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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ルーベン・アモリムは前途多難?「アンドレ・オナナのロングフィードが増えた理由」

ルーベン・アモリムの3‐4‐2-1は、プレミアリーグで通用するのか。マンチェスター・ユナイテッドで成立するのか。少なくともいえるのは、現在は指揮官の理想にほど遠く、失敗して新監督を招聘するとやり直しを強いられるということです。PSR違反を回避するのに必死のクラブが、3バックのCBやWBを揃えてからアモリム解任となれば、経営的にも大きなダメージとなるでしょう。

40歳のポルトガル人指揮官は、自らの理想を頑なに貫こうとするイメージがありますが、実際はチームの状況を見ながら戦い方を変えています。2025年になってからの最も大きな変化は、アンドレ・オナナのロングフィードが増えたことでしょう。「アスレティック」のマーク・クリッチリー記者が興味深い記事を配信しています。

2023年の夏に、ダヴィド・デ・ヘアの後継者として入団したオナナは、ビルドアップをスムーズにする存在として期待されていました。初年度はミスが目立っていたのですが、最終ラインとの連携は徐々に向上し、今季はビルドアップの質が高まると期待されていました。テン・ハフが解任されるまでの数字を見ると、40ヤード以上のフィードは1試合あたり6本程度でした。

アモリム就任直後のイプスウィッチ戦は9本だったのですが、年が明けるとともに長いボールが急増し、現在は15本を超える試合も珍しくありません。「アスレティック」の記者が作った「オナナのロングフィードの本数ランキング」を見ると、14本以上の上位9試合のうち8試合は2025年です。最も多かったのは3月のアーセナル戦で、29本を前線に蹴り出しています。

アルテタのチームとのゲームが最多だったのは、最も厳しくプレスをかけてくるチームだったからでしょう。アモリムはオナナに、「相手が詰めてきてつなぐのが難しい状況では、不必要なリスクを冒さないでほしい」と伝えたそうです。劣勢だった1月のリヴァプール戦や、レアル・ソシエダとのホーム&アウェイでもロングフィードが多く、年明けからの8試合の戦績は5勝3分です。

今季プレミアリーグにおける40ヤード以上のローンチの総本数を見ると、1位はエヴァートンのピックフォードで631本。セルス、フレッケン、ディーン・ヘンダーソン、ラムズデールと続き、380本のオナナは6位です。気になるのは成功率で、上位3人が35%を超えているのに対して、オナナとディーン・ヘンダーソンは25%台に留まっています。

TOP3の高確率は、GKのパントが戦術に織り込まれているからでしょう。ピックフォードからカルヴァート=ルーウィン、セルスからクリス・ウッドは、長身のポストプレーヤー活用で、ブレントフォードのフレッケンはウィサ、エンベウモ、シャーデを走らせています。対してオナナのボールの飛び先にいるのは、空中戦の勝率が低い選手ばかりです。

ホイルンドは22%、ザークツィーは29%。ガルナチョの9%は、今季プレミアリーグのウインガーのワーストです。オナナのフィードはあくまでも緊急避難で、パスワークに長けたリサンドロ・マルティネスの離脱とマグワイア&デ・リフトのセンター起用などが、遠くに蹴らせるようになったきっかけだったのでしょう。

今季のマンチェスター・ユナイテッドは、90分あたりの自陣でのパス266.8本がリーグ最多で、ファイナルサードへの45.6本は16位。自陣でのボールロスト142回は、ワースト6位だそうです。こういうレベルから改善を図る必要があるとすると、来季もしばらくは苦しい戦いが続くかもしれません。余剰戦力の売却と補強がうまくいくといいのですが…。


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