2022.09.12 マンチェスター・ユナイテッドの話題
テン・ハフ監督の指導で自信回復!好調ラシュフォードは、沈黙のロナウドをベンチに追いやるのか?
チームの混乱に沿うようにスランプに陥り、一時は移籍寸前とまでいわれたストライカーが、新監督の下で徐々に自分らしさを取り戻しています。マンチェスター・ユナイテッドの最前線を担うマーカス・ラシュフォード。2021-22シーズンは肩の手術で出遅れ、プレミアリーグ25試合4ゴール2アシストと、キャリアワーストの数字で終わっています。
フットボールプレーヤーとして最高のデビューを果たした彼の7年は、フィロソフィーが異なる4人の監督に応えようともがき続けた季節でした。ファーストチームデビューは2016年2月25日、ELラウンド32のミッティラン戦で衝撃の2ゴール。3日後のプレミアリーグ27節、アーセナルとのホームゲームでも2ゴール1アシストという数字を残し、3-2快勝の主役となりました。
8月に「ガーディアン」のジョナサン・リュー記者が、ラシュフォードの7年を振り返る記事を配信しています。18歳だった彼を抜擢したマネージャーはファン・ハール。「走りすぎるな」「6ヤードのボックスの幅に留まれ」と指導されたヤングスターは、センターフォワードとしてクラブの顔になるものと思われていました。ところが、「彼は真のストライカー」と評した奇才は、シーズンオフに解任。クラブが招聘したのは、最前線に求める条件が全く違う指揮官でした。
ジョゼ・モウリーニョが好むのは、圧倒的な存在感と高さ、強さを持ち合わせたクラシックなタイプです。最初のシーズンはズラタン・イブラヒモヴィッチが前線に君臨し、2年めはロメウ・ルカクが加わりました。
ポルトガル人監督のラシュフォードに対する評価は、「CFをやれないわけではないが、両サイドでプレイすれば優れた選手になれる」。2018年の年末、指揮官が解任になったとき、ラシュフォードは前線ならどこでもこなせるアタッカーになっていました。後任のスールシャールは、当初はセンターで起用し、2019年の秋から左のウイングに固定しました。
迷いの季節の始まりは、2020-21シーズン。前シーズンでプレミアリーグ31試合17ゴール9アシストというキャリアハイのスタッツを残したラシュフォードは、ポジションをコロコロ変えるようになった指揮官に、ストレスを溜めていました。公式戦57試合のうち、左が31試合、センターは17試合、右が9試合。よくいえば柔軟、悪くいえば場当たり的な采配のなかで、年明けからゴールのペースが落ちてしまいました。
そして2021年の夏、クリスティアーノ・ロナウドが降臨。守備の意識が低いスーパースターの加入で、10月に失点を激増させたクラブは、スールシャールを見限ってラルフ・ラングニックを連れてきました。年間のゴール数が実働3ヵ月のデビューシーズンを下回った10番は、タックルとインターセプトだけは自己ベストの数字を叩き出しています。
プレスを覚えたのが唯一の収穫だった悪夢の1年を経て、5月にやってきたのはエリック・テン・ハフ。移籍ゴシップのネタになっていた10番は、「世界最高の選手のひとりになれる」と称賛する指揮官との出会いで、自信を取り戻したようです。「ザ・サン」のリチャード・モリアーティ記者によると、テン・ハフ監督は「ラシュフォードは簡単にリーグ戦20ゴールを決められる」といっているそうです。
「彼のプレイには、改善すべき点がいくつかある。この2ヵ月、さまざまな視点で一緒にワークを行ってきた。彼はそれを気に入っており、ピッチに反映させたいと思っている。毎日、笑顔でやってきて、とてもポジティブな雰囲気がある。こういうことを積み重ねれば、チームのパフォーマンスや結果はもちろん、自分の成長にも返ってくる」(エリック・テン・ハフ)
9月4日のアーセナル戦は、デビュー戦と同じ2ゴール1アシスト。彼がセンターに入ってからのプレミアリーグは4連勝です。7年前と同じオランダ人監督の下で、ストライカーという原点に立ち返ったラシュフォードは、2019-20シーズンの17ゴール9アシストを超えられるでしょうか。
一方、デッドラインデーの直前まで、CL出場権があるクラブへの移籍を考えていたクリスティアーノ・ロナウドは、スーパーサブというポジションに収まってしまいました。今季はプレミアリーグ7試合0ゴール0アシスト。「ザ・サン」は、「SNSでは、CR7ではなくCR007、ネクスト・ジェームズ・ボンドと呼ばれている」といじり倒しています。
37歳のベテランストライカーの目線は、プレミアリーグではなく、ワールドカップと年明けのチャンピオンズリーグを捉えているのかもしれません。昨シーズンの24ゴールは、そっくりそのままラシュフォードに移ってしまうのでしょうか。アントニー、エランガ、サンチョ、マルシアル、ラシュフォードでも、戦えるような気もするのですが…。
