グーナーも賛否両論のヴィクトル・ギョケレスは、プレミアリーグでゴールを量産できるのか?

実際には、獲得の噂が流れていた頃から賛否両論だったのかもしれません。ギョケレスかシェシュコかと騒がれていたとき、「ブンデスリーガで実績があるシェシュコが上」「ダルウィン・ヌニェスのように苦しむ可能性がある」といった声もありました。ブライトンで出番を得られず、3年前までコヴェントリーというキャリアも、疑いの根拠になっていたのでしょう。
2025年7月26日の入団発表から2ヵ月半が経とうとしている今、あらためて数字を見ると、もの足りないと感じるグーナーが多いのではないでしょうか。公式戦10試合3ゴール。最初の4試合で3発の後、6試合連続でノーゴールです。プレミアリーグのDFのハードマークに苦しんでいるのか、周囲と連携できていないのか、主要スタッツを昨シーズンと比べると、軒並み減っています。
90分あたりのボールタッチ数は36対24、シュート数は4対3、パス成功は16対7で、ドリブル成功は4対2。オンターゲットの比率は50%から27%に落ちており、1試合平均で4回以上あったプログレッシブキャリー(相手のゴールに10ヤード以上近づくドリブルと、ボックス内に持ち込んだ回数のトータル)は1回と激減してしまいました。
これらのスタッツを揃えた「テレグラフ」のサム・ディーン記者は、「ギョケレスはポルトガルでの驚異的なパフォーマンスレベルをキープできていないが、実はそれほど驚くことではない」と指摘し、「プレミアリーグはプリメイラ・リーガよりはるかに強力で、『Opta』はポルトガルのリーグをチャンピオンシップより格下と評価している」と続けています。
こんな話を聞かされると、「せいぜいシーズン10ゴールか」「まあまあのストライカーに総額6300万ポンド…」と落胆するグーナーもいるでしょう。しかし「テレグラフ」の記者は、「ギョケレスに期待しすぎ」といいたいわけではなく、「現地のグーナーの意見が分かれている」と報じているのです。彼の言い分に、耳を傾けてみましょう。
「もしアーセナルのファンが、ポルトガルでの2シーズンと同様に40ゴール以上を期待していたなら、大きな失望を覚悟するべきだろう。しかし、この議論にはもうひとつ重要な面がある。それは、ギョケレスがアーセナル全体に与えた影響だ。個人としてのパフォーマンスは期待したほど目覚ましいものではないかもしれないが、彼の存在は攻撃陣を確実にサポートしているようだ」
序盤戦の10試合3ゴールは期待以下だとしても、CBを振り回してスペースを作る動きや、ラインの裏への走り込みによるチャンスメイクは評価されるべきという意見もあるという趣旨です。「彼の仕事に感謝している」というのはブカヨ・サカ。「ボールのキープ、ラン、相手に与える脅威。われわれが勝てているのは、彼のおかげだ」という言葉には、実感がこもっています。
「テレグラフ」が提示した2つのテーマに対して、グーナーのみなさんはどう答えるのでしょうか。「ギョケレスはプレミアリーグでもトップクラスのストライカーになれるのか」「これまでのパフォーマンスを評価するのか」。私の見立ては、「ハーランドに伍するのは難しいかもしれないが、イサクやワトキンスと同等には充分なれる」で、これまでのプレイも及第点です。
期待し続ける理由は、オリンピアコス戦とウェストハム戦のなかにあります。チャンピオンズリーグでは、ウーデゴーアの縦のスルーパスに対するスプリントが素晴らしく、マルティネッリの先制ゴールは彼に半分あげたいぐらいです。サカの追加点のときも中央でCBを振り切っており、グラウンダーをもらえれば押し込んでいたはずです。
ハマーズ戦もCLに引き続き、サイドからクロスが出るタイミングでゴール前で有利な態勢になっていました。エゼの最初の決定機も、デクラン・ライスの先制ゴールも、彼がゴール前に詰めたことによって、後ろにいた選手がフリーになっています。チームメイトの理解が深まり、カウンターからのラインブレイクや的確なグラウンダーが増えれば、量産モードに突入するでしょう。
プレミアリーグにおけるxG(ゴール期待値)は6位。エンソ・フェルナンデスとブルーノ・フェルナンデスより低い数字は、周囲のアタッカーたちがクリアすべき課題です。ちなみに昨季プレミアリーグで14ゴールのマテタは、エゼのアシストで6ゴールでした。ウーデゴーアとエゼが6×2で12発、サカとズビメンディからもいいボールが出れば…シーズン20発もいけそうですね。
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