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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ビッグ6との3戦はシュートゼロ、中小クラブは2戦3発!もしかしてギョケレスは、アレですか?

「統計的に見れば、両者の差はほとんどなかった。ヴィクトル・ギョケレスとアーリング・ハーランドは、日曜日の試合でともに24回のボールタッチを記録した。ギョケレスは13本のパスのうち8本、ハーランドは14本のうち8本を成功させた。アーセナルのストライカーは13回のボールロスト。ハーランドは11回だった」

プレミアリーグ5節のアーセナルVSマンチェスター・シティで、両チームのストライカーのパフォーマンスに注目していたファンも多かったのではないでしょうか。「アスレティック」のスチュアート・ジェームズ記者は、彼らのスタッツが似ているとレポートしつつ、最後に重要な事実を添えています。「ハーランドはゴールを決めた。ギョケレスは決められなかった」。

ベテラン記者が昨日配信した記事のタイトルは、「Viktor Gyokeres: What he’s doing right, what he’s doing wrong, and how Arsenal can help him(ヴィクトル・ギョケレスが正しいこと、間違っていること、アーセナルはどうやって彼を支えるのか)」。書き出しを読んで、「もしかしてギョケレスは、ビッグ6とのゲームでシュートゼロ?」と思いました。

続きを読むと、アーセナルの新たなストライカーが最初の5試合でボールにタッチした位置がわかるMAPが掲載されています。やはり、そうです。マンチェスター・ユナイテッド戦とリヴァプール戦は、ボックス内でのタッチが2回だけで、センターでは1度も触っていません。マン・シティ戦は6回ですが、いずれも打てる体勢ではありませんでした。

対してリーズ戦は3本のシュートを放っており、左サイドからの強引なカットインとPKで2ゴール。ノッティンガム・フォレスト戦の4本のうち3つはゴール前で、エゼのグラウンダーを軽くタッチしたゴールは、これぞストライカーと叫びたくなるきれいなフィニッシュでした。記者はこう問いかけています。「Is he a flat-track bully?」。日本語でいうと「ザコ専か?」です。

マン・シティ戦の後、「今日はシュートを打てなかった。また批判されるだろう」と嘆いたジェイミー・キャラガーは、「マン・ユナイテッド、リヴァプール、マン・シティとの3試合で、チームは彼のためにたったひとつのチャンスすら作れなかった」といっています。トロイ・ディーニーも、「ギョケレスは大事な試合で決めなければならない」と批判していました。

スチュアート・ジェームズ記者が用いた「flat-track bully」は、クリケット用語で打者有利の平坦なピッチを指すフラットトラックと、「いじめっ子」を組み合わせたスラングです。彼も評論家たちと同じ意見かと思いきや、「ザコ専なのかという疑問に答えるには時期尚早だけど、昨季の結果を振り返ると、仮にそうだったとしても悪くないかもしれない」というスタンスです。

「忘れてはならないのは、アーセナルが2シーズン連続で2位に終わったのは、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプール、マンチェスター・シティといったビッグ6との対戦で得点源となる9番が不在だったからではないということだ。アルテタ監督が率いるチームは、ビッグ6との10試合で平均2ポイント、その前のシーズンは2.11ポイントを獲得している」

「タイトル争いにおけるダメージは、別な場所で生じていた。アーセナルは昨シーズン、ボーンマスにホーム&アウェイで敗れている。さらにウェストハムにホームで0-1で敗れ、ブレントフォード、クリスタル・パレス、ブライトン、エヴァートンにはホームでドローだった。この7試合で、わずか5ゴールに終わっている」

なるほど。中小クラブ相手の取りこぼしを3ポイントにしてもらえれば、ビッグ6とのゲームはおとりになってCBをひとりつぶしてくれれば結構という話です。考え方としては、ありかもしれません。ただし、そのためにもクリアすべき課題があります。ひとつは「チームとしてギョケレスの活かし方を明確にすること」。もうひとつは「本人が周囲の動きに対応すること」です。

まだ成功事例は2つしかありませんが、リーズ戦の左からの抜け出しとカットインは、ラインブレーカーとしてのギョケレスの強みが活かされたゴールシーンで、ノッティンガム・フォレスト戦のエゼのグラウンダーは、彼が求めているボールでしょう。直近のマルティネッリの2ゴールも、ギョケレスがやりたいプレイだったはずです。

マン・シティ戦では、ミケル・メリノがボックス右にスルーパスを通すシーンがありました。不発に終わりましたが、サカやウーデゴーアとの連携のクオリティが高まれば、右からクロスに打つシュートが増えるでしょう。左サイドから多様なパスを出せるエゼの価値は、ギョケレスとのコンビプレーが定着すればさらに高まるものと思われます。

ラインを切り裂くボールでストライカーを活かす一方で、ノニ・マドゥエケやマルティネッリがボックスの左右を突破した際に、必ずニアかセンターに入るという約束ごとを徹底すべきです。ニアで勝てればOK。つぶされても、背後のウーデゴーアやデクラン・ライスが決めてくれれば役割を果たしたといえます。クロスと走り込みのタイミング合わせも、今後の課題のひとつです。

これらのクオリティが高まれば「スーパーザコ専」は確定で、さらにビッグ6とのゲームで結果を出せば、リーグ屈指といわれるストライカーが完成します。優勝候補ゆえ、「気長に待ちましょう」とはいえないかもしれませんが、「2ヵ月という早い時期にネガティブな評価をせず、未来を楽しみにしよう」ならOKでしょう。ビッグ6キラーよりザコ専のほうがむしろいいかも!という記者の見方はポジティブで、明るく待つのが正解と思わされた次第であります。


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