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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

未だフリーのデ・ヘアとニコラ・ペペ。高額のサラリーと移籍金が足枷となった2人の現在地。

「David de Where?」。マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドが、「X」で砂時計のアイコンをポストして何かを匂わせたとき、「スカイスポーツ」のトランスファーライブブログは困惑を隠さず、ダジャレで軽くいじってスルーしました。オールド・トラフォードで12シーズンを過ごし、公式戦545試合に出場したダヴィド・デ・ヘアは、未だ無所属で夏を迎えています。

時を同じくして、「レキップ」と「BBC」のインタビューに応じたニコラ・ペペは、7200万ポンドという高額の移籍金がプレッシャーだったと振り返っています。アーセナルの3シーズンで、112試合27ゴール21アシスト。2020-21シーズンのプレミアリーグでは、29試合10ゴール1アシストという数字を残しています。この夏、トラブゾンスポルを退団した彼も、現在はフリーです。

2人の共通項は、次のステージが決まっていないことだけではありません。両者ともに、プレミアリーグのビッグクラブから離れた直後に「引退を考えた」といっています。超絶ビッグセーブで何度もチームを救った絶対的守護神が退団せざるをえなくなった最大の理由は、高額のサラリーとパフォーマンスのバランスが崩れたからでしょう。

マンチェスター・ユナイテッドでの最後の年となった2022-23シーズンは、プレミアリーグのゴールデングローブ。素晴らしいセービングは健在ながら、イージーなミスが目立つようになっており、入団時から課題だったハイボール処理という不安を抱えたままでした。テン・ハフ監督がオナナにスイッチした決め手は、ビルドアップ時のパスワークでしょう。

デ・ヘアの近況を報じた「アスレティック」のギレルモ・ライ記者によると、相手のプレスが目に入るとロングフィードに逃げてしまいがちだったクラシックなGKは、自分を評価しなかった指揮官と、とても呑めないサラリーを提示して契約か退団かを迫ったジョン・マータフSDに憤っていたとのこと。彼らがいなくなったら、クラブに戻ってもいいといっていたそうです。

2023年の夏に退団となった後、引退を決意しながら発表には踏み切れなかったデ・ヘアは、年が明ける頃から復帰の道を模索し始めました。税金の優遇があるマンチェスターに留まり、週3~4日のトレーニングをスタート。ブルーノ・フェルナンデスをはじめ、マン・ユナイテッド時代のチームメイトとも連絡を取り合っていたといいます。

次のクラブはアメリカの西海岸か、母国スペインか。プレミアリーグに戻ることはないと決めている33歳のベテランGKは、自らのサラリーを膨らませたホルヘ・メンデスとは袂を分かつと決め、信頼できる友人でありアドバイザーでもある弁護士のホセ・カルロス・ボウザス氏とともに将来について考えているようです。

一方、アーセナル時代に抱えていた苦しみについて問われたウインガーは、「簡単じゃなかった。ファンは自分のパフォーマンスに満足していなかった」「彼らは移籍金を元に評価していた。クラブの史上最高額だったので、毎試合ゴールを期待されていた」と答えています。子どもの頃からの憧れだったクラブで過ごした日々は、プレッシャーに苛まれる過酷な時間でした。

「アーセナルが2000万ポンドで買ってくれていたら、状況は違ったかもしれない。移籍金は、選手のせいではない。9000万ポンド、1億ポンドを頼まれたわけじゃないからね。だけど、それがサッカー界の現実であり、みんなが理解できないことだ。ムドリクやアントニーのように、ベストパフォーマンスを発揮できていない選手もいるけど、彼らは悪い選手ではない」

アルテタ監督は今でも尊敬しており、アーセナルで経験したプレッシャーのおかげで精神的に強くなれたというニコラ・ペペ。ニースとトラブゾンスポルで負ったケガが完全に癒え、体力が戻れば以前のスピードを取り戻せると考えているそうです。冷静になれた今は、プレミアリーグへの復帰も排除していないといいます。

「多くのことを学んだ。間違いなく、以前のパフォーマンスを再現できる。自分のコンディション、クラブからの信頼、ファンの愛情をベースとしてプレイすればいいだけだ。選手がいいプレイをして、ゴールを量産できるのは、支えてくれるコーチ、クラブ、熱狂的なファンなど、すべてが揃っているからだ。常に好調でいるためには、それらが不可欠だと思う」

かつてポール・ポグバも、ニコラ・ペペと同じ悩みをこぼしていました。高額の移籍金が話題となった選手のなかで、投資に見合うパフォーマンスだったと称賛されたのは、ファン・ダイクやデクラン・ライスなどひと握りです。多くは逆風に戸惑い、真価を発揮できないまま、高すぎる移籍金やサラリーが足枷となって次の選択肢を狭められています。

エンソ・フェルナンデスやカイセドは、晴れやかな笑顔でタイトル獲得の喜びをサポーターと共有できるのか。高額サラリーのカゼミーロは、後世のファンにどんな存在だったと伝えられるのか。代理人とともに自らの評価を高めたデ・ヘアは、望み通りだったはずの好待遇に足をすくわれました。ニコラ・ペペの現状は、ビッグビジネスに巻き込まれた選手たちの縮図に見えます。

「BBC」「アスレティック」のレポートを読んで、最も印象的だったのは、デ・ヘアがホルヘ・メンデスとの関係を絶ったというエピソードです。移籍金が高騰していくなかで、代理人のマージンや高額サラリー、バイアウト条項など、選手の評価を厳しくさせてしまう費用には、新たなルールが必要なのかもしれません。選手のキャリアと、サポーターとの幸せな関係のために。


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