先発メンバーを5人変更は通常運転…エンツォ・マレスカ監督の過激なターンオーバーに注目!
ミラノのゲームは後半に入り、ショボスライがPKを決めてリヴァプールが0‐1で勝利。アタランタとノースロンドンを確認すると、明暗分かれる着地となっていました。チェルシーは2-1で逆転負け、スパーズはプラハに3‐0快勝。トーマス・フランク監督のチームは、ジマのオウンゴールの後、クドゥスとシャビ・シモンズがPKを成功させています。
左からのCKをロメロがニアで触り、ジマが頭で押し込んだ先制点は、「寝返ったのか?」とツッコミたくなる見事なオウンゴールでした。前半終了間際にペドロ・ポロがクロスを入れた後、アフターチャージで足を引っかけたサンヤンも、78分にシャビ・シモンズに抜かれそうになって足を高く上げたオグブも、冷静さを失っていたと反省しているのではないでしょうか。
オウンゴールとPKだけで勝ったスパーズは、3勝2分1敗で暫定9位に浮上しました。残り2試合はドルトムント、フランクフルトのブンデスリーガ勢。前者はストレートインをめざしており、後者は残留を賭けて戦う一戦となりそうで、いずれも難しい試合です。一方、アウェイで敗れたチェルシーは3勝1分2敗で11位に転落しており、プレーオフを回避できるか微妙な状況です。
ベルガモのアウェイゲームで先に決めたゴールは、エンソ・フェルナンデスのパスで左サイドを突破したリース・ジェームズが絶妙でした。高速グラウンダーは、GKの前でジョアン・ペドロが先に触れるぎりぎりのボール。オフサイドとジャッジしたアシスタントレフェリーに即座にノーといったのは、飛び出すタイミングに自信があったからでしょう。
貴重なゴールを生み出したキャプテンは、51分にフリーで放った強烈なシュートを左に外したのを悔やんでいるのではないでしょうか。GKカルネセッキは一歩も動けず、枠に収めていれば決まっていたはずです。アタランタの同点ゴールは55分。右からクロスが上がる寸前に、ウェズレイ・フォファナがスカマッカを見失ってしまい、フリーのヘッダーがネットを揺らしました。
ニアに強引にねじ込んだ83分のケテラーレのゴールシーンは、アタッカーの前にいたトシンもククレジャもずるずる下がり、コースが空いてしまったのが命取りとなっています。スカマッカに対応できなかったフォファナは、ハーフタイムにトレヴォ・チャロバーと代わって入っており、トシンはフォファナの目の負傷で急遽投入されたばかりでした。
マレスカ監督がトレヴォ・チャロバーを早々に下げたのは、イエローカードをもらっていたからでしょうか。チェルシーの指揮官は、プレミアリーグの監督のなかでターンオーバーと交代カードが最も多く、公式戦23試合で先発メンバーの変更が119人というとてつもない数字になっています。1試合平均で5.2人。交代カードはトータル101枚で、1試合平均4.4枚です。
激しいターンオーバーの理由として考えられるのは、「多数の若手を同時並行で育成」「疲労と負傷の予防」「戦術浸透」「レッドカード対策」「サブの選手のモチベート」といったところでしょう。対してリスクは、組み合わせによってクオリティが変わってしまうことです。マレスカ監督がデメリットも理解していると証明したのは、バルセロナ戦の直後のアーセナル戦でした。
チャンピオンズリーグの後となると、数人を入れ替えるのが当たり前だった指揮官は、ロンドンダービーではスペインの名門に快勝したメンバーからひとりしか代えませんでした。ガルナチョをジョアン・ペドロ。カイセドにレッドカードが出た後、守備的な布陣にシフトするかと思いきや、交代カードも同じポジション同士で2枚のみです。
ハーフタイムにエステヴァンをガルナチョ、10分後にジョアン・ペドロをリアム・デラップ。強豪とのゲームでは、メンバーもフォーメーションも安易にいじるべきではないと考えていたからでしょう。10人でドローに持ち込んだ後、リーズ戦ではリース・ジェームズとマロ・グストをベンチに置き、トレヴォ・チャロバーをSBに配して3-1で完敗しています。
この指揮官の強み(あるいは弱み)のひとつは、プレミアリーグの下位チームを相手にうまくいかなかった戦い方を、チャンピオンズリーグに持ち込む胆力です。アタランタ戦でもトレヴォ・チャロバーは右サイドで、CBコンビはアチャンポンとバディアシル。フォファナ投入は完全に裏目で、調子が悪そうだったCBはゴール前でファーに逃げたスカマッカに対応できませんでした。
直近の3試合は1分2敗。変幻自在なターンオーバーと交代策は、ときどき空回りしています。それでもマレスカ監督は、自らのスタイルを変えないのではないかと思われます。不振に陥った監督を容赦なく切るチェルシーで、チームを不安定にしてしまう可能性があるマネジメントを貫くとは…!エヴァートン戦の先発を当てる自信がある方は、速やかに挙手してください。
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