偏愛的プレミアリーグ見聞録

ロメウ・ルカクの移籍が合意に至ったと報じられたナポリは、スコット・マクトミネイも本気で獲ろうとしているようです。3000万ポンドを要求するマンチェスター・ユナイテッドに対して、彼らのオファーは2120万ポンド。残り1週間で、一気にギャップを詰めてきてくれれば、ダン・アシュワースSDは懸案だったウガルテ獲得を実現できそうです。

そんなことを考えながら、メディアをチェックしていると、マン・ユナイテッドが新たなMFを獲得という記事が目に入りました。セク・コネという選手をご存じでしょうか。「マンチェスターイブニングニュース」「Goal」が揃って「Wonderkid」と絶賛する18歳のアンカーです。マリのグイダルスに支払う移籍金は120万ポンド。出場試合数に応じてボーナスが加算されるようです。

トッテナムのイヴ・ビスマを輩出したバマコのJMGアカデミー出身で、昨年12月のU-17ワールドカップでは、マリ代表を3位に押し上げる原動力となっています。「アスレティック」のローリー・ウィットウェル記者によると、イングランドでの生活に慣れるまではU-21のチームに所属する予定で、頭角を現せばトップチームから声がかかるはずです。

セク・コネについて調べているうちに、「ウガルテの移籍金が下がらないなら、スルーしてもいいのではないか」と思うようになりました。いきなり18歳を起用すればいいなどと、乱暴なことをいうつもりはありません。PSRを気にしながら5100万ポンドという高額の移籍金を投じるより、この1年は現有戦力で切り抜け、若手の成長に賭ける道もあるのではないかと考えたのです。

マンチェスター・ユナイテッドの夏の補強を採点するなら、95点というハイスコアを付けてもいいのではないでしょうか。将来の最終ラインの軸になると見込んだレニー・ヨロには、5890万ポンドという思い切った投資をしていますが、4270万ポンドのデ・リフト、3650万ポンドのザークツィー、1710万ポンドのマズラウィは人選も費用も納得感があります。

即戦力もさることながら、評価すべきは将来性があるティーンエイジャーの獲得でしょう。アーセナルを退団したチド・オビ＝マルティンは、16歳だった昨シーズンのU-18プレミアリーグで18試合32ゴール！ラスト9戦連続ゴール、そのうち5戦でハットトリック、ノリッジ戦で7発と数字を並べるだけでもテンションが上がります。

クリスタル・パレスから獲ったウィンガー、サミュエル・ルサールも16歳。父親はザンビア、母親は南アフリカ、本人はイングランド育ちでスロバキアU-17代表というユニークなFWは、驚異的なスピードを絶賛されています。近い将来、ガルナチョ、オビ＝マルティン、ルサール、メイヌー、セク・コネというフレッシュな布陣がプレミアリーグを席巻するかもしれません。

近年、躍進を遂げたアーセナルには、ブカヨ・サカ、エンケティア、スミス・ロウといった生え抜きの成長と、マルティネッリやサリバのような原石発掘がありました。新体制で巻き返しを図るクラブも、若手の育成と堅実な補強でベースを構築し、ここぞというタイミングでファン・ダイクやデクラン・ライスのような大型補強という流れを創れればいいのではないでしょうか。

オビ＝マルティン、ルサール、セク・コネは、プレミアリーグの承認を得てから入団発表となります。マクトミネイが残留、ウガルテは見送りとなっても、長期的な視座に立った補強を推進したスポーツディレクターには拍手を送りたいと思います。2節はアウェイでブライトン。この夏の補強総額No.1の強敵ですが、ぜひ連勝を！