(参考:2022年8月19日付「ガーディアン」記事「Marcus Rashford has drifted from young striking sensation to huffing workhorse」by Jonathan Liew)
フットボールプレーヤーとして最高のデビューを果たした彼の7年は、フィロソフィーが異なる4人の監督に応えようともがき続けた季節でした。ファーストチームデビューは2016年2月25日、ELラウンド32のミッティラン戦で衝撃の2ゴール。3日後のプレミアリーグ27節、アーセナルとのホームゲームでも2ゴール1アシストという数字を残し、3-2快勝の主役となりました。
8月に「ガーディアン」のジョナサン・リュー記者が、ラシュフォードの7年を振り返る記事を配信しています。18歳だった彼を抜擢したマネージャーはファン・ハール。「走りすぎるな」「6ヤードのボックスの幅に留まれ」と指導されたヤングスターは、センターフォワードとしてクラブの顔になるものと思われていました。ところが、「彼は真のストライカー」と評した奇才は、シーズンオフに解任。クラブが招聘したのは、最前線に求める条件が全く違う指揮官でした。
ジョゼ・モウリーニョが好むのは、圧倒的な存在感と高さ、強さを持ち合わせたクラシックなタイプです。最初のシーズンはズラタン・イブラヒモヴィッチが前線に君臨し、2年めはロメウ・ルカクが加わりました。
ポルトガル人監督のラシュフォードに対する評価は、「CFをやれないわけではないが、両サイドでプレイすれば優れた選手になれる」。2018年の年末、指揮官が解任になったとき、ラシュフォードは前線ならどこでもこなせるアタッカーになっていました。後任のスールシャールは、当初はセンターで起用し、2019年の秋から左のウイングに固定しました。
迷いの季節の始まりは、2020-21シーズン。前シーズンでプレミアリーグ31試合17ゴール9アシストというキャリアハイのスタッツを残したラシュフォードは、ポジションをコロコロ変えるようになった指揮官に、ストレスを溜めていました。公式戦57試合のうち、左が31試合、センターは17試合、右が9試合。よくいえば柔軟、悪くいえば場当たり的な采配のなかで、年明けからゴールのペースが落ちてしまいました。
そして2021年の夏、クリスティアーノ・ロナウドが降臨。守備の意識が低いスーパースターの加入で、10月に失点を激増させたクラブは、スールシャールを見限ってラルフ・ラングニックを連れてきました。年間のゴール数が実働3ヵ月のデビューシーズンを下回った10番は、タックルとインターセプトだけは自己ベストの数字を叩き出しています。
プレスを覚えたのが唯一の収穫だった悪夢の1年を経て、5月にやってきたのはエリック・テン・ハフ。移籍ゴシップのネタになっていた10番は、「世界最高の選手のひとりになれる」と称賛する指揮官との出会いで、自信を取り戻したようです。「ザ・サン」のリチャード・モリアーティ記者によると、テン・ハフ監督は「ラシュフォードは簡単にリーグ戦20ゴールを決められる」といっているそうです。
「彼のプレイには、改善すべき点がいくつかある。この2ヵ月、さまざまな視点で一緒にワークを行ってきた。彼はそれを気に入っており、ピッチに反映させたいと思っている。毎日、笑顔でやってきて、とてもポジティブな雰囲気がある。こういうことを積み重ねれば、チームのパフォーマンスや結果はもちろん、自分の成長にも返ってくる」(エリック・テン・ハフ)
9月4日のアーセナル戦は、デビュー戦と同じ2ゴール1アシスト。彼がセンターに入ってからのプレミアリーグは4連勝です。7年前と同じオランダ人監督の下で、ストライカーという原点に立ち返ったラシュフォードは、2019-20シーズンの17ゴール9アシストを超えられるでしょうか。
一方、デッドラインデーの直前まで、CL出場権があるクラブへの移籍を考えていたクリスティアーノ・ロナウドは、スーパーサブというポジションに収まってしまいました。今季はプレミアリーグ7試合0ゴール0アシスト。「ザ・サン」は、「SNSでは、CR7ではなくCR007、ネクスト・ジェームズ・ボンドと呼ばれている」といじり倒しています。
37歳のベテランストライカーの目線は、プレミアリーグではなく、ワールドカップと年明けのチャンピオンズリーグを捉えているのかもしれません。昨シーズンの24ゴールは、そっくりそのままラシュフォードに移ってしまうのでしょうか。アントニー、エランガ、サンチョ、マルシアル、ラシュフォードでも、戦えるような気もするのですが…。
(参考:2022年8月19日付「ガーディアン」記事「Marcus Rashford has drifted from young striking sensation to huffing workhorse」by Jonathan Liew)
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