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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

セインツ戦とスパーズ戦で連発!完全復活に近づいているジェイドン・サンチョ、好調の5つの理由。

残念ながらマンチェスター・ユナイテッドは、7300万ポンドで獲得したウインガーの強みを理解できていなかったと認めなければなりません。エンツォ・マレスカ監督の信頼を得たジェイドン・サンチョが、完全復活に近づいています。シーズン終了後に発動する2500万ポンドの買い取り義務契約は、バーゲン価格といわれるかもしれません。

2017年の夏、ボルシア・ドルトムントがマンチェスター・シティに支払った移籍金は800万ポンド。逸材といわれていた17歳のFWは、すぐに頭角を現し、ドイツで過ごした4シーズンで158試合53ゴール61アシストという数字を残しました。2021年3月に、20歳339日で達成したブンデスリーガ50アシストは、史上最年少記録です。

マンチェスター・ユナイテッドに入団したのは2021年7月。スールシャールからラングニックと指揮官が代わった2021-22シーズンは3ゴール3アシストに終わり、翌シーズンはメンタルの問題を抱えて真価を発揮できませんでした。再起を賭けた2023-24シーズンはテン・ハフと衝突してしまい、プレミアリーグ出場は3試合のみ。後半戦は、古巣のドルトムントでプレイしています。

デッドラインデーにローン移籍が発表されたとき、ブルーズのサポーターはさほど期待していなかったでしょう。コール・パルマー、ノニ・マドゥエケ、ムドリク、エンクンクにペドロ・ネトと、サイドを任せられるタレントは揃っており、課題とされていたのはストライカーでした。とはいえ、静かなスタートは、本人にとってはプラスに作用したのではないでしょうか。

最初の出番は、ボーンマス戦のハーフタイム。86分にエンクンクの決勝ゴールをアシストしたサンチョは、続くウェストハム戦とブライトン戦でも、ニコラス・ジャクソンとコール・パルマーのゴールをお膳立てしました。14節のサウサンプトン戦では、ボックス右から強烈なシュートをニアに突き刺し、移籍後初ゴール。スパーズ戦でも美しいミドルを右隅に収めています。

公式戦11試合2ゴール5アシスト、プレミアリーグ10試合2ゴール3アシスト。ブライトン戦とトッテナム戦ではPKゲットの仕掛け人となっており、リーグの先発が7試合であることを考慮すれば、上々のパフォーマンスといえるでしょう。「アスレティック」のリアム・トゥーミー記者とトム・ハリス記者が、サンチョの変化を物語るスタッツを挙げています。

90分あたりのボックスへの進入回数7.4回は、チームNo.1。ボックス内でのキャリー17回はノニ・マドゥエケの31回に次ぐ数字です。ドルトムントに復帰してもパッとしなかったウインガーは、なぜ変わったのでしょうか。「サンチョは誰もが期待する選手になりつつあるのか?」と題した記事を配信した「アスレティック」の記者たちは、3つの好調要因を提示しています。

ひとつめは、得意の左サイドを主戦場としてもらえていること。2つめは、マレスカ監督が「狭いスペースで強みを発揮する選手」と評価していること。3つめは、「もっとシュートを打ってほしい」と明確な目標を与えられていることです。90分あたりのシュート数1.2本は、マロ・グストより少ないのですが、セインツ、スパーズ、ブレントフォードの3試合で5本を記録しています。

ドルトムント時代から「本数は少ないが、打てば決まる確率は高い」選手だったのですが、最近は隙あらばシュートという意識を高めているようです。ネイサン・ウッドにファーのコースを切られていたセインツ戦のゴールは、今までなら打っておらず、カットインからのスパーズ戦のミドルも、ラインの裏に動いたニコラス・ジャクソンに出してもおかしくない状況でした。

優秀な記者たちの分析に納得しつつ、僭越ながら2つほど付け足しをさせていただきます。4つめの理由は、高いモチベーション。「チェルシーファンとして成長してきた。子どもの頃に憧れていたのはディディエ・ドログバやフランク・ランパード」と語るサンチョは、ブルーのシャツを手に入れてテンションが上がっているのだと思われます。

5つめは、エンソ・フェルナンデスをはじめ、周囲に理解者がいること。狭いエリアで通せる角度を見つけるのがうまいサンチョが持つと、もらえそうなエリアに動く選手が多く、ハイテンポなパスワークからゴールに迫るシーンが増えてきています。まとめると、「好きなクラブ、理解してくれる監督、わかり合える仲間を得て気分よくプレイしている」といった感じでしょうか。

「最悪のタイミングでマンチェスターに戻り、最高のタイミングでウェストロンドンに向かった」ともいえるのかもしれません。やはり、悔しいですね。ジェイドン・サンチョのさらなる活躍を祈りつつ、ルーベン・アモリム監督に「メイソン・マウント、アントニー、ジョシュア・ザークツィーを活かしてください」と願うばかりです。


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