ゴール前にベタ引きしてリードを守ろうとするのを見た時です。ここにはもう、新たなチャレンジは存在しないと見切ったかのような戦い方で、契約満了までの2年を過ごすことはできないだろうと思ったのです。
実際にどうなるかは、わかりません。もう1年トライしたいと思う何かが起こるかもしれません。2023年2月に告発された115件にも及ぶ財務規定違反容疑に裁定が下され、クラブが重いペナルティを受けたら、却って踏み止まろうとする可能性もあります。しかし今、彼のまわりには、新たな闘争心を掻き立てる材料は残っていないように見えます。
マンチェスターに降臨してから、9年半が経ちました。ペップの最大の功績は、若い指導者たちに多大なる影響を与えたことでしょう。マン・シティでともに戦ったエンツォ・マレスカとミケル・アルテタは、プレミアリーグの頂点をめざしており、パリにビッグイヤーをもたらしたルイス・エンリケはバルサ時代のスタッフです。
バイエルンのヴァンサン・コンパニとレアル・マドリードのシャビ・アロンソは、マン・シティとバイエルンで選手として戦術を学んでいます。プレミアリーグの若い監督のなかに、ペップに背を向けて独自のOSをインストールしたといえる者はいないでしょう。今季がどんな終わり方になろうと、彼がどんな決断を下そうと、輝かしい足跡に陰りが生じることはありません。
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