2025.03.04 マンチェスター・ユナイテッドの話題
欧州への道が途絶える寸前のマンチェスター・ユナイテッドは、残り試合で何をめざせばいいのか?

私と同じように、ワクワクしたサポーターが多かったのではないでしょうか。しかし客観的に見ると窮余の策です。プレミアリーグで14位に沈むクラブにとって、FAカップは来季の欧州につながる重要な大会。フラムとのホームゲームは、絶対に負けられない一戦です。ボールタッチ9回、パス成功2本、シュート1本と散々な出来だった9番の代役として、ふさわしいとはいえません。
プレミアリーグ出場は2試合で、スパーズ戦は1分のみ。イプスウィッチ戦の20分でシュートを打てず、ポジティブな数字はパス4本とデュエル1勝だけです。下部リーグのクラブに3-0で勝っているなら楽しみな策ですが、2ゴールが必要な状況で打つ手ではないでしょう。それでも彼は、がんばりました。ボックスのなかでバッシーを抜けるストライカーは、多くはないでしょう。
最大のハイライトは、延長前半の追加タイム1分。ボックス左で2人のDFの裏に入ったチド・オビ=マルティンは、レノと1対1になりました。角度がなかったストライカーの選択肢として、GKの股間もあったのですが、バッシーのスライディングが見えていたのでしょう。インフロントで浮かしてDFの足を避けたのは正解。しかし左手を振り上げたレノが、ぎりぎりでセーブしました。
いくつかの決定機を活かせず、PK戦で敗れたマンチェスター・ユナイテッドの次戦は、ヨーロッパリーグのラウンド16のレアル・ソシエダ。残された唯一の欧州ルートですが、プレミアリーグで9位のクラブにホームで1ゴールのチームが、ラ・リーガの9位に勝てるとは思えません。サン・セバスチャンのファーストレグの目標は、セカンドレグに希望をつなぐことでしょう。
「世界的に有名なマンチェスター・ユナイテッドの2025年のホームゲームを観戦するのは、緊張した役者たちが辛抱強い観客の前で、準備不足のリハーサルをたどたどしくこなすのを見守るようなものだ。チームはがんばっている。選手とスタッフは、スポルティングCPでの4年半で成功したアモリムのフットボールを再現しようとしている。しかし彼らは、セリフを忘れてしまうことが多すぎる」(カール・アンカ)
マンチェスター・ユナイテッドをこよなく愛する「アスレティック」のカール・アンカ記者は、クラブが掲げている「ミッション21」について、道筋が見えないといっています。クラブ創立150周年を迎える2028年にプレミアリーグを制覇するという中期計画は、このままではヴィジョンを明確にしたい経営ボードの自己満足に終わってしまいそうです。
ヨーロッパで常に収益を得られる(それがELだったとしても)チームにするために、200人のスタッフを解雇しようとしているクラブは、時間軸の計算ができているのでしょうか。ユルゲン・クロップは、リーグのトロフィーを獲得するまでに4年以上を費やしており、6年めに入ったミケル・アルテタは未だ実現できていません。
すべてがうまくいく楽観シナリオを描いたとしても、プロジェクトの名前は「ミッション2030」としたほうがリアルです。本気で実現をめざすなら、目標がなくなりつつある2024-25シーズンにできることはひとつです。「U-23の選手たちに、いい経験を積ませる」。ELはガチンコで戦うとしても、その次のアーセナル戦は思い切った布陣を選んでもいいのではないでしょうか。
リカバリーに長けたレニー・ヨロ、泥くさい守備が目を引くウガルテ、既にフィットし始めているパトリック・ドルグ、パスワークに長けたメイヌー、シュートの精度を高めてほしいガルナチョ、2列めで機能してくれそうなサークツィー。チド・オビ=マルティンとトビー・コリアーも、早い時間からの出番を増やしてほしい逸材です。
アモリムが望む選手を揃える資金がないなら、アモリムが望む選手に育てる…今後のプレミアリーグで、指揮官が若手を抜擢し続けてくれるなら、最後までハイテンションで応援できそうです。アーセナル戦は、古巣対決のチド・オビ=マルティンの2ゴールを期待しましょう。9年前の3月、2ゴール1アシストで勝利の立役者となったマーカス・ラシュフォードのように。
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