偏愛的プレミアリーグ見聞録

ニューカッスルに0-2で完敗。カラバオカップ準決勝ファーストレグは、アーセナルの攻撃における課題と必要なタレントを浮き彫りにした一戦でした。アウェイチームの2ゴールを生み出したのは、プレミアリーグで7戦連続ゴールと絶好調のイサク。左からのFKの競り合いを見て、ボールが出てくるエリアにいち早く動いた先制ゴールはまさにストライカーでした。

後半開始から6分という最高のタイミングで決まった追加点も、仕掛け人はイサクです。右サイドのジェイコブ・マーフィーがニアにグラウンダーを入れると、3人に囲まれたストライカーは、ガブリエウの足元にコースを見つけてシュート。振りの速い一撃にCBは触れず、ラヤが逆サイドに弾いたボールにアンソニー・ゴードンが詰めて押し込みました。

「間違いなく、優れている。ボールが彼に届くと創造性を発揮し、ビッグチャンスをもたらす。残念ながら2回とも、彼がボックスでボールを持ち、ああいうことが起こってしまった。前線に真のクオリティがあり、違いを生み出すと起こりえること。彼らはとても冷静だったね」（ミケル・アルテタ）

敗軍の将が珍しく率直に絶賛したからか、「アーセナルはイサクを獲るべき」と古くて新しい話題を掘り起こしたメディアもあります。こうなると、反対側のボックスでシュートチャンスを得られなかったジェズスや、決定的なヘディングをうまく当てられなかったカイ・ハヴェルツは、否応なく比べられます。

アーセナルの前線について興味深いデータを提示しているのは、「スカイスポーツ」のニック・ライト記者です。「今季のアーセナルが得点できなかったのは6試合。1ゴールしかなかった試合が7つあり、そのうち勝利に終わったのは3試合だけである」と指摘するアナリストは、「問題は、1ゴール以下の比率がリヴァプールよりはるかに高いこと」といっています。

記者が着目したのは、過去3シーズンにおけるガナーズの6人のxG（ゴール期待値）です。チャンスの数とゴール数を比べると、最高の数字を叩き出しているマルティネッリはプラス6.84。彼のゴール数は、決定機の総数を7つ上回っているというお話です。2位はトロサールで5.57。サカは4.25、ウーデゴーアは4.17で、今季から加わったスターリングは0.81となっています。

対してカイ・ハヴェルツとジェズスはいずれもマイナスで、カイ・ハヴェルツの4.84に対してジェズスは5.38。数字上では、アーセナルの最前線は明らかに決定力不足です。リーグ全体を見ると、1位のフォーデンは12.84、2位のマテウス・クーニャは8.40。ウルヴスの10番に目を向けたアーセナルのスカウトたちは、このスタッツも押さえたのでしょう。

マルティネッリは全体の5位で、トロサールは6位。イサクの名前を探してみると、プラス3.55で19位です。ニューカッスルのエースは、過去3シーズンのプレミアリーグで70試合54ゴール。打てるエリア、タイミング、コースを見つける能力が高く、味方からボールを引き出すのがうまいストライカーは、アーセナルの戦い方にもぴったりはまりそうです。

「スカイスポーツ」の記事は、「カイ・ハフェルツは、前線で非常に貴重な存在であることを証明した」「ジェズスは入団以来、最高のペース」と評価しつつ、「両者ともに、とてもイライラさせられるフィニッシャーでもある」といっています。今季公式戦12ゴールのカイ・ハヴェルツは、9番に加えてトップ下やインサイドもこなせるので、今のガナーズには必要でしょう。

一方でジェズスは、イサクと天秤にかけてもいいのではないかと思います。昨季のアーセナルはノーゴールが8試合で、そのうち7試合は敗戦。マン・シティのゴールレスは4試合でした。今季もこの数字では、リヴァプールの後塵を拝しています。エミレーツで少ないチャンスを活かした14番の1億5000万ポンドは、安い買い物になるのではないでしょうか。冬が無理なら、次の夏にｄも…。