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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

新体制で戦力の見直しを進めるマンチェスター・ユナイテッド。低調アントニーは残留か、売却か?

マンチェスター・ユナイテッドが、抜本的な改革を進めようとしています。サー・ジム・ラトクリフが株式を取得してチームの管理・運営を委譲され、1月にはマン・シティでフットボール部門の運営責任者を務めていたオマール・ベラダがCEOに就任。ジョン・マータフFDは去り、後任としてニューカッスルのダン・アシュワースSDが招聘されるといわれています。

テン・ハフは来季も指揮を執るのか。指揮官の去就に関わらず、戦力は見直されるでしょう。ファン・デ・ベーク、サンチョ、マルシアルは放出が既定路線。ヴァラン、リンデロフ、ジョニー・エヴァンス、マグワイア、エリクセン、カゼミーロもお別れとなるかもしれません。ラシュフォードはパリ移籍の噂があり、アムラバトはイタリアに帰るはずです。

そんななかで、「残留か放出か」を注目されている選手が、もうひとりいます。テン・ハフ監督が初年度に獲得を熱望したといわれるアントニー。2022年の夏、マンチェスター・ユナイテッドがアヤックスと握った移籍金は最大8550万ポンド(当時のレートで約139億円)で、「フットボール史上13番めの高額ディール」と話題になりました。

プレミアリーグデビューのアーセナル戦でいきなりゴールをゲットし、マンチェスターダービー、エヴァートン戦でも決めて3連発。順風満帆だったウインガーは、抜けないドリブルと単調なカットインを読まれるようになり、その後の22試合で1ゴールに留まっています。ELと国内カップを足すと、44試合8ゴール3アシスト。8550万ポンドに見合うスタッツではありません。

2年めはフィットするはずと期待されたブラジル代表は、元パートナーによる暴行の告発というスキャンダルでつまずき、初年度より低調なパフォーマンスが目立っています。プレミアリーグ22試合ノーゴール。アシストゼロ。シュート26本のうち、オンターゲットは6本のみです。ビッグチャンスクリエイト5回が唯一の輝きで、ついにガルナチョにポジションを奪われてしまいました。

衝撃的だったのは、ホイルンドが負傷リタイアとなったフラム戦です。ラシュフォードをセンターにまわした指揮官は、アントニーではなくフォーソンをサイドに抜擢しました。0-0で前半を終え、最初の交代カードはエリクセンとマクトミネイ。リードされてからメイヌーと代わったのは、3年ぶりのプレミアリーグ出場となるアマド・ディアロでした。

最近のプレイを評価せず、敗色濃厚となった追加タイム9分に彼を送り出した指揮官は、不振に陥った最大の理由はスキャンダルによるメンタルの問題と信じているとのこと。影響はあるのかもしれませんが、心の傷が癒えたらアヤックス時代のプレイを取り戻すといえるわけではありません。かつてのデパイよりも厳しい状況となった今は、高額移籍金が問題になっているようです。

「テン・ハフの前任のスールシャール時代に、アントニーに関するスカウティングレポートがあり、ユナイテッドのスタッフは2500万ポンド程度と評価していた」。アントニー獲得の経緯を振り返った「アスレティック」のマーク・クリッチリー記者は、現状についても厳しいとレポートしています。

「2022年末のインタビューで、当時アヤックスのSEOだったエドウィン・ファン・デル・サールは、ユナイテッドのジョン・マータフFDとリチャード・アーノルドCEOに、可能な限り出してほしいと挑発したと語っている。最終的にユナイテッドの元GKは、1億ユーロともいわれる移籍金を手に入れた」

「1億ユーロという数字は、この夏のユナイテッドがファイナンシャル・フェアプレーのルールに基づき、多額の損失を出さずにアントニーを売却できるかという問題を引き起こしている。クラブの会計では、新戦力の移籍金は減価償却される。8130万ポンドで5年契約を結んだアントニーは、3年めとなる来季終了時点で3250万ポンドとなる」

つまり、アントニー売却が赤字にならないようにするためには、7月以降に3250万ポンドを上回る移籍金で売却する必要があるということです。今のアントニーを、この額で売るのは難しいでしょうね…。サポーターとしては、勝利に貢献するパフォーマンスを披露してくれることを祈りつつ、新体制は的確な補強をすると信じるしかありません。


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