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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マンチェスター・ユナイテッドに関する「ザ・サン」のゴシップがあまりにアレだった件について。

トランスファーマーケットに関する記事は、玉石混交。読者を増やしたいメディアが、あの手この手で日々、ゴシップを流しています。いかにもありそうな話にするのが記者の腕の見せどころといったら、いつも本気で書いていると叱られるでしょうか。いや、事実を散りばめながらも、ファンタジーと自覚している確信犯が大半でしょう。

ニッポンの感覚だと「メディアは事実を客観的に伝えるべし」。対してあちらは、特定の政党や思想を支持するメディアが当たり前に存在し、フットボールに関する記事も「信じるか信じないかは、あなた次第」です。選手の移籍について「事実だけを知りたい」「変な噂に振り回されたくない」方は、8月末に確定した後、クラブごとのリストを見るのをおすすめします。

「多少ハズレがあってもいいので、信頼性の高い記事を読みたい」という方には、おもしろいレポートを書く記者やジャーナリストを何人か、紹介しましょう。トランスファーマーケットを専門とするジャーナリストなら、ファブリツィオ・ロマーノ、ベン・ジェイコブズ、ジャンルカ・ディ・マルツィオといったところでしょうか。

私が普段、参考にさせてもらっているのは、「アスレティック」のデヴィッド・オーンスタイン、「ガーディアン」のジェイコブ・スタインバーグ、「スカイスポーツ」のダルメシュ・シェス、「BBC」のサイモン・ストーン&フィル・マクナルティ、「テレグラフ」のサム・ディーン&ジェームズ・ダッカーといった記者のみなさんです。

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。ゴシップといっても、大抵はフェイクかホントかわからないぐらいには工夫されているのですが、土曜日に見つけたその記事には絶句するしかありませんでした。「ザ・サン」はゴシップの代名詞のようなメディアですが、それににしても…。ウガルテの移籍金にNGを出したクラブが、CBをもうひとりはないでしょう。

Man Utd set to launch fresh Jarrad Branthwaite transfer bid after Leny Yoro is ruled out for three months(レニー・ヨロが3ヶ月の離脱を余儀なくされた後、マン・ユナイテッドはジャラッド・ブランスウェイトの移籍交渉に着手)」。そういえば、そんな話もあったっけ…と遠くを見つめてしまいそうになるタイトルです。

個人をどうこういいたいわけではないので、記者の名前は伏せましょう。彼の最新の記事は「オリンピックの生放送中に、食事しながら電話しているところを捉えられたBBC解説者の気まずい瞬間」というコントのようなレポートです。いきなり、「マン・ユナイテッドは、レニー・ヨロが1月まで復帰できないと予想している」と盛ったのは、CBを狙う動機が必要だからでしょう。

18歳のニューフェイスについては、先週、クラブの公式サイトが「全治3ヵ月」とはっきりいっています。「夏の初めに、ユナイテッドは3500万ポンドに800万ポンドのオプションを付けた最初のオファーを提示したが、7000万ポンドを要求するエヴァートンに拒否された」までは事実ですが、「5000万ポンドのオファーは、エヴァートンの興味を惹く可能性がある」は、彼の作文です。

「ユナイテッドは、そこまでの金額を出す用意があるかもしれない」には、「かもしれないって、どういうことやねん」とツッコミを入れるしかありません。「ブランスウェイトは、すぐにユナイテッドのトップチームに加わるだろう」と続けた記者は、「レッド・デヴィルズの情報筋は、彼とヨロのCBコンビがチームの主軸になる可能性があると信じている」といっています。

さらに、「しかしこれは、昨夏にウェストハムに移籍する寸前だったハリー・マグワイアの将来に、大きな疑問符を付けることになるだろう」。この一文の後は、手術に踏み切ったレニー・ヨロがファンからの応援メッセージを喜んでいたという話しかありません。あ…すみません。今、気づきました。「ひどい記事なんすよ」といいながら、私がみなさんに読ませてしまいました!

間が悪いことに、これが出てから24時間も経たないうちに、デ・リフトとマズラウィがクラブ間合意。ドイツとの交渉が佳境となっていたこのタイミングで、なぜブランスウェイトに走ったのか。昨日、「ザ・サン」のフットボールカテゴリーのTOPには、「バイエルンとの間で、5100万ポンドの驚異的なダブル移籍に近づいている」というマジ記事が掲載されていました。わかりやすいハシゴ外しですね…。

「BBC」のゴシップのリンク集で見つけた気になるタイトルにうっかり手を出してしまい、せつない気分になったので、もの好きな方々におすそ分けした次第であります。口直しに、フェイクじゃない記事をひとつ紹介しましょう。マンチェスター・ユナイテッドのGKに関する最新のレポートですが、タイトルを見ただけで中身がわかってしまうかもしれません。

OH-NO-NO Fans say ‘Onana needs to drop this gimmick’ as Man Utd keeper brings back his old antics in Community Shield shootout

意訳すると、「マン・ユナイテッドのキーパーがコミュニティ・シールドのPK戦で、昔のふざけたプレイを復活させた。ファンから『オナナはこんなギミックはすぐに捨てるべきだ』の声が殺到」という記事です。「オナナ」と、「OH-NO-NO(だめだこりゃ)」をかけただけの出オチですね。はい。もちろん「ザ・サン」です。書かれていることは事実ですけど…。


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