2025.03.15 マンチェスター・シティの話題
現地記者が問題提起!「ペップ・グアルディオラの戦術は時代遅れになってしまったのか?」

ロドリの離脱、最終ラインの負傷続出、主力の高齢化…10月末から突如不振に陥ったペップのチームについて、現地メディアはさまざまな理由を挙げています。直近の公式戦30試合で11勝4分15敗。カラバオカップ4回戦でスパーズに敗れてから、3試合以上連続で負けなかったのは、ボクシングデーからの6試合だけです。
立ち直ったかと思われた年末年始の対戦相手を見てみると、エヴァートン、レスター、ウェストハム、サルフォード、ブレントフォード、イプスウィッチで、プレミアリーグのボトム10と下部リーグばかりです。2月に入ってからは4勝5敗。リヴァプール、アーセナル、ノッティンガム・フォレストのTOP3には全敗で、欧州でもレアル・マドリードにダブルを許しています。
CLで敗退となった直後、「BBC」のアレックス・キーブル記者が「Why Guardiola’s tactics stopped working amid rise of rapid football(ラピッドフットボールの台頭から、グアルディオラの戦術が機能しなくなった理由)」と題した記事を配信。これを読んだ「アスレティック」のサム・リー記者も、ポジショナルなスタイルが限界となっている可能性について論じています。
後発の記事のタイトルは、「Has Pep Guardiola’s style of football become outdated – or is it more complicated than that?(ペップ・グアルディオラのフットボールのスタイルは時代遅れになったのか、それよりもっと複雑なことが起こっているのか?)」。マンチェスター・シティの特派員は、「戦術より選手の問題のほうが大きい」といっています。
ロドリ不在の影響が大きいのは確かですが、これまでチームを支えてきた選手たちのパフォーマンスの低下も気になります。カイル・ウォーカーの急激なパフォーマンスの低下、フォーデンの出遅れ、デブライネ、ベルナルド・シウヴァ、グリーリッシュ、ギュンドアンの停滞。ジョン・ストーンズとナタン・アケも、かつてのレベルからはほど遠いプレイが目立っています。
マン・シティの選手に関する問題は、3つに分けられるのではないでしょうか。世代交代の遅れとベテランのピークアウト、戦術的なフィット感、ユーロで活躍した選手たちの疲労の蓄積。負傷者続出は、勤続疲労が最大の理由に見えます。一方、「BBC」の記者が指摘するラピッドフットボールの隆盛も、ペップのチームを苦しめている要因のひとつでしょう。
記事が紹介しているデータを引用しましょう。過去数年のプレミアリーグにおける最も大きな変化は、カウンターの増加です。2017-18シーズンからの6年で、1試合あたりの最高が1.22だった「Total fast break」は、昨季は1.58で今季は2.11と急激に増えています。さらに今季の「Direct attack」は3.57で、過去7シーズンで最高だった昨季の3.50を上回っています。
ボーンマス、ブライトン、ニューカッスル、アストン・ヴィラ、スパーズらが絶え間なく速攻を繰り出すようになったなかで、ペップのチームはゲームをコントロールできなくなっています。昨シーズンは65.5%だったポゼッションは60.1%に下がり、90分あたりのパス本数は690.8本から
604.2本に減少。ファイナルサードでのポゼッション成功も、7.5から4.7にダウンしています。
「負傷者がこれほど多ければ、競争力を失わざるを得ない」と嘆いたペップは、「ボールを保持して休めなくなった」とこぼしています。ゲームをコントロールできる時間が減り、速攻に振り回されるシーンが増えたことが集中力の低下を招き、失点を積み重ねていくうちに自信も削がれてしまったのでしょう。
ポゼッション率が下がったのは、前線の陣容の変化も大きいのではないかと思われます。2022年に加わったハーランドは前線で追いかけまわすタイプではなく、左右のジェレミー・ドクとサヴィーニョはスタンドアローン。マフレズ、ベルナルド・シウヴァ、グリーリッシュがサイドにいた頃より、プレスの強度や連動性、流動性は低くなっています。
フリアン・アルバレスが残っていれば、得点力ダウンは回避できたかもしれません。マルムシュ、ニコ・ゴンザレス、フサノフは、TOP5死守という現状の目標を達成する原動力になるでしょうか。夏に敢行するであろう大型補強を成功に導くためにも、チャンピオンズリーグの出場権は重要なアイテムです。本日はエティハドでブライトン。もちろん、必勝です。
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