ユース上がりを大量抜擢!”奇将”ファン・ハールが選んだラシュフォードと10数人の仲間たち
自分の好みに合わない選手を放出しすぎてトップチームを細らせ、年末からの長いスランプを招いたあたりに「ファン・ハールの限界」をみた一方で、ユース上がりのメンバーを駆使してアーセナルに勝ってしまうのが「ファン・ハールの底力」でもあります。今回は、稀代の奇将が起用してきた若手の顔ぶれをおさらいしつつ、その集大成ともいうべきマーカス・ラシュフォードについて、掘り下げて紹介させていただこうという趣向です。
今季のマンチェスター・ユナイテッドのベンチ入りメンバーを振り返ってみましょう。10節のマンチェスターダービーまでは、若手はそれなりにいたものの、プレミアリーグへの出場経験がない選手はGKサム・ジョンストンぐらい。昨季頭角を現したジェームズ・ウィルソンとバディ・マクネア、プレミアリーグ出場経験1試合だったリンガードとアンドレアス・ペレイラは、いずれも開幕前から今季の成長が期待されていた選手です。ファン・ハール監督のベンチに、フレッシュすぎる顔が登場した最初の試合は、10月31日のプレミアリーグ第11節クリスタル・パレス戦。アクセル・トゥアンゼベって…17歳ですよ!?昨季のクラブの最優秀若手選手ですが、U-21に上がったばかりなのに。そうです。すべては、ここから始まったのです。
次の事件は11月7日、ドリブルと高速クロスがウリの左SBボースウィック=ジャクソンがWBA戦でプレミアリーグデビュー。13節のワトフォード戦では、実は記念すべき出来事が起こっていたのです。マーカス・ラシュフォード、初のベンチ入り!この時期からショーン・ゴスと一緒に18歳のストライカーを呼んでおり、ジェームズ・ウィルソンをローンに出したことを重ね合わせると、先週のヨーロッパリーグでの起用は窮余の策ではあれど、思いつきではないことがわかります。ラシュフォードは、首位レスターとのゲームもベンチで見守っておりました。
15節のウェストハム戦でヴァレラ、12月8日のチャンピオンズリーググループステージ最終戦では、これまで欧州では決してやらなかった若手大抜擢に手を染めます。ヴァレラがスタメン、負傷したダルミアンの代わりはマクネアではなくボースウィック=ジャクソン、マタをニック・パウエルにチェンジという大事件。若手育成力に定評があるポチェッティーノ監督でも、負けられないゲームでエリクセンをオーダワなどという交代はしないでしょう。これぞファン・ハール基準。ここからは、毎ゲーム誰かしらがいるので、追いかけるのはやめましょう。ユース上がりの選手がいなかったのは、年始のスワンズ戦のみです。
あらためて、今季の「プレミアリーグ出場経験がなかったベンチ入り選手」を並べてみます。サム・ジョンストン、ギジェルモ・ヴァレラ、ボースウィック=ジャクソン、ドナルド・ラブ、アクセル・トゥアンゼベ、ニック・パウエル、ショーン・ゴス、ウィル・キーン、ジョー・ライリー、フォス=メンサー、ジェームズ・ウィア、そしてマーカス・ラシュフォード。いやいや、たった4ヵ月ですごいことになっていました。恥ずかしながら、ラシュフォードについては、野戦病院開設中の人数合わせとしか見ていませんでした。ここからは、突然現れた18歳の彗星について、あわてて調べた若干付け焼刃な情報を披露させていただければと思います。
地元クラブのフレッチャー・モス・レンジャーズ出身ということで、同じ1997年生まれのボースウィック=ジャクソンとはその頃からの知り合いだったようです。日曜日の試合でラシュフォードに負けじとゴールを決めたウェルベックも、ここから出ている選手ですね。昨季まではU-18のチームに所属しており、25試合で13ゴール。リザーブチームに昇格したのは今年の9月で、そこから2ヵ月でトップチームのベンチ入り、さらに3ヵ月で驚愕のヨーロッパリーグ&プレミアリーグ4ゴールです。アントニー・マルシアルがミッティラン戦の試合直前のアップでハムストリングを痛めていなかったら、ヴェンゲル監督がラシュフォードを覚えることもなかったかもしれず、人間、何が幸いするかわかりません。
ちなみに、彼の週給は8万円ほどだそうで、年収に直すと400万円とちょっと。ボーナスを入れても、ニッポンの中堅サラリーマンと大して変わらず、プレミアリーグのゴール数で並ばれてしまったメンフィス・デパイは相当気合いを入れないといけません。
それにしても、アーセナル戦のファン・ハール監督にはびっくりさせられました。ロホが負傷したとき、ベンチにマクネアと本職SBのジョー・ライリーがいたのに、プレミアリーグ初出場となるCBのフォス=メンサーをSBコンバートとは!ええと、相手はバイエルンに勝ったプレミアリーグ優勝候補ですよ!?…奇将には、お願いが2つあります。アーセナル戦という大ピンチを若手に助けられて乗り切ったのですから、この勢いでチャンピオンズリーグ出場権を獲得してください。そしてもうひとつ。隠し玉は、あと何人いるのですか!?これ以上、ファンや関係者をびっくりさせないよう、早めのご紹介をお願いいたします。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
計画性が感じられればもっと評価されるんでしょうけど汗
ちなみにオススメの選手教えて下さい!
porさん>
ラシュフォードはおいといて、私が注目しているのはボースウィック=ジャクソン、フォス=メンサー、アクセル・トゥアンゼベです。いずれも体ができてくれば、トップチームでがんがんやってくれるでしょう。前の選手がもっと出てくるとよいのですが。まだ出てきていない選手から、カラム・グリビンとミッチェルに期待しています。
初めまして。
ファンハールのダイブ芸コラを探してるうちに何故かこちらに辿り着き、面白く読ませて頂きました。
莫大な補強費をかけておいて活躍するのはアカデミー上がりの若手、という構図にベイル退団以降のスパーズに近いものを感じました。
一方でルーニーの負傷が心配です。
手術が必要な場合はEURO欠場やむなしだとかで、その場合ケインやヴァーディと共にラシュフォードが選出されることもあるかもしれませんね。
ホジソンはビッグクラブでスタメンとったイングランド人はすぐ呼びたがる傾向があるので。笑
このラシュフォードの奇跡のような大抜擢・大成功も、その遙か手前の11月に彼をベンチ入りさせて、トップチームとの練習・交流と言う下地をキッチリ作り上げていたルイの、魔術的とも言うべき若手発掘能力が導いた功績だったと言うワケですねー!ドワァアアァァー!!
や、何かもう凄く感動しました。この記事が読めて良かったです。『キセキ』と言う言葉の中には、単なる偶然を超えた人智の必然が介入することがある。
その事実に触れたような、小説的な感動が味わえましたよ。ありがとう。
更新ご苦労様です。
こうしてみるとファン・ハールは若手を積極的に登用してますよね。他のコメントにもありましたが、計画性があるともっと面白いチームになる感じがしますが、、、。それでも5位に位置しCLの望みがありんですから、ファン・ハールは優秀だと思います。
新星の活躍って続かないものですからね、ラッシュフォードにユナイテッドサポーターとしてしてあげられる事と言えば、あまり騒がないことだと思います
アヤックス時代のように若手軍団路線でいけば良いんじゃないですかね?笑
勢いがありますし。
大型補強をほどほどにして若手を育成してくれるならファン・ハールのままでも良い気がします。(CL出場権付きで)
グローリーグローリーさんの意見に私も賛同します。今回若手が活躍したのは非常に喜ばしい事ですが、それは怪我人が続出した事による副産物である要素が非常に高いと思います。
要はこれからです。怪我人が復帰してから若手とミックスしてチームを最適解に導けるのか、そしてそれを継続出来るのかがファン・ハールの課題になるでしょう。
ただ本当に嬉しいのはユナイテッドの下部組織が枯渇していなかった事です。これから彼らが中心になって行くかは分かりませんが、彼らの可能性を見せてくれた事をファン・ハールには感謝したいですね。あらゆる意味でこれからのユナイテッドに期待したいです。
あすえことさん>
確かに、スパーズっぽい展開になってきました。ラシュフォードがユーロは、相当なシンデレラですね。盛り上がるよりも怖さが先にたってしまいます。
サンドバックさん>
ありがとうございます。ファン・ハールさんは、マメにユースをチェックしているようですね。U-21で出てない選手をよく見つけてきたなと思います。
Mackiさん>
いい監督だと思うのですが、ときどきトップレベルの選手とバチバチやってしまうのが玉にきずです。若手発掘は素晴らしいんですけどね…。
グローリーグローリーさん>
確かに。サポーターは落ち着かないと、ですね。
ユナイテッドさん>
おお、なるほど。12月からついこないだまでのサッカーを思い出すと複雑な気分ですが…。
parliamentさん>
来季の監督をどうするかはともかく、ファン・ハールさんに感謝したいというご意見にはとても共感します。いい若手が出てくると、元気出ますね。