偏愛的プレミアリーグ見聞録

FAカップ3回戦の相手は、リーグ2（4部相当）のサルフォード。マンチェスター・シティの最終ラインはオライリー、シンプソン・ピュゼー、ナタン・アケで、ベンチにはリコ・ルイスとグヴァルディオルが控えていました。8-0で圧勝した後、カイル・ウォーカーを外した理由を問われたペップ・グアルディオラは、「彼はチームを離れようとしている」と答えました。

「彼は熟考の結果、最後の数年間を他国でプレイしようと思っているようだ。私は、ここで気持ちを込めて戦う選手たちと一緒にやる。8年前に加わり、われわれとともに勝って勝って勝ち続けた。イングランド代表にとっても、もちろんこのチームでも重要な存在だった。彼は自分のマインドを追求したいといっている。正直、どう思うか？どうなるかはわからない」

2017年の夏に、移籍金5000万ポンドでトッテナムから加入したカイル・ウォーカーは、6度のプレミアリーグ制覇とビッグイヤー獲得に貢献しました。トレブルを達成した2022-23シーズンの終わりに、彼がバイエルンに移籍したいと告げたとき、ペップはマンチェスターの日本料理店で口説き落とし、2026年までの契約延長が決まりました。

昨シーズンまではチームに不可欠な選手だったのですが、今季に入ると集中力の欠如によるミスが目立つようになりました。45分以上出場した試合は4勝3分7敗、欠場あるいは後半からの登場なら10勝3分2敗。34歳になったフルバックは、瞬発力が衰えてしまったのでしょうか。現地メディアが報じたスキャンダルも、パフォーマンスに影響を与えたのかもしれません。

他国という選択肢には、イングランドの喧騒から逃れたいという思いも込められているのでしょう。「スカイスポーツ」は、ACミランが最有力候補と伝えています。現行の契約が18ヵ月ほど残っていますが、マン・シティは自らの利益より功労者の意向を優先するはずです。ミランといえば、渦中のアタッカ―もFAカップのメンバーから外されたようです。

「ロンドンに向かう列車に乗るルーベン・アモリムと選手たちのなかに、あのフォワードはいなかった」と報じたのは「デイリー・メール」。マンチェスター・ユナイテッドで居場所を失っているラシュフォードは、欧州の強豪クラブの注目を集めているようです。兄であり、代理人でもあるドウェイン・メイナード氏は、ミランとバルセロナと会談したと伝えられています。

ドイツメディア「ビルト」でフットボール部門の責任者を務めるクリスティアン・フォーク氏は、「ドルトムントはラッシュフォードの獲得を検討している。クラブ内で議論がなされているが、結論は出ていない」とレポート。最終候補に挙がっているといいつつ、「ドニエル・マレンの売却が前提」「2000万ユーロ以上といわれるサラリーは大きな障壁」と続けています。

ミランのシニアアドバイザー、ズラタン・イブラヒモヴィッチは、「まだ彼とは話していない。話すかどうかは、これから決める」とコメント。「テレグラフ」は「モナコがオファーを出す用意がある」といっています。先にダニ・オルモを何とかしてほしいバルセロナと、「ザ・サン」が「電撃移籍」「サプライズ」と煽るアーセナル以外は、可能性ありといえそうです。

マン・シティで17のトロフィーを獲得したカイル・ウォーカーは、リフレッシュできる環境を得られれば、ワールドクラスを止めまくった昨年までの輝きを取り戻せるでしょうか。ボスとのコミュニケーションでストレスを溜め、夜遊び、遅刻、嘘で評価を下げてしまったラシュフォードは、本気でほしいといってくれるクラブに行かないと同じ失敗を繰り返すでしょう。

これからしばらくは、彼らの行き先に関するゴシップが飛び交うはずです。ミランのダブル獲得はあるのか。高額のオファーによるサウジのハイジャックが来たら、彼らは乗っかるのか。ペップのいうとおり、何が起こるかわからないトランスファーマーケットですが、本人たちが移籍を決意しているなら、いい出会いがあればと願うばかりです。