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ドリブラーからプレーメイカーへ。「最後の年」のモー・サラー、モデルチェンジの軌跡を振り返る。

「(オールド・トラフォードは)これが最後かもしれないと思って試合に臨んだ。契約について、まだ誰も話してくれないからね。ラストイヤーとしてプレイし、シーズンの終わりにどうなるか見てみるつもりだ。戻ってくるかどうかはわからない。でも、そうだね、自分次第とはいえない。そのうち、わかるだろう」

ローマからリヴァプールに移籍したのは2017年6月。以来、公式戦352試合214ゴール92アシストという素晴らしいスタッツを残したモー・サラーは、「スカイスポーツ」の問いに対して、「ご存じのとおり、最後の年だ」といっています。「ただ楽しみたい。考えたくない。自由な感覚でプレイできそうだ」。おそらく彼は、新たなリヴァプールに手応えを感じているのでしょう。

マンチェスター・ユナイテッド戦は16試合16ゴール、オールド・トラフォードでは7試合連続ゴール。プレミアリーグ通算160ゴールは歴代10位で、今季のゴールが20を超えれば6位のフランク・ランパードの上に出ます。72アシストは15位。こちらは9つ足すと、デヴィッド・ベッカムを抜いて10位となり、103アシストで4位のウェイン・ルーニーが視界に入ってきます。

明るくインタビューに応じているレフティに対して、感傷的な気分に浸る必要はないのでしょう。地元メディア「リヴァプールエコー」もファブリツィオ・ロマーノさんも、「サラーは残留を望んでいる」と明言しています。サウジプロリーグのレベルや観客の少なさ、注目度の低さを懸念しているといわれており、自らの評価を高められるクラブに不満はないはずです。

バーゼル時代は「エジプシャン・メッシ」と呼ばれ、ドリブラーのイメージが強かったサラーは、ローマでゴールゲッターとしての能力を開花させた後、モデルチェンジを図っています。「アスレティック」のマイケル・コックス記者がリリースしたデータを見ると、2020-21シーズンからドリブル成功率が60%台から40%台に急落。直近2年は35%以下となっています。

昨季プレミアリーグで75回以上のドリブル突破を試みた選手のなかで、サラーより成功率が低かったのはスターリングとアムドゥニのみ。ドリブルが決め手にならなくなってからは、アシストのバリエーションが広がっています。2020-21シーズンまでの4年で記録した33アシストのうち、右足は2回で左足アウトは3回だったのですが、2021-22シーズンの13アシストは6本が右足です。

今季を含む直近3シーズンは、左足の20アシストのうちアウトが5本で、右足は4本。ドリブルの成功率が下がったのは、有利な体勢のときほど勝負せず、コースが空いたらすぐに出すようになったからです。先日のマン・ユナイテッド戦は、チャンスメイカーとしてのサラーの真骨頂。2アシストは、ダイレクトの右足クロスと、ダロトとメイヌーの間を抜く左足アウトのパスでした。

カットインからのゴールシーンや、カウンターでラインの裏を突く姿が脳裏に焼き付いている人は、32歳のドリブラーは急激に衰えるのではないかと懸念しているかもしれません。しかし彼は既に、スピード勝負は捨てています。昨季のスルーパス18本は、FWのリーグTOP。右サイドのプレーメイカーと捉えたほうが、実像に近づけそうです。

あれこれとサラーの数字を持ち出したのは、「契約延長すべし」と声を大にしてアピールしたかったからです。あえて大胆にいいましょう。週給35万ポンドとインセンティブという現行の握りで3年契約を交わしても、充分おつりがくるのではないでしょうか。リヴァプールの最初のタスクはシンプルです。彼が取材を受けたとき、「最後の年」といわなくなるよう、話を進めるだけです。


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“ドリブラーからプレーメイカーへ。「最後の年」のモー・サラー、モデルチェンジの軌跡を振り返る。” への1件のコメント

  1. アイク より:

    今日も更新ありがとうございます!さすがはクロップリバプールを全試合観戦されたMakotoさんです。強いサラー愛を感じました!
    彼のスルーパス、良いですよね。普通なら反応できないボールにもしっかりと走り込んでくるヌニェスとセットで、ワクワクします。
    マネを諦めてまでサラーの給料を上げた経緯もあるので、クラブには早く契約延長し、引退まで大事にしてくれることを願ってます。

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