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マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「スールシャールは次期監督として適任とはいえない」…クラブOBの主張は是か非か?

公式戦10試合9勝1分、得点25失点7。プレミアリーグでは7勝1分と未だ無敗で、就任時に8ポイント差だったアーセナルを抜き去ってしまいました。オーレ・グンナー・スールシャール監督率いるマンチェスター・ユナイテッドの快進撃を見て、次のシーズンも彼に指揮を執ってほしいと願うサポーターは少なくないでしょう。何しろ、クラブOBです。1998-99シーズンのチャンピオンズリーグ決勝で奇跡的な逆転劇の主役となったストライカーは、久しぶりのビッグイヤー獲得という夢を託すにはうってつけの存在です。

プレミアリーグ4位のチェルシーと2ポイント差。一時は諦めかけていたCL出場権が手に届くポジションに着けたチームにサポーターが盛り上がるなかで、別のクラブOBが「あの仕事は私でもできた」と主張しています。サー・アレックス・ファーガソンの黄金時代の礎を築いたレジェンド、ポール・インス。「ファーガソンならポグバを許さない」「モウリーニョは金遣いが荒いだけ」「マンチェスターダービーで、ワールドクラスと呼べるユナイテッドの選手はデ・ヘアのみ」と、歯に衣着せぬ発言を連発してきた元キャプテンは、「スールシャールを来季からの指揮官に据えると今決めるのは早計」といいたいようです。

誰でもできる発言で週末に物議を醸したインスさんが、真意を説明したいと「BBC」に語った内容について要約してみましょう。モウリーニョ監督の下で選手たちが幸せではなかったことは衆目の一致するところで、ロッカールームを盛り上げてチームを軌道修正するという仕事は簡単にできたというのが最初の主張です。「わかりやすいけど乱暴なインス節」であることを差し引いて、「指揮官と選手の確執が不振の理由なら、前任者を否定するのが成功の近道」なのは理解できます。

「オーレに失礼なことをいうつもりはない。彼はチームに楽しみ、自由、適切なプレイといった大きな違いをもたらした」と語ったレジェンドが最もいいたかったのは、「彼の改善は、夏以降の監督として適任であることを意味しない」「暫定監督は、長期的な答えにはなりえない」ということ。実例として、チェルシーでCLを制したディ・マッテオと、ラニエリ監督の後を継いでレスターをCLベスト8に導いたクレイグ・シェイクスピアの名前を挙げています。

ビラス・ボアス監督が解任された2011-12シーズンの3月にチームを引き受け、欧州の頂点に導いたディ・マッテオ監督は、オフシーズンに2年契約を勝ち取ったものの2013年11月に不振を理由に解任。シェイクスピア監督のほうも、新シーズンのプレミアリーグを8試合戦っただけでクビを宣告されています。これだけ見れば、暫定監督は解任ブーストの仕掛け人でしかなく、魔法が解ければ並のマネージャーに堕してしまうと受け取れますが、彼らがチームを追われた際の戦績に着目する必要があります。

ディ・マッテオ監督は、プレミアリーグで首位に4ポイント差の3位。解任直前の4戦で未勝利ではありましたが、うち2試合はマンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールです。CLで3位に沈んではいたものの、この数字で解任していたら、ポチェッティーノ監督やクロップ監督は今のチームにいないでしょう。1勝3分4敗だったシェイクスピア監督も、敗れた4試合はアーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リヴァプールで、3つは1点差の惜敗です。暫定監督がいい結果を残せないのではなく、雇う側が暫定というレッテルを剥がさないという面のほうが強いように感じられます。

インスさんは、経験が足りないノルウェー人監督に任せるのではなく、プレミアリーグで実績があるポチェッティーノ監督を招聘すべしと主張しています。最前線ラシュフォード、ルカクのサイド起用、リンガードの偽9番、ポグバを攻撃的にシフトとさまざまな新機軸を打ち出しているスールシャール監督の手柄は、前任者時代の暗雲を振り払ったということだけでしょうか。インスさんには、大きな見落としがあるように思います。9勝1分という数字は簡単に出せるものはありません。

とはいえ、シーズンの大詰めはこれから。最終結果を見てからジャッジするべきという意見には賛成です。私が今、思うのは以下の2つです。「オーレ・グンナー・スールシャールは有力な次期監督候補のひとりである」「彼に任せるなら、クラブは全力でバックアップし、簡単に見限らないでほしい」。最終的な結論を出すのは時期尚早であるのを承知で、お聞きします。マンチェスター・ユナイテッドサポーターならびにプレミアリーグファンのみなさん、本件いかがでしょうか?

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“「スールシャールは次期監督として適任とはいえない」…クラブOBの主張は是か非か?” への5件のフィードバック

  1. 爪楊枝 より:

    ポチェッティーノを取れって簡単に言いますけど、トッテナムが簡単に出すとは思えませんし、もし移籍する意思があるならレアルだって喜んで手を挙げる監督ですからねぇ。
    現実味がある意見とは思えませんね。

  2. むん より:

    チームには必ずバイオリズムがあるはずなので、落ちてくるときに何ができるか、が評価の分かれ目じゃないかなと思います。今のプレミアは状態が悪くても個々のスキルで何とかなった昔ほど甘くはないので。

    とはいえ現時点においてスールシャール監督を否定する必要なんて、まったくないですよねえ。余計なこと言わず黙っとけ、これに尽きます笑

  3. サンドバッグ より:

    サッカー史的超名将モウリーニョの後を受け
    いきなりこれほどの戦績を残せる監督は中々
    いないと思います。
    ポチェが素晴らしいのは間違いないけど、、、
    今のスールシャール以上の戦績を築けたとは
    到底思えない。。フットボールにおいて大切な
    のは結果。とにかく何よりも結果を残すこと。
    そして、このスールシャール以上の結果が
    今のユナイテッドに果たして有るのだろうか?

  4. セオ より:

    グーナーの立場で言わせてもらえば、次の試合まではもう少しさんに指揮してもらいたかったです。
    それほど今のユナイテッドは別のチームになってしまいました。
    それでもクラブのレジェンドが監督としてカムバックして伝統を守りつつチームを強化し結果を出すとゆうのは、サポーターとしては最高以外の何者でもありませんよね。
    比較的短くはありましたが、ベップの英才教育を受けたアルテタさんが指揮するチームを見てみたいし、アンリ、ビエラ、ピレス、あるいはベルカンプのチームを見てみたい。
    オレグが来シーズンも率いるなんて、グーナーからしたらイヤですよ、絶対強いでしょうから。
    でもプレミアファンから言わせてもらえばワクワクしますよね。

  5. アイク より:

    名将を探し続けるのも良いですが、
    レジェンドがチームを率いて栄冠を勝ち取ることは、クラブを新たな次元に押し上げる意味があると思います。そしてサポーターならそういう夢を見たいですよね。
    ミランの苦戦ぶりを見る限り難しい挑戦ですが、今の成績なら替える理由が無いですよね。ペップやジダンは出来過ぎです

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