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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ポゼッション30%?まさかFCハーランド?数字で見るマンチェスター・シティの異変!

「最強のマンチェスター・シティ」といわれたら、どのシーズンを思い出すでしょうか。真っ先に頭に浮かぶのは、トレブルを達成した2022-23シーズンですが、プレミアリーグではラスト6試合までアーセナルの後塵を拝しており、ライバルにブレーキがかからなければ2位で終わっていました。やはり最強は、32勝4分2敗で2位に19ポイントの差をつけた2017-18シーズンでしょう。

アグエロ、スターリング、サネ、ジェズス、デブライネ、ダヴィド・シルヴァ、ベルナルド・シウヴァ、フェルナンジーニョといった錚々たるメンバーが揃い、現在でもプレミアリーグレコードの106ゴール。ポゼッション66.4%は2位のスパーズを7%も引き離しており、1試合あたりのシュート17.5本、オンターゲット7.0本、パス成功率89.0%はすべてリーグ1位です。

ポゼッションフットボールで一世を風靡した当時のペップは、プレミアリーグにとって黒船でした。あれから8年。マンチェスターで過ごす時間が思いのほか長くなった名将は、古きよきイングランドのテイストに魅力を感じたのでしょうか。相変わらずハーフコートマッチを展開する時間帯もありつつ、自陣に引いて最強のストライカーにボールを集めるカウンターが増えています。

2017-18シーズンは、オープンプレーから78ゴールでカウンターは4ゴール。攻め込まれる機会が少ないため、自陣から一気にゴールに迫って決めた回数は、リヴァプール、スパーズ、レスターに続く4位でした。しかし今季は15ゴールのうち3つがカウンターで、ボーンマス&ブレントフォードと並ぶTOP。セットピースからノーゴールの唯一のチームと知って、絶句しました。

ゴール前にバスを停めるチームに対して包囲網を敷くシーンが少なくなったからか、2017-18シーズンに1試合あたり7.5本(1位)だったCKが4.4本(12位)に減っています。主要スタッツは8年前とは別世界で、ポゼッション57.6%は4位、1試合あたりのシュート12.3本は7位、オンターゲット4.6本は4位。リーグ1位をキープしているのは、87.4%のパス成功率ぐらいです。

シュート68本はクリスタル・パレスと同数で、その内訳を見ると一瞬、思考が停止します。ハーランドとレインダースを足すと40本で、他の選手はTOP50の圏外です。うすうす気づいていたのですが、現在の基本戦術はまさかの「FCハーランド」。この言葉を使うと、揶揄しているように聞こえますが、ペップは狙ってやっているはずです。

前半を1-0で終えたアーセナル戦は、後半に入ると5バックにシフトしてポゼッション32.8%。これはもちろん、ペップのキャリアワーストです。3-0で勝ったマンチェスターダービーも、堅守速攻に切り替えた後半はポゼッションを30%まで落としています。開始9分にハーランドが決めたブレントフォード戦は、後半のシュートが1本のみでCKはゼロでした。

エデルソンからドンナルンマは、ハイプレスとビルドアップにこだわらなくなったチームを象徴するスイッチングに見えます。昨季のプレミアリーグで4アシストを記録したエデルソンのロングフィードは脅威でしたが、ベースはDFに預けるショートパスです。対してドンナルンマは、アーセナル戦の48本のフィードのうち21本が長いボールでした。

マンチェスターダービーも、30本中19本がロングフィード。プレスをかけてこないバーンリーとブレントフォードとなると、さすがにつないでいたのですが、攻撃的なチームとのゲームでは安全運転に徹するでしょう。インターナショナルブレイク明けのエヴァートン、アストン・ヴィラ、ボーンマス、リヴァプールは、ハーランドめがけて蹴るシーンが増えそうです。

かつてあれほどマイボールにこだわっていたペップが、「リードしたらカウンター狙い」を本格的に始めたのはなぜでしょうか。「ハーランドが好調だったから」「ノッティンガム・フォレストを上位に引き上げたヌーノに、少数精鋭で省エネが合理的と学んだ」「ドンナルンマでどうなるんだ?と考えた末の結論」「3バックの脆弱性を改善する窮余の策」…全部、当たっているのかもしれません。

実は理由はシンプルで、「飽きっぽい性分ゆえ、新しいことを始めたかった」とか?エティハドのリヴァプール戦でベタ引きしたら、こっちはドン引きです。アーセナル戦で引きまくった後、「10年に1度なら悪くないだろう? 」ととぼけた指揮官は、マンチェスターダービーの後半もやりやがりました。レッズの関係者のみなさまに、ハーランドから目を離さぬようにと、申し送りをさせていただきます。


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