偏愛的プレミアリーグ見聞録

「プレミアリーグでNo.1のゴールキーパーは？」と問われたら、誰を思い浮かべるでしょうか。ひと昔前なら、即答でダヴィド・デ・ヘアという方が多かったのではないかと思われますが、マンチェスター・ユナイテッドでディーン・ヘンダーソンとポジション争いをしている守護神のセーブ率は、プレミアリーグ17位の67.5%です。数々のビッグセーブからアリソンやロリスを想起した方には、「最も損をしているGKは？」と、質問を変えてみたくなります。現在、セーブ率で首位に立っているのは、精度の高いパントのイメージが強いエデルソンです。

マンチェスター・シティの絶対的守護神が、ショットストッパーとしてもトップクラスであることは多くの方がご存じでしょう。しかし、今季のチームはルベン・ディアスとジョン・ストーンズがシュートコースを切りまくっているため、ビッグセーブを見せる機会はほとんどありません。セーブ率78.3%は堂々の1位、クリーンシート16試合も1位。それでも、2位と3位のほうが評価されているように思えます。

セーブ率2位は、アストン・ヴィラに移籍してキャッチングのうまさを見せつけているエミリアーノ・マルティネスで78.2％。ムダな動きがないバーンリーのニック・ポープが77.7%で3位です。昨季プレミアリーグNo.1のウーゴ・ロリスは77.2%で4位。以下はフラムのアレオラ、チェルシーに加入したメンディ、リーズで奮闘するメリエと続き、アリソンは10位、昨季は2位だったレノは68.8%で16位に沈んでいます。

クリーンシートのランキングは、エデルソンの次に14試合のエミリアーノ・マルティネスとエドアール・メンディが並ぶ「3E」対決。10試合のロリスとシュマイケルまでが2ケタです。クリーンシート率になるとTOP3の順位が変わり、メンディが58.3%、エデルソンが55.2%、エミリアーノ・マルティネスが50%。デ・ヘアは37.5%で5位に入っていますが、ライバルのディーン・ヘンダーソンは5試合中3試合を無失点に抑える「影の1位」で、下剋上を狙っています。

上位の顔ぶれが見えたところで、別な視点からGKのパフォーマンスをチェックしてみましょう。単純にセーブ数の多さで並べてみると、1位はWBAのサム・ジョンストンで112回、2位はリーズのメリエで109回、シェフィールド・ユナイテッドのラムズデールが3位で105回。セーブ率1位のエデルソンは60本しかセービングの機会がなく、47セーブで18位に留まっているのに対して、僅差で3位のニック・ポープは130本中101本をストップしてセーブ数でも4位に入っています。数字を並べると、エデルソンよりポープを評価したくなってしまうのが、GKの難しいところです。

ボックスの外に出てクリアする「キーパースイーパー率」を見てみると、1位はポープで90分あたり0.89、2位のアリソンは0.79。3位のデ・ヘアは0.43と大きく離されており、エデルソン、エミリアーノ・マルティネスと続いています。ポープの成功率は96.2%、アリソンは95.0%。レスター戦でクリアをカザクにぶつけてしまったリヴァプールのGKは、5%の失敗の印象が強かったために評価を下げてしまった感があります。

最後に、パス成功率を紹介しましょう。1位はアリソンで84.6%、2位はメンディで83.7%、3位のエデルソンは81.5%。この部門で注目すべきは、リーズのメリエです。ボールタッチ1264回とパス本数684本はGKとしてリーグ1位で、パス成功率80.5%はエデルソンに次ぐ4位。プレミアリーグのレギュラーのなかで最も若い21歳のフランス人GKを見る機会があれば、ビルドアップもチェックしていただければと思います。

以上、GKの部門別ランキングを紹介させていただきました。「PKを2本ストップしたのは、ウェストハムのファビアンスキのみ」「3-0で快勝したトッテナム戦で、エデルソンが今季プレミアリーグで唯一のアシストを記録」という2つのスタッツを添えて、この稿を締めさせていただきます。総合1位はポープ、いや、エデルソン…。