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いきなり連敗のマンチェスター・シティ。夏の厳選補強とスリム化は妥当か、失敗か?

ウルヴスに0‐4で圧勝した後、スパーズにホームで0‐2。ハーランドのゴールで先制したブライトン戦は、マテウス・ヌネスのハンドからミルナーにPKを決められ、ラスト1分の三笘薫のアシストでグルダに逆転ゴールを許しました。マンチェスター・シティは1勝2敗で13位。ペップ・グアルディオラの就任から昨シーズンまで、8年をすべて足しても最初の3試合の敗戦は2つだけです。

これまでの4失点のうち、トラフォードの致命的なパスミスと至近距離から手に当てられたPKは偶発的ですが、カウンターからの2発はチームの弱点が露呈したといえるでしょう。スパーズ戦の最初のゴールは、右サイドに流れたリシャルリソンにハイラインの裏を取られてしまい、逆サイドをケアしていたリコ・ルイスはブレナン・ジョンソンのスプリントに気づくのが遅れました。

ブライトン戦では、89分に激痛の失点。その2分前にも、ショートカウンターから4対3に持ち込まれています。中央から上がった三笘薫が左で空いていたルターに出さず、ルベン・ディアスが対応できたグルダに打たせたので助かりましたが、ジョン・ストーンズが右サイドに引っ張られた失点シーンの4対3は、三笘からラストパスが出た瞬間、グルダとミンテがフリーでした。

プレミアリーグの5連覇を阻まれた2024-25シーズンも、カウンターに対する守備が課題でした。クラブワールドカップが始まる前のトランスファーマーケットでは、レインダース、シェルキ、ベッティネッリ、アイ・ヌーリを獲得。CBや右SBを強化せずにアル・ヒラルに敗れた後、ケヴィン・デブライネとカイル・ウォーカーが長く過ごしたチームに別れを告げています。

夏の補強のテーマを考えると、最終ラインの強化という選択肢があったはずですが、7月以降に獲得したのは18歳のMFと2人のGKのみ。負傷者が続出した昨年末に「25人から30人が必要」といっていたペップは、「全員が元気なら24人でも多すぎる」と少数精鋭志向に戻り、ベテランと若手が続々と放出されました。

30代の退団は、デブライネ、カイル・ウォーカー、グリーリッシュ、アカンジ、エデルソン、ギュンドアンと総勢6人。若手に目を移すと、ノッティンガム・フォレストに移籍したジェームズ・マカティに加えて、シンプソン=ピュゼー、ヴィトール・レイス、エチェベリ、ニパンがローン移籍となっています。

ライバルが続々と新戦力を獲得したデッドラインデーも、われ関せずとスリム化を推進。即戦力のフィールドプレーヤーはシェルキとレインダースのみの厳選補強で、強くなったといえるのか。100ポイントを獲得した2017-18シーズンのシニアプレーヤーで、残っているのはベルナルド・シウヴァとジョン・ストーンズのみ。30歳以上はコヴァチッチとナタン・アケだけです。

近年のペップのチーム作りを見ていて気になるのは、「ユーティリティーよりスペシャリティー」の傾向が強まり、攻撃が単調になる時間が増えていることです。96ゴールをゲットして優勝した2023-24シーズンは、1試合あたりのオンターゲット7.3本がリーグTOPで、ドリブル成功9.9本は4位。72ゴールの昨季はオンターゲットが5.7本に減り、ドリブル成功9.9本は1位です。

2025-26シーズンの最初の3試合は、シュート12.7本が5位、オンターゲット3.7本は9位。ドリブルは11.7本で、2位のスパーズを2本も引き離すぶっちぎりのTOPです。ショートパスの精度とプレイのバリエーションを強みとするグリーリッシュや、ここぞというチャンスでゴール前に入ってきてくれるギュンドアンの離脱は、苦しい展開が増える理由になってしまうかもしれません。

体脂肪率が落ちたスカッドをあらためて見てみると、カウンターで冷静さを失いがちなCB、守備力が高いとはいえない右のSB、ジェレミー・ドクを欠くとおとなしくなる左サイドが気になります。最初の3試合は、左からのアタックが35%で全体の15位。モー・サラー、ブカヨ・サカ、エンベウモ、コール・パルマーを擁するチームは、こちらのサイドから仕掛けてきそうです。

「ペップの本気度が感じられない補強」というと、シティズンのみなさんに叱られるでしょうか。すべてを手に入れた名将は、「いかに勝つか」ではなく「いかに終わるか」を模索しているように見えます。短かったオフシーズンの準備不足でつまずいただけなのか、何かが足りなかったために連敗を喫したのか。少なくとも「強化は充分ではなかった」とはいえそうですが…。


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