偏愛的プレミアリーグ見聞録

昨季プレミアリーグで8ゴールのギュンドアン、5ゴールのマフレズが退団。とりわけギュンドアンは、攻守のバランスを取るアンタッチャブルな存在でした。4連覇をめざすマンチェスター・シティは、マテウス・ヌネス、ジェレミー・ドク、コヴァチッチを獲得し、ラポルテの後釜としてグヴァルディオルを引き入れたものの、開幕戦でデブライネを失ってしまいました。

トレブル達成に貢献したキーマンの移籍とプレイメーカーの離脱は、並のチームなら低迷の言い訳になるでしょう。しかしペップは、あっさり逆境を乗り越えてしまいました。デブライネが復帰するまでのマン・シティは、CLのグループステージで6連勝し、クラブワールドカップを制覇。1試合消化が少なかったプレミアリーグは、首位レッズに5ポイント差の3位に着けていました。

FAカップのハダースフィールド戦で久々のピッチに立ったデブライネは、公式戦13試合12アシストという信じられないペースでゴールをお膳立てしています。骨折したハーランドが先発から外れた11試合は、代役として最前線に入ったフリアン・アルバレスとオスカー・ボブが7ゴール。シュートレンジでプレイするシーンが増えたベルナルド・シウヴァは4ゴールを決めています。

そして、忘れてはいけないのはフィル・フォーデンです。ハーランドとデブライネが両方いなかった12月は、公式戦7試合2ゴール3アシスト。ストライカーの後方を主戦場として、決めさせる仕事が多かったのですが、デブライネが戻ってきてからはゴール前に現れる機会が増え、10戦8発1アシストと猛威を奮っています。

23歳になったイングランド代表FWの素晴らしさを、いくつか挙げてみましょう。最初にアピールしたいのは、疲れ知らずの公式戦40試合18ゴール10アシスト。欠場はCLのヤングボーイズ戦と、FAカップのルートン戦のみで、プレミアリーグはボーンマス戦とブレイズ戦を除くすべての試合で先発しています。

リーグ戦11ゴールは、既に昨季のトータルと並んでおり、ゴール＆アシスト28はキャリアハイを更新。偽9番、左右のウイング、トップ下をすべてハイレベルでこなすユーティリティも、大きな魅力です。ペップ・グアルディオラに守備の意識が低いといわれ、昨季までは途中出場が多かったのですが、デブライネの穴を埋める活躍で信頼感を高めたようです。

大変悔しいのですが、過去2シーズンのマンチェスターダービーは5戦6発。先週末に喰らったミドルレンジからのスーパーショットと、フリアン・アルバレスとのワンツーからの逆転ゴールは、いずれもパーフェクトでした。あっさり置き去りにされたカゼミーロとフォーデンとの差は、技術や戦術眼ではなく、体力と自信だったのかもしれません。

この若さで、獲得したトロフィーは17。まだ見ぬタイトルは、一生ご縁がないかもしれないEL＆ECLと、ぜひとも勝ちたいユーロ＆ワールドカップだけです。今シーズンも、3つ積むのでしょうか。今月開催の2つのシックスポインターは、リヴァプールとアーセナルが左右から飛び出してくる彼を止められるかどうかも注目ポイントです。