チームの不振、自らのサラリー、あるいは…デ・ヘアの契約延長が難航している理由を考える。
チームが現在のリヴァプールのポジションにいたら、デ・ヘアはすんなり契約を延長したのかもしれません。「BBC」「ガーディアン」など、交渉の難航を伝えてきたメディアは「チャンピオンズリーグを狙えるクラブに行きたがっている」「アレクシス・サンチェスと同等の週給を要求している」と報道。ワールドカップロシア大会で挫折感を味わうまでは、自らが置かれている環境に満足していたと思われる守護神に、契約延長の見直しを促したきっかけのひとつは、チームの不振という明確な事実でしょう。6勝3分4敗でプレミアリーグ7位に沈むマンチェスター・ユナイテッドは、チャンピオンズリーグでもヤングボーイズに苦戦し、90分を終えてもゴールを決められず。フェライニが追加タイムに決めた一撃がなければ、ホーム3試合がすべてノーゴールという不名誉な記録を打ち立てるところでした。
「チームには世界でNo.1のGKがいる。彼は残留を望んでいるだろう。代理人は選手の希望を喜んで叶えるはずで、経営ボードも彼に残ってほしいと考えている。遅かれ早かれ、いい結論が出ると思う」
ジョゼ・モウリーニョ監督は、デ・ヘア本人は残留を希望しているとコメント。すべてのサポーターが、その言葉を信じたいと思っているはずです。彼のビッグセーブで、何度チームが救われたか。とりわけサー・アレックス・ファーガソンが勇退した後は、プレミアリーグで積み上げた勝ち点の何割かは、デ・ヘアによってもたらされたものといっても過言ではありません。ここからは私の推測、いや「邪推」ですが、新契約締結を渋っていること自体に、ゴールマウスを守り続けてきたワールドクラスによるメッセージが込められているのではないかと思います。チームは勝たなければならない、そして選手はサラリーに見合う結果を出さなければならない、と。
2014年の夏に、モウリーニョ監督が語った言葉は正しかったのでしょう。10代の選手として最高額のサラリーでマンチェスター・ユナイテッドに移籍したルーク・ショーについて、「19歳の青年が求めるものを払ったら、われわれは死んだ。ファイナンシャル・フェアプレーにおいても、ロッカールームでも安定を殺すことになった」。移籍金は、契約の残期間や出す側の要求によって上下するものですが、サラリーは選手に対する評価そのもので、高額を得たタレントの不振は、しばしば周囲の選手の不満に直結します。今季のマンチェスター・ユナイテッドにおいて、開幕前から報じられてきた指揮官と選手たちの確執の背景には、法外なギャラを手に入れながらパフォーマンスが上がらないアレクシス・サンチェスに対するネガティブな気分があるように思えるのです。
マンチェスター・ユナイテッドがプレミアリーグのTOP4に食い込むためには、チームの空気を変える何かが必要なのではないかと思います。リーダーシップがあるCBの獲得、不振の選手の売却、あるいは指揮官交代…。損切りになることを覚悟して、アレクシス・サンチェスを売ることも、検討すべき手段のひとつなのではないでしょうか。「デ・ヘアは、アレクシスと同額が得たいわけではない」「自らの契約延長交渉を通じて、クラブに対してメッセージを送っている」…そんな見方は、穿ちすぎでしょうか。モウリーニョ監督がいうように「彼は残留を望んでいる」のは間違いないでしょう。ただし、「クラブが勝つための手を打つならば」という条件付きで。シーズンが終わったとき、稀代の守護神が新しい契約にサインしていることを祈ります。
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更新お疲れ様です
仰る通り、これまで何度チームを救ってきてくれたか…感謝しかない…
大好きな選手ですし、もちろんファンとしては絶対に残留してほしいのですが…
流石に現状のユナイテッドだと内容、結果の両方があまりに酷く出ていってしまっても文句は言えませんね
更新ありがとうございます。
なるほどです。ただ単に移籍したいわけではないということですか。
イブラ、キャリック、ルーニーのような勝者のメンタリティーを獲得したいですね。テリーを失ったチェルシーも同じことが言えるかもしれません。その意味でジダン獲得は有りだと思います。