偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ通算234試合出場160ゴール。7年連続でシーズン15ゴールを突破しているハリー・ケインは、歴代最多となる260ゴールをゲットしたアラン・シアラーまで100ゴールというポジションにいます。163ゴールで歴代7位のロビー・ファウラーと、1差で8位のジャーメイン・デフォーは今季中にかわすでしょう。2021-22シーズンに20発以上を積み上げて180を超えれば、175ゴールのティエリ・アンリ、177のフランク・ランパード、181発を決めているセルヒオ・アグエロを一気に抜き去って、4位にジャンプアップするものと思われます。

現在のTOP3は、シアラーの下に208ゴールのウェイン・ルーニー、187ゴールのアンディ・コール。スペインからの誘いに乗らなければ、2023年6月に迎える30歳のバースデーまでに、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドたちの上に立つ可能性があります。その後の目標は、ひとり。「スカイスポーツ」が、シアラーとハリー・ケインのスタッツを徹底比較し、スパーズのストライカーが史上最高の座を奪うための条件を具体化しています。

「Will Harry Kane beat Alan Shearer’s Premier League goalscoring record?」と題された記事に手伝っていただき、両者の主要スタッツを比べてみましょう。シアラーが160に到達したのは28歳の時で、ハリー・ケインは27歳9ヵ月。ニューカッスルのエースが224試合を費やしたのに対して、スパーズのストライカーは234試合を要しています。シアラーはその後の82試合で200ゴールの大台に乗せていますが、ハリー・ケインにとって72試合40ゴールはさほど無理のないペースです。近年、恒例行事のようにどこかで靭帯を痛めているスパーズの10番に、長期離脱がなければ、30歳からの3～4年で60を上乗せできるかどうかという勝負になります。

シアラーのペースは147分に1ゴール、ハリー・ケインは122分に1ゴール。シーズンあたりの欠場試合数は、シアラーが7.92でハリー・ケインが5.66と、こちらも現代のストライカーが優勢です。シアラーは右足74%、左足7%、ヘッドが17%でPKは21%。ハリー・ケインは右足62%、左足21%、ヘッド16%でPK15%となっており、偏りが小さいのも有利なポイントです。シアラーは67%がホームゲームでしたが、ハリー・ケインは49対51でアウェイのほうが多く、「どこでも、どんなシーンでも決められる」「オールラウンダー」といった表現がはまるのは後者です。

ハリー・ケインは、シアラーを凌駕するのか。答え合わせは5年以上も先の話になりますが、評論家の予想もチェックしておきましょう。「アラン・シアラーの記録を破るだろう。彼は過ちを犯さない。時間の問題だ」とあっさりいい切ったのは、ジェイミー・レドナップ。「スカイスポーツニュース」のマイケル・ブリッジさんも「記録を破ると思う。驚異的だ。今シーズンの彼は、ときどきケヴィン・デブライネを思い出させるぐらい深く下がり、プレミアリーグのアシスト数でTOPに立っている。適応している証拠だ」と語っています。

「彼が記録をに届かない唯一の可能性は、ケガだ」と続けたブリッジさんは、「プレミアリーグの他のクラブに移籍すれば、記録を達成するという人たちもいるね。どうだろう。スパーズでもいけると思うけど、例えばシティなら疑問をはさむ余地がなくなる」ともいっています。同じく「スカイスポーツニュース」で活躍するジャーナリストのジェラード・ブランドさんも、「スパーズで実現する可能性が高いのか、それとも他のどこかで達成する可能性が高いのかという議論があるね」と指摘。加えて、30歳を過ぎてからも年間6～7試合しか欠場していないシアラーに負けないペースをキープできるかも、ポイントのひとつとしています。

2020-21シーズンのプレミアリーグで、27試合17ゴール13アシストという秀逸なスタッツを残している稀代のストライカーは、頂点に立つことができるでしょうか。ちなみに、イングランド代表ではハリー・ケインが45試合32ゴール、シアラーは63試合30ゴールと既に逆転。こちらでも、歴代最多のウェイン・ルーニーの53ゴールを抜けば、史上最高のイングランド人ストライカーの称号を得られます。負傷さえなければ、いけそうですが、果たして…!?