ニューカッスルは出遅れ、スウェーデン代表は大ピンチ…イサクの移籍騒動の影響を考える。

26分にギョケレスのダイレクトパスで右から上がったベリヴァルが、ゴール前にグラウンダーを入れると、GKコベルは先に触れず、フリーだったイサクがタッチ。左に流れたボールはポストに当たり、詰めたギョケレスは触れませんでした。42分には、左からのパスを受けたイサクがアカンジを抜き去り、左からの完璧なラストパスがファーに走り込んだベリヴァルに通りました。
GKが絶対に届かないゴールの右に転がせばOKだったのですが、ベリヴァルはボールを踏みつけて転倒。スパーズの19歳の信じられないミスがなければ、違う展開になっていました。62分にジブリル・ソウを後ろから倒したのはベルンハルトソン。ジャカがPKをど真ん中に蹴り込むと、終了間際にマンザンビのシュートがヒエンに当たってコースが変わり、右隅に決まりました。
イサクのシュートは、あの1本のみ。スウェーデンは1分2敗でグループ最下位となり、13日のコソボとのホームゲームで敗れれば、2次予選進出も絶望的になります。夏のトランスファーマーケットでリヴァプール移籍を熱望し、ニューカッスルのプレシーズンのスケジュールをボイコットしたストライカーが万全なら、ここまで追い込まれることはなかったのではないでしょうか。
セルティックとのプレシーズンマッチを「軽いケガ」で欠場したのは7月19日。アジアツアーもキャンセルしたイサクは、古巣のレアル・ソシエダで個人トレーニングを続けていると報じられました。1億2500万ポンドのビッグディールが妥結するまで、6週間にわたって実践に向けた準備ができなかったストライカーは、3つのチームに多大なる影響を及ぼしたといえるでしょう。
最前線がオスラのみとなったニューカッスルは、開幕からのプレミアリーグ3試合で2ゴールしか決められず、2分1敗と出遅れました。スウェーデン代表は、イサクを欠いたスロベニア戦を2-2のドローで終えた後、FIFAランキング95位のコソボに2-0で完敗。格下との一戦でイサクが登場したのは72分になってからで、チームは既に2点のビハインドを背負っていました。
リヴァプールでの公式戦デビューは、9月18日に開催されたCLのアトレティコ・マドリード戦。直後のマージーサイドダービーは、67分からの出場でした。カラバオカップのサウサンプトン戦で初ゴールを決めたものの、クリスタル・パレス戦は不発で、チェルシー戦はガクポの同点ゴールのアシスト以外はチームに貢献したとはいえません。
クラブと代表の公式戦5試合を欠場し、ピッチに立った8試合は1ゴール1アシスト。リヴァプールでは6試合1ゴール1アシストで、先発した3試合は1勝2敗です。新しいシーズンに入ってから、振るわないイサクを見るたびに、「ニューカッスルでいくつかのゴールを決めてから、満を持してリヴァプールという道はなかったのか」という問いが脳裏をよぎります。
現地メディアが「近年で最も泥沼化した移籍劇」と表現した6週間の喧騒について、今さら誰かの責任を追及しようとは思いません。しかし、3つのチームの苦闘を目の当たりにすると、ボイコットによって失われたものの大きさを考えてしまいます。トランスファーマーケットの事情によって、スポーツの魅力が損なわれるのは本末転倒です。
未だ11位のニューカッスルが、上位に食い込めずにシーズンを終えたら。リヴァプールが連覇を達成できず、欧州でも厳しい結果に終わったら。ワールドクラスのストライカーを擁するスウェーデンが、最高の舞台へのチケットを獲り逃したら。もちろん、イサクだけの責任ではありません。ひとりの人間の決断と行動が、多くの人々の運命を左右することがあるというお話です。
スポーツの純度を高めるために、トランスファーマーケットを開幕前に終わらせるべきなのか。トランスファーマーケットでの動き方も、プロスポーツの勝負の一部と考えればいいのか。スウェーデンにはギョケレスやエランガがいます。ニューカッスルのヴォルテマーデは既に4ゴールを決めています。リヴァプールはイサクに依存するチームではありません。しかし、それでも…。
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