2025.09.10 マンチェスター・シティの話題
なぜドンナルンマ?デブライネの後釜は?最終ラインは大丈夫?ペップは変わろうとしているのか…?

あるいは生来の天邪鬼で、レッテルやカテゴライズがとにかく嫌いなのかもしれません。バルセロナ時代の代名詞だったティキ・タカについては、バイエルンで指揮を執り始めてから「あんなものはクズだ。何の意味もない。ゴールに迫るためにパスを出さなければならない。バルサではティキ・タカなどやっていない」と完全否定。その後も、自らの過去を忘れたかのような振る舞いを続けています。
スペインでは「CBがいなければ、MFを下げればいい」といっていたのですが、マンチェスター・シティで2度めのトレブルを達成したときは、最終ラインに4人のCBを並べる布陣を多用しています。パスワークで主導権を握るためにGKをビルドアップに参加させたり、偽SBや偽9番で中盤に厚みを持たせたりしてきたのに、一切関与しないハーランドを連れてきたのは驚きでした。
ゴールマシンを手に入れた翌年に、怒涛のドリブルが売りのジェレミー・ドクを獲得。そしてこの夏は、足元よりショットストップのドンナルンマです。バットコントロールに長けた選手を集め、バントやヒットエンドランを駆使する機動力野球で天下を取った指揮官が、剛速球のピッチャーとホームラン王と盗塁王に持ち味を発揮させる野球も好きとは思いませんでした。
いえ、決して今のペップとマン・シティを非難しているわけではありません。相変わらずパスワークのクオリティは高く、1勝2敗とつまずいた今季もポゼッション61.1%はチェルシーに次ぐ2位です。今まで構築してきた戦術のベースは確実に存在しており、グリーリッシュとアカンジを出すとしても、エデルソンは引き留めたかったはずです。
それでも気になるのは、従来は獲らなかったタイプが加わっていることです。「ハーランドはゴールを決める」「ドクはSBをぶっちぎる」「ドンナルンマは大抵のシュートはセーブする」…それぞれが世界でも屈指のスペシャリストだとわかっていても、アグエロ、デブライネ、ダヴィド・シルヴァ、ジェズスらがいた頃とは異質な空間であることに目がいってしまいます。
インテルに買取オプション付きのローンで移籍したアカンジが、スイス代表でインタビューに応じて、決断のきっかけとなったペップの言葉について語っていました。「彼は6人のCBに対して、2人が出場し、2人がベンチに入り、残りの選手は厳しい状況になると告げた」。序列が下がっていた30歳のCBは、「この言葉は聞きたくなかった」と続けています。
速攻に振り回される最終ライン、ゴールに向かわないウイング、打てるエリアでしかボールに関与しないストライカー。昨シーズンの連敗で露呈した課題に対応する策が見えないまま、精度の高いクロスを供給するデブライネと、プレイの選択肢が多いグリーリッシュが去っていきました。こんな状況でも、ソリッドなスカッドを志向して主力を手離したペップに、勝算はあるのでしょうか。
パスワークとフィードを買われてマンチェスター・ユナイテッドに移籍したオナナは、秩序のないビルドアップに戸惑い、セービングでもミスが重なって自信を失ってしまいました。ドンナルンマが不安といわれているのは、パリのルイス・エンリケがシュヴァリエを選んだという経緯があったからですが、新たな最終ラインとうまく連携できれば、神セーブ連発で救世主と呼ばれるようになるかもしれません。
ペップのスタイルと相反するリスクがあったハーランドは、得点力という強みに特化してチームに貢献しています。「Opta」のデータによると、過去10年の欧州の5大リーグでドンナルンマより優れた数字を残したショットストッパーは2人しかいないそうです。ビルドアップをそつなくこなし、絶体絶命のピンチを回避してくれる存在になれれば、懸念する声は消えていくでしょう。
とりとめのない話になってしまい、恐縮です。この夏の補強と売却を見て、「ペップは本気度が下がったのか?」「今までと違うスタイルに変えようとしているのか?」「自分に課した制約条件をクリアして頂点に立とうとしているのか?」などなど、頭のなかで「?」が増殖してしまったのです。今週末はフラットな目線で新生マン・シティを…いや、ダービーか。無理ですね。
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