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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「Thank you, Tomi」…今もなお輝く震撼の69分。冨安健洋が即時契約解除でアーセナルを退団。

公式戦84試合2ゴール6アシスト、プレミアリーグ65試合2ゴール3アシスト。ノースロンドンで4年を過ごした冨安健洋のチャレンジが終わりました。「We have reached a mutual agreement with Takehiro Tomiyasu to end his contract with immediate effect.」。アーセナルの公式サイトが、双方が即時の契約解除に合意したと報告しています。

レギュラーとして活躍したといえるのは、2021-22シーズンの開幕から4ヵ月のみ。ボローニャから移籍してすぐに、右SBに定着した「スーパー・トム」は、9月にクラブの月間最優秀選手として称えられました。順調なスタートだったのですが、12月にふくらはぎを痛めて長期離脱となり、戻ってきたときには残り試合は6つになっていました。

2022-23シーズンのプレミアリーグは初年度と同じ21試合1アシストですが、出場時間は半分以下に減っています。右SBにはベン・ホワイトが定着し、前半戦の先発4回はすべて左サイド。それでも10月のリヴァプール戦でモー・サラーを完封して絶賛され、ジンチェンコからポジションを奪うかと思われたのですが、ワールドカップカタール大会の直前に筋肉を傷めてしまいました。

復帰してからもコンディションが上がらず、プレミアリーグの後半戦の先発は3試合で、2試合はハーフタイムで交代となっています。3月には膝を痛めてシーズンアウト。サリバと冨安の欠場は、ペップに逆転を許した最大の理由とされました。アルテタ監督は、このとき既に冨安をリスクと見做していたのだと思われます。夏になると、ユリエン・ティンバーがチームに加わりました

2023-24シーズンも、11月からのプレミアリーグで4試合連続先発の後、3ヵ月のリタイア。決して結果論ではなく、1月に日本代表に合流したのは無謀だったというべきでしょう。最後の5試合に出場し、最終節のエヴァートン戦でシーズン2ゴールめを決めたフルバックは、プレシーズンにまたも膝をやってしまいました。2024-25シーズンの出場は1試合で、わずか6分です。

2024年3月の契約延長が2026年までという異例の短期契約だったのは、ポテンシャルの高さとパーソナリティを評価していた指揮官とエドゥ・ガスパールがバッドシミュレーションをしていたからでしょう。彼らのネガティブな予感は的中しました。いや、想像以上に厳しい状況に陥ったと表現したほうがよさそうです。1年7ヵ月もピッチから離れることになるとは…。

昨年の秋、ルイス=スケリーの躍動を見ながら、「冨安の居場所は、もうここにはない」と覚悟しました。リヴァプールやマンチェスター・シティを倒さなければトロフィーを得られないクラブに、冨安やジェズスの復活を待つ余裕はありません。バレンシアのクリスティアン・ モスケラが加われば、日本代表のDFを必要としないチームが完成します。

プレミアリーグの強度、日本とロンドンとの往復、運動量を要するアルテタの偽SB…彼の足に生じた事象がわかったとしても、そこに至った決定的な要因はわかりません。「Thank you, Tomi」。クラブのメッセージが心に沁みます。われわれを熱狂させたストーリーが、ついに幕を閉じました。当代No.1のレフティをベンチに追いやった震撼の69分の記憶を残して。


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