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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「10分以内に2失点」が9試合!勝ちパターンのマンチェスター・シティが突如崩壊してしまう理由。

ペップ・グアルディオラがプレミアリーグで初優勝を遂げてから7年半。昨年の10月までは、85分まで2‐1という戦況を見た誰もが「マンチェスター・シティは今日も勝ちだ」と思っていました。開幕から13戦連続で無敗、2失点を喫したのはアーセナル戦とフラム戦のみ。リーグ5連覇をめざすチームは、順風満帆でした。

それから3ヵ月を経て、世界は変わりました。シティ・オブ・マンチェスターに集結したサポーターのなかには、ムバッペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ベリンガムを怖れ、マンチェスターダービーやフェイエノールト戦を思い出していた人もいるでしょう。終盤の2失点で、レアル・マドリードに2‐3の敗戦。優勝候補は、ラウンド16に辿り着く前にCLを終えようとしています。

カラバオカップのトッテナム戦を2‐1で落としてから、公式戦24試合で8勝4分12敗。今となっては、彼らの立て続けの失点は、よく見る光景です。CLリーグフェーズのスポルティングCP戦は、後半開始直後に連打を喰らって4‐1の完敗。直後のブライトン戦は、残り15分を切ってからジョアン・ペドロとマット・オライリーに決められ、2‐1で敗れています。

サウスコーストの悪夢から2週間、インターナショナルブレイク明けのトッテナム戦は、ジェームズ・マディソンに7分で2ゴールを許して0-4の大敗。ショッキングな結果を引きずってしまったのか、中2日のフェイエノールト戦は、残り15分まで3-0でリードしていたのに、追いつかれてしまいました。12月のマンチェスターダービーは、88分からの2失点で逆転負けを喫しています。

年明けのブレントフォード戦も、残り10分まで0‐2からドロー決着。後半開始直後にハーランドとグリーリッシュが決めたパリ戦は、10分も経たないうちに2‐2となり、終盤の失点で4‐2で敗れています。2月に入ってからも、アーセナル戦でハーランドが同点ゴールを決めると、7分後には3‐1。5失点の惨敗に、驚きはありませんでした。

不振に陥ってからのマン・シティは、24試合のうち9試合で10分以内に2発喰らっています。リヴァプールは、未だゼロ。昨季までは最強だったチームに、何が起こっているのでしょうか。ベースにあるのは「焦り」でしょう。いくつかの数字が、「彼らがいかにリスキーな戦い方を続けているか」を物語っています。

2023-24シーズンは、10本以上つながったパスが90分あたりで26回だったのですが、今季は22回。最終ラインのボール奪取も7.5回から4.7回に減っています。最も気になるのは、ゴールラインからの平均が37メートルという異常なハイライン。昨季より4メートル高く、プレミアリーグを26失点で駆け抜けた2021-22シーズンより9メートルも上がっています。

失点を喫すると攻めなければと前がかりになるチームは、強引なパスをカットされてショートカウンターを喰らったり、プレスを外されてラインの裏にボールを出されたりするシーンが目立つようになりました。危険なエリアを察知する能力が高いロドリを欠いてからは、アンカーが守備に関与できずに最終ラインを崩される形も増えています。

今シーズンの公式戦37試合で、シュートにつながるミスは21回。そこから14ゴールを決められています。過去3シーズンのミスをすべて足しても11回しかなく、年間で5倍以上増加という数字です。前線のプレスが緩さ、持ち場を離れるアンカー、余裕がないビルドアップ、無理めの状況でも奪いにいってしまうDF…複数の問題が連鎖しており、立て直しは容易ではありません。

秋からよく見るようになった「ペップの憂鬱」も、原因のひとつなのでしょうか。ミスによる失点の後、敗戦が決まったかのような表情になる指揮官は、必死に踏み止まろうとしている選手たちの視界に入っているはずです。巻き返しの第一歩は、名将が先頭に立って常勝の頃のメンタリティを取り戻すことなのかもしれません。

ニューカッスル、レアル・マドリード、リヴァプール、トッテナム。厳しい4連戦をうまく乗り切れなければ、チャンピオンズリーグを失うだけでなく、プレミアリーグのTOP4フィニッシュも難しくなります。まずはマグパイズ。トナーリとブルーノ・ギマランイスを自由にしたら、これまでと同じ負け方を繰り返してしまいそうですが…。


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