2025.03.26 マンチェスター・ユナイテッドの話題
ルーベン・アモリムは前途多難?「アンドレ・オナナのロングフィードが増えた理由」

40歳のポルトガル人指揮官は、自らの理想を頑なに貫こうとするイメージがありますが、実際はチームの状況を見ながら戦い方を変えています。2025年になってからの最も大きな変化は、アンドレ・オナナのロングフィードが増えたことでしょう。「アスレティック」のマーク・クリッチリー記者が興味深い記事を配信しています。
2023年の夏に、ダヴィド・デ・ヘアの後継者として入団したオナナは、ビルドアップをスムーズにする存在として期待されていました。初年度はミスが目立っていたのですが、最終ラインとの連携は徐々に向上し、今季はビルドアップの質が高まると期待されていました。テン・ハフが解任されるまでの数字を見ると、40ヤード以上のフィードは1試合あたり6本程度でした。
アモリム就任直後のイプスウィッチ戦は9本だったのですが、年が明けるとともに長いボールが急増し、現在は15本を超える試合も珍しくありません。「アスレティック」の記者が作った「オナナのロングフィードの本数ランキング」を見ると、14本以上の上位9試合のうち8試合は2025年です。最も多かったのは3月のアーセナル戦で、29本を前線に蹴り出しています。
アルテタのチームとのゲームが最多だったのは、最も厳しくプレスをかけてくるチームだったからでしょう。アモリムはオナナに、「相手が詰めてきてつなぐのが難しい状況では、不必要なリスクを冒さないでほしい」と伝えたそうです。劣勢だった1月のリヴァプール戦や、レアル・ソシエダとのホーム&アウェイでもロングフィードが多く、年明けからの8試合の戦績は5勝3分です。
今季プレミアリーグにおける40ヤード以上のローンチの総本数を見ると、1位はエヴァートンのピックフォードで631本。セルス、フレッケン、ディーン・ヘンダーソン、ラムズデールと続き、380本のオナナは6位です。気になるのは成功率で、上位3人が35%を超えているのに対して、オナナとディーン・ヘンダーソンは25%台に留まっています。
TOP3の高確率は、GKのパントが戦術に織り込まれているからでしょう。ピックフォードからカルヴァート=ルーウィン、セルスからクリス・ウッドは、長身のポストプレーヤー活用で、ブレントフォードのフレッケンはウィサ、エンベウモ、シャーデを走らせています。対してオナナのボールの飛び先にいるのは、空中戦の勝率が低い選手ばかりです。
ホイルンドは22%、ザークツィーは29%。ガルナチョの9%は、今季プレミアリーグのウインガーのワーストです。オナナのフィードはあくまでも緊急避難で、パスワークに長けたリサンドロ・マルティネスの離脱とマグワイア&デ・リフトのセンター起用などが、遠くに蹴らせるようになったきっかけだったのでしょう。
今季のマンチェスター・ユナイテッドは、90分あたりの自陣でのパス266.8本がリーグ最多で、ファイナルサードへの45.6本は16位。自陣でのボールロスト142回は、ワースト6位だそうです。こういうレベルから改善を図る必要があるとすると、来季もしばらくは苦しい戦いが続くかもしれません。余剰戦力の売却と補強がうまくいくといいのですが…。
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