イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

サディオマネはチームを救えたのか?評論家の意見も割れる不振のリヴァプールの課題を考える。

昨季プレミアリーグにおいて、アーセナルのシュコドラン・ムスタフィは入団から4ヵ月半負けなしでした。クリスマスの直前に彼がいなくなったとたんにチームは連敗を喫し、戻ってくると最初の敗戦を経験するまで2勝1分。ワトフォード戦で敗れたアーセナルは長いトンネルに入り、ムスタフィの記録は忘れ去られましたが、前半戦は文字通り守り神に見えたものでした。同じシーズンで、マイケル・キャリックの無敗記録も現地で話題になりました。1月26日のEFLカップ準決勝セカンドレグでハル・シティに敗れるまで、彼が出場した公式戦は14勝4分、欠場したゲームは7勝4分5敗。ベテランアンカーの安定感により、ポグバが憂いなく攻撃にシフトできたのは確かですが、それにしてもあまりに見事なコントラストです。フットボールの世界では、価値ある選手の貢献度を実数字が大きくデフォルメしてしまう現象が、時折起こります。彼らが重要な役割を果たしていたのは間違いありませんが、デ・ヘアやチェフの素晴らしいセービングによって敗戦を回避した試合もあり、運という言葉なくして語れない数字であったのも確かです。

前振りが長くなりました。リヴァプールサポーターのみなさん、あるいは雑食系のプレミアリーグファンの方々に問いたいと思います。サディオ・マネの数字には、どのくらい運という要素が入っているでしょうか。2016年の夏にセインツから加わったアタッカーが出場すると23勝9分4敗、アフリカネーションズカップなどで彼を欠いた試合は8勝5分け7敗。勝率にすると、64%対40%という鮮やかなギャップとなります。プレシーズンマッチでバイエルン・ミュンヘンを破るなど6勝2分で新シーズンに入ったクロップ監督のチームは、最初の5試合を4勝1分と絶好調。チャンピオンズリーグのプレーオフではホッフェンハイムから2試合トータルで6ゴールを奪い、プレミアリーグではアーセナルに4-0で圧勝しています。相変わらず守備の綻びは気になったものの、フィルミーノ、サラー、マネの最前線は素晴らしい出来で、25歳のセネガル代表FWはプレミアリーグ3戦連続ゴールという最高の滑り出しでした。

課題を内包しつつも期待を抱かせていたレッズがつまずいたのは、プレミアリーグ4節のマンチェスター・シティ戦でした。アグエロにゴールを許した後の38分、勇敢に飛び出してきたエデルソンの顔をスパイクの裏で蹴ってしまったマネは一発レッド。10人となり、得意のプレッシングが効かなくなったチームは、ガブリエウ・ジェズスとレロイ・サネに2発ずつを喰らって5-0という予想外の大敗を喫しました。巻き返しを期したチャンピオンズリーグ初戦の対セヴィージャは、フィルミーノがPKを失敗してアンフィールドで2-2のドロー。続くプレミアリーグ5節のバーンリー戦はポゼッション71%、シュート35本を浴びせながら1-1で勝ち点1に終わり、カラバオカップのレスター戦は岡崎慎司にやられて2-0で完敗しました。

「ESPN」は、キングパワーでの一戦について「5点は獲れたレッズは21本のシュートをムダにした」とシュートの精度を問題にしており、試合後のクロップ監督は「不必要なミスが試合を難しくした」と守備陣の対応のまずさを嘆いています。攻守どちらの責任が重いかは意見が分かれるところだと思われますが、リヴァプールがチーム全体として歯車が狂っているのは間違いないでしょう。クロップ監督就任以降、リーグカップの準決勝とFAカップが重なって混乱を招いていたチームは、9月という予期せぬタイミングで2分2敗と勝利から見離されてしまいました。

果たして、マネがいればチームを救えていたのでしょうか。攻め勝つ形に持ち込めない前線の課題が大きいのか、やはり守備陣が厳しいという従前の見方が妥当なのか、評論家の意見は割れています。アラン・シアラーが「守備陣が毎週似たようなミスを繰り返しているのを見ると、クロップがトレーニングで何をやっているのか疑問に思う」と主張すれば、クリス・サットンは「ファンはセットプレーについて語っているだろう」と援護射撃。これに対してイアン・ライトは「ゴールを決めることでチームを落ち着かせないといけない。今のリヴァプールは積極性を欠くがゆえに、思わぬ失点を喫している」と攻撃陣の姿勢を疑問視しています。

私が気になっているのは、優位に立っているときの過ごし方です。昨季の年末、1-0で勝ったアンフィールドのマンチェスター・シティ戦では、8分にワイナルドゥムが先制点を決めた後は自陣に引いてボールをまわして時間を遣いながら、時折速攻を仕掛ける老獪な戦い方を見せて逃げ切っています。積極的に仕掛けて相手を混乱させる戦い方と、あえてスローに落として相手を呼び込み、長い縦パスで一気にゴール前に迫るような攻め方を交えれば、ゴール前に張り付いていればOKと割り切って楽に守る相手に、希望のないミドルを浴びせる単調な時間を少なくできるのではないかと思います。ただし、ヘンダーソンやマティプがロングフィードを入れるなら、トラップ一発でDFを抜き去ることができるマネの重要性は上がりそうではあるのですが…。

8月のプレミアリーグの月間MVPに輝いたアタッカーに加えて、スペースを使うのがうまいララナが復帰し、コウチーニョがトップフォームを取り戻せば攻撃陣の問題はあっさり解決するのかもしれません。しかし当面の問題は、週末のレスター戦です。クロップ監督は、自らの采配で勝ち点3をもぎ取り、「カラバオカップの敗戦はメンバーを落としたから。主力が揃えばマネ抜きでも強い」ことをあらためて証明できるでしょうか。やっかいな岡崎慎司は、次はスタメンに名を連ねているはずです。

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“サディオマネはチームを救えたのか?評論家の意見も割れる不振のリヴァプールの課題を考える。” への3件のフィードバック

  1. タムコップ より:

    毎日のように、ブリティッシュウェザーよろしく晴れてほしい時に限ってドシャ降りな心境のレッズファンです(笑)
    マネ不在時の戦い方に関しては主様もおっしゃってる通り明らかに数字に表れてるので、今季は『ノー・マネ、ノー・ゴール』を払拭できる攻撃プランをクロッポ御大には示してもらいたいとこです。
    タレントが揃ってるだけに、なかなかすっきりしないですね。スタリッヂの爆発的な得点力を活かすべく2トップのオプションも備えておくべきかと。

    記事の内容から逸れましたが、個人的にはやはり守備面の『強化』をちゃんとしてもらわんと困るなと。
    補強も大切でしょうが、今の体たらくだと、現有戦力での守備強化無しに補強しても無駄遣いにしかならないと思います。
    目に見えて貧弱なセットプレー時の対応はもちろん、プレスを掛ける時と引く時の塩梅や、セカンドボールに対する姿勢など、まあ言い出したらキリが無いです(笑)
    クロッポが「見てて病気になる」と言うほどなので、毎週1試合を楽しみにしているサポーターは病気どころか瀕死の重症患者状態です…。

    まずは今週末のキングパワースタジアムで内容は二の次、しっかり仕返ししてもらうことