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シーズン半ばの解任は賛否両論!ルーベン・アモリムの足跡と厳しい決断の経緯を冷静に振り返る。

ルーベン・アモリムの解任について、現地メディアのコメント欄からサポーターの声を拾うと、賛否両論でイーブンのバトルとなっています。解任反対の方々の主張は、「この時期に解任はリスキー」「補強が足りない」「時間を与えるべき」「クラブに巣食う膿を出してくれた」。賛成の声は、「戦績」「度重なるクラブ批判」「選手との確執の多さ」を気にしているようです。

私は、「少なくとも今季はアモリムを信頼しよう」と考えていました。ただし、2つの条件付きです。ひとつは、ラシュフォードやガルナチョのような形で若手を追放しないこと。メディアを使って選手を非難し、関係が修復不可能になれば、売却するとしても足元を見られてしまいます。メイヌー、アマド・ディアロ、レニー・ヨロ、エイデン・ヘヴン、チド・オビら楽しみな若手をつぶさないでほしいと願っていました。

2つめはシンプルで、TOP4を争えるレベルに復活すること。火中の栗を拾うような就任だった初年度には目をつぶっても、同じようなシーズンを繰り返すなら解任もやむなしと考えていたのです。「監督をコロコロ変えるのを容認するのか」というツッコミには、「そもそも昨シーズンのプレミアリーグ15位は、許容ラインを割ってます」とお返しするのみです。

われわれマンチェスター・ユナイテッドのサポーターは、サー・アレックス・ファーガソンのハッピーな時代があったので、監督の早期解任に対する抵抗感が強いのかもしれません。冷静になって、よそのクラブを見てみると、バイエルンはペップが去ってから10年めで、暫定監督を除けば7人。アンチェロッティ、ユップ・ハインケス、トゥヘルは1年限りでした。

同じ期間で、レアル・マドリードは6人。アンチェロッティ以外の任期は3年以下で、2018-19シーズンはロペテギとソラーリが超短命で終わっています。7人のチェルシーは、コンテ、サッリ、トゥヘル、マレスカがタイトル獲得。マンチェスター・ユナイテッドは4人で、モウリーニョとテン・ハフは2冠を獲得し、スールシャールとアモリムは欧州のファイナルに進出しています。

半年だったラングニックを入れても5人。監督交代に悪しき印象があるのは、シーズン中の解任が目立つからで、「アモリムに時間を」という声が多かったのは、ファーガソン以降で2年以下はモイーズのみという歴史があるからかもしれません。今、いえるのは、「あれから13年経っても、われわれはペップやクロップ、アルテタを見出せていない」ということです。

結局のところアモリムは、就任から1年という時間があったのに、信頼を得られなかったのです。現地の複数の記者が「ウィルコックスとの関係が怪しくなったのは6週間ほど前から」と伝えています。自らの手法を貫きたかったら、不振のフォレストや下位に沈むハマーズには勝たなければならず、ホームで10人のエヴァートンに敗戦はNGだったのだと思います。

公式戦63試合で24勝18分21敗。過去50年のクラブの歴史のなかで、アモリムの勝率38.1%を下回る監督はラングニックだけで、リーグ戦の31.9%(47戦15勝)となると第二次大戦後は下から2番めです。彼の在任中のプレミアリーグで、マンチェスター・ユナイテッドよりポイントが少ないのはスパーズ、ハマーズ、ウルヴスのみ。欧州の強豪といわれるクラブの多くは、この状況を放置しないでしょう。

それでもマン・ユナイテッドの経営ボードは、戦績を理由に解任したわけではなく、最後までサポートし続けました。彼らにも落ち度はあります。テン・ハフからアモリムへのスイッチングコストを軽視したこと、アモリムの柔軟性のなさを見抜けなかったこと、夏のマーケットで前線への投資にシフトして中盤を強化できなかったことは、明らかに失敗です。

サー・ジム・ラトクリフやウィルコックスFDの戦術への口出しにも、眉をひそめる人がいるでしょう。しかし、経営ボードのいくつかの過ちは、アモリムを肯定する理由にはなりません。3バックで戦いたければ、結果を残せばよかった。いや、結果が出ずとも「こうすればよくなる」とボードメンバーを納得させればよかったのです。プレスルームで記者たちをうなずかせていたように。

「アモリムは試合前も試合後も、率直さと情熱によって注目される存在だった。テレビにおいて最も辛辣なマンチェスター・ユナイテッド評論家でありながら、クラブのヘッドコーチでもあるという皮肉な立ち位置だったのだ。彼が自らのチームを『マンチェスター・ユナイテッド史上最悪』と評すれば、われわれアナリストが即座に鋭い見解を述べる必要がなくなっていた」

「アモリムは、巧みなメディア対応で職を維持しているのではないかと考えることさえあった。ユナイテッドファンが、彼が語るチームの評価や改善の必要性、楽観的な今後20年のヴィジョンに魅了されるのも無理はない。難しい質問でも、熱意あふれる回答で人々の血を沸き立たせることができた。しかし試合が始まると、監督の個性はチームに全く反映されなかった。この奇妙な矛盾は、早い段階で危険なシグナルとなっていた」(ジェイミー・キャラガー/テレグラフ)

アモリムが任を解かれた最大の理由は、クラブが許容できない発言であり、戦績だけを咎められてシーズンの途中で終わることはなかったはずです。絶妙なトークで記者やファンに支持され、乱暴なトークで信頼を失ったのです。リスキーな決断ではあるものの、やむなしというしかありません。暫定監督はスールシャールでしょうか。来季の監督の話は、別な場で明るくやりましょう。


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“シーズン半ばの解任は賛否両論!ルーベン・アモリムの足跡と厳しい決断の経緯を冷静に振り返る。” への1件のコメント

  1. minus zero より:

    ブルーノ・フェルナンデス不在のチーム力をチェック!と思っていたら、ピッチ内では4バックを採用して、「アレレ? これじゃブルーノ不在を正確に測定できないな」と思ってるうちに、ピッチ外でこんなことに…(実は「4バックで機能するチーム」という事実がアモリムの認識、情緒に少なからず影響したとも考えています)

    早期解任、監督在任期間のお話はまったく同感です。長期政権は目的ではなく結果。なんらかの成功や手応えの積み重ねとしてそうなっているだけで、長期政権が成功を約束するわけではありません。

    近年の成功例として引き合いに出されるアルテタでもリーグは最低限トップハーフの順位ですし、さらに遡ってファーガソンを引き合いに出すにしても、40年近くも前の話を持ち出さざる得ない以上、それ自体、類例の少なさを物語っています(そのため「現状のアモリム・ユナイテッドの順位はさほど悪くないので監督交代すべきではない」という議論自体は成り立つと思います)。

    最近、一抹の不安を抱いているのが、一部のファンや(厄介な)OBが「マンチェスター・ユナイテッドのカルチャー」のような実態のないものに一縷の望みを賭けているように見えることです。「そんなものあるのか?」というそもそも論と、仮にそうしたものがあったとして、それは今もクラブに残っているのか。残っていたとして、目の前の試合の勝利に貢献するものなのか。ともすると、それは悪い意味でのJTCの企業風土のようなものなのではないかという疑念が拭えません。

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