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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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モウリーニョ監督と熱い握手!スティーブン・ジェラードが語った「リヴァプール退団を決めたとき」

「ワールドサッカーダイジェスト」が、「リヴァプール・エコー」の番記者で、スティーブン・ジェラードに近いジェームズ・ピアース記者の独占インタビューを掲載していました。今季限りでプレミアリーグを離れ、新しい世界でチャレンジすることを選んだジェラードは、旧知の記者とのカジュアルな会話だったこともあってか、率直にその胸中を語っています。「家族にとっても自分自身にとっても、決断までの数日間はとてもエモーショナルだった」「早く発表したかった。オープンにすれば決して小さくない波紋を呼ぶのはわかっていたが、この問題を早くクリアにしてサッカーに集中したかった」「アンフィールドでリヴァプールと戦うのは避けたかったので、プレミアリーグだけじゃなく、ヨーロッパのクラブではプレイできないと考えた」といった言葉からは、決断の重さとずっと忠誠を尽くし続けてきたリヴァプールへの深い愛情がうかがえます。

このインタビューのなかで、気になったコメントが2つありました。ひとつは、彼があらためてフランクに語ったリヴァプールを離れようと思った理由。もうひとつは、ランパードの契約の話に端を発した「レンタルの可能性について」です。ジェラードは、ロジャース監督にプレイする時間を制限するといわれたことが、リヴァプール退団という選択につながったと語っており、夏に契約書を出されたらサインしていたと語っています。

「スカッドプレーヤー(その他大勢の選手)になることを、僕自身が受け入れられなかったからだ。それが最大の理由。監督からプレータイムを制限すると伝えられてね。正直、ショックだった。来シーズンはもっとシビアな状況に置かれるだろう。時間が経てば経つほどに、リバプールでの僕の居場所はなくなっていく。そう確信したんだ。(中略)プレシーズン中に話し合って、契約書を目の前に用意されていたら、おそらくサインしていたよ。クラブに専念するために、僕はイングランド代表を引退した。リバプールでのパフォーマンスに影響が出るのが嫌だったんだ。いずれにしても、今となっては『たられば』の話さ。自分自身、夏から11月にかけてゆっくり将来を考えられたしね。誰かを批判するつもりはないし、怒ってもいない」
(ワールドサッカーダイジェスト記事「スティーブン・ジェラード 決断の理由」より引用・抜粋)

フランク・ランパードが長年貢献してきたクラブを離れるときにも思いましたが、これは難しい話ですね。リヴァプールとロジャース監督が、ジェラードの運動量やプレイの質がどこまで衰えてしまうのかを判断しないうちに新しい契約を結ぶのはリスクだと考えて、夏を見送ったのであれば、それはそれで納得です。サポーターのみなさんのなかには、「クラブの功労者なのだから、残ってもらうことを最優先に早く再契約してほしかった」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、ジェラードが常時出場を求める限りは、お互い「袂を分かつ」という選択しかなかったのだろうと思います。マンチェスター・ユナイテッドひと筋で引退したライアン・ギグスのように、どんな形であれクラブに貢献できればよしとするならば、ジェラードがアンフィールドでスパイクを脱ぐという幸せな結末もあったかもしれません。

そして、MSLのオフシーズンにレンタルでリヴァプールに復帰するという話については、否定も肯定もしない、オファーするのはクラブだといいながら、「チームのみんなと一緒に練習できるなら、ぜひ実現したい」と語るに留めています。リヴァプールとしては、ジェラードが練習に合流するのはウェルカムだとしても、パートタイムでプレイしてもらう日は迎えたくないものです。ヴェンゲル監督とアンリがそうだったように、ロジャース監督が復帰を求めるときは、チームはプレミアリーグで苦戦しているはずですから。

レンタルといえば、20日に行われたキャピタルワンカップ準決勝で、リヴァプールと1-1で引き分けたチェルシーのモウリーニョ監督が、試合後にジョークを飛ばしていました。イギリスメディア「BBC」に、ジェラードにプレミアリーグに残ってほしかったかと問われたチェルシー指揮官は、すかさず「レンタルで獲得するとか?」と返しています。

これを聞いて、「ランパードをレンタルといって獲得したマンチェスター・シティに対する当てつけ?」などとうがった見方をする方もいるかもしれません。しかしここは、交代でベンチに下がったジェラードに拍手を送り、熱い握手まで交わしたモウリーニョ監督の姿勢に免じて、単なるジョークとして流してあげたいと思います。戦いを終えたばかりのライバルクラブのキャプテンに対して、ああ見えても実はピュアなモウリーニョ監督はリスペクトを惜しみませんでした。

「ジェラードがプレミアリーグを去るのはとても残念だ。私は、プレミアリーグにはベストプレイヤーがい続けてほしいと思っている。彼には、プレミアリーグでプレイできるだけのクオリティがまだまだ充分に備わっていると思う」

その瞬間を待ち構えていたかのように、モウリーニョ監督が手を差し出した、あのシーンは美しかった。アンフィールドで戦う最後のキャピタルワンカップを終えたジェラードは、これからもひとつずつ、何度となく対戦してきたライバルやスタジアムと別れを告げていきます。彼の誕生日である5月30日に開催されるFAカップ決勝が、「最後のウェンブリー」になることを願っています。

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“モウリーニョ監督と熱い握手!スティーブン・ジェラードが語った「リヴァプール退団を決めたとき」” への3件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    ジェラードの「人生においてリヴァプール相手にゴールを決めることはない」って言葉もカッコいいですね

  2. リバサポ より:

    ジェラード退団後に起こるであろうチームの求心力低下を考えると恐ろしいですね。チェルシーであれば、数々のビッククラブを指揮したモウリーニョの存在、テリーの残留により大崩れが起きなかったですが…
    今のチームをヘンダーソンが背負うのはかなり荷が重いように思えます。ジェラードがキャプテンに就任した時にはヒーピア兄さんがいたのでバックアップ体制がしっかりしていました。あぁ、アッガー帰ってきて欲しい。

  3. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ジェラード退団後のチームを想像するのは悲しいです。
    他の方もコメントでかいてますが、やはり誰か重鎮のようなバックアッパーがいると安心しますね。ヘンドがキャプテンでしょうが、全体的にチームが若いので、ここぞと締める選手が必要かなと、、、。私もリバサポさん同様アッガー帰ってきて欲しい、、、。

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