買収、業務提携、スポンサー…FFPのペナルティを無力にしたいマンチェスター・シティの逆襲!
おそらくこれに加え、アジアツアーや日本でのスクール開講など、さまざまな「コンテンツ」「ソフト」の供給も行い、マンチェスター・シティの日本におけるブランド浸透と、ソフト提供の対価としての日産自動車のイギリスにおけるスポンサードなどが展開されていくのでしょう。資本提携という形は、Jリーグでは初めてとなるそうです。
マンチェスター・シティの世界戦略は、後発クラブらしくスピード重視&パワープレイで着々と進められており、1月にオーストラリア・Aリーグに所属するメルボルン・ハートの株式を80%取得する形で買収しています。こちらはクラブ強化で収益を上げ、ホールディングスの売上・利益を伸ばすという目論見でしょう。同時に、オーストラリアでも何らかの形でマンチェスター・シティブランドの浸透強化を考えているのかもしれません。
アジア・オセアニアにとどまらず、プレミアリーグ終了直後の5月15日には、1月のFAカップ再試合のあおりで延期になっていたUAEツアーとして、アル・アインとの親善試合を開催(このときのパーティーで、誰もヤヤ・トゥレの誕生日を祝わなかったと問題になっているわけですね)。UAEでは、当地最大の建設会社Arabtecホールディングスと地域スポンサー契約を結んでおり、マン・シティがスポンサーフィーを受け取るのはもちろん、Arabtecが開発案件を請け負うロシア、中東、北アフリカ、インド、セルビアなどにおいて、マンチェスター・シティの建設案件が発生した場合は彼らが便宜を図ることになっています。いや、あちこちすごいスピードで手を伸ばしてますね。
多くのスポンサーを入れ、イギリス国内以外でも収益を上げられるコンテンツを展開することでCFGの売上を最大化し、そこから一定の額を選手獲得などの投資にまわす、というサイクルを早めて世界一のクラブをめざしているマンチェスター・シティ。FFP云々といわれるかなり前から、この世界戦略は順調に動いていたのだと思われますが、彼らの最大の誤算は「FFPのペナルティに移籍金と給与の上限縛りが盛り込まれたこと」でしょうね。多少の罰金は中長期的には問題なく、チャンピオンズリーグの登録人数縛りも、極論すれば来季1年だけは決勝トーナメント1回戦敗退でもやむなし、という割り切り方ができるのに対して、チーム強化の手段が限定されるのは激痛でしょう。プレミアリーグで5位以下に落ちようものなら、チャンピオンズリーグの収益、プレミアリーグ放映権料分配など、収益の算段が大きく狂ってきます。
さあ、逆襲のゴングが鳴り響きました。この夏の移籍市場での立ち回り、アジアや中東での新しいコンテンツ、そして来季の戦い方と、マンチェスター・シティには注目ポイントが山盛りです。果たして、FFPのペナルティを「取るに足らないこと」にしてしまえるのか!?まずは来季に向けてのチームづくりですね。続報あれば、随時ご報告します。(写真著作者/Alfonso Jimenez)
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これは面白い。上手く成功すればプレミアだけにとどまらないブランド作りができそう。
でも、1サッカークラブとしての理念はや基本は逸脱しています。
プラティニの考え方の一つ。スポーツである以上、公正なピッチ上での競い合いをビジネス(お金の力や収益・売上重視)が凌駕してはならない。と対立していると思います。
こちらの戦いに関する記事も楽しませてもらっています。感謝!
だしまるさん>
今までのクラブの概念にとどまらず、サッカークラブチェーンを作っている感じですね。以前にテレビ東京がやっていた、「郊外の流行ってないラーメン屋にプロデューサーを入れて、繁盛店にする」といった企画と共通項があります。