得点力、プレス、連携…アーセナルの最前線で体を張るカイ・ハヴェルツに納得か、不満か?
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エミレーツでも、55分にサリバの前に体を入れて豪快なヘッダーを決めています。しかし、あの日の彼に抱いた驚きは、類まれなるゴールセンスに対してではなく、「あまりにも走らないこと」でした。フル出場だったのに、ボールタッチはわずか10回。パス成功はたったの2本で、ヴィルジル・ファン・ダイクならキックオフから3分で叩き出せそうな数字です。
一方、彼の対戦相手には、全くタイプの異なるストライカーがいました。開始2分のアカンジのボールロストから、ウーデゴーアの先制ゴールをアシストしたカイ・ハヴェルツ。タイムアップの笛が鳴るまで走り続けたストライカーは、76分にマルティネッリがドリブルで仕掛けたカウンターでは、右にまわり込むクレバーなランからゴールを決めています。
この日のアーセナルの最重要戦術は、カイ・ハヴェルツ、ウーデゴーア、トーマス、デクラン・ライスの4枚で形成したボックスで、最終ラインからベルナルド・シウヴァとコヴァチッチへのパスコースをカットすることでした。カイ・ハヴェルツはプレスをさぼらず、コヴァチッチやフォーデンの動きを確認しながら最適なポジションを選び続けていました。
後方からボールが出てこないハーランドには、3つの選択肢がありました。サリバとガブリエウの裏を狙い続けるか、下がって楔のパスをもらうか、味方が出せるようになるまで待つか。9番はガブリエウの視野から外れることなく、ボールが来ないなら自分の仕事はないと心得ているかのようでした。守備においても、彼のプレッシングはサリバとガブリエウの脅威にはなりえません。
燃費がよすぎるゴール量産のモンスターと、オイルが切れるまで走り続けるフィジカルモンスター。10人対12人とまではいいませんが、ストライカーのパフォーマンスの差もスコアに反映したのではないでしょうか。前半の決定機に、原因不明の外し方をしたアーセナルのストライカーを手離しでほめるつもりはないものの、両者の違いが大いに気になった一戦でした。
この試合の翌日が、冬のトランスファーマーケットのデッドラインデーでした。サカとジェズスが離脱したアーセナルは、穴を埋めるストライカーを獲得せず。アルテタ監督の「失望した」というコメントを見たグーナーの多くが、失望したのではないかと思われます。過去1ヵ月で753分を走破したカイ・ハヴェルツは、これまで以上の貢献を要求されることになりそうです。
2023‐24シーズンは51試合14ゴール7アシストで、ラスト23試合のうち22試合で先発出場。今季は公式戦34試合で既に15ゴールを決めており、このペースでいくと最大で56試合27ゴールとなります。「アーセナルはストライカーの得点力が課題」などといわれますが、「ケガせず、さぼらず、文句いわず」の三拍子揃ったストライカーは、得がたいキャラなのではないでしょうか。
他クラブの状況を冷静にみると、リヴァプールで最前線をまかされることが多いルイス・ディアスは、公式戦33試合12ゴール。ジョッタは21試合8ゴール、ダルウィン・ヌニェスは32試合6ゴールで、カイ・ハヴェルツ&ジェズスのトータル22ゴールで対抗できます。あちらは、あのスゴイ人がいるからストライカーに目がいかないだけです。
アーセナルも、サカ、マルティネッリ、トロサール、ウーデゴーア、デクラン・ライスがぐりぐり決めていれば、9番に注文が殺到せずにすむでしょう。もちろん、ゴール量産型のストライカーが年間30発を叩き込んでくれれば文句なしですが、「ハーランドのように消えず、アルテタ戦術を体現できる」という条件付きの採用です。
現状の最適なソリューションは、ストライカー単体の得点力UPより、デクラン・ライスやウーデゴーアが決められる形を増やすことなのではないでしょうか。ティエリ・アンリやファン・ペルシの後継者と考えると苛立つこともありそうですが、サカ、ウーデゴーア、マルティネッリがトータル44発の2022‐23シーズンを思い出せば、フィルミーノ的な9番もありといえるでしょう。
とはいえ、カイ・ハヴェルツ、トロサール、スターリング、ヌワネリの4枚でまわさなければならない今は、マティス・テルを押さえたスパーズや、前線に3枚加えたヴィラをチラ見してしまいます。右ウイングにティンバー、ジンチェンコ、左ウイングにティアニー、ルイス=スケリー、カラフィオーリなど、アクロバティックな策がはまればいいのですが…。
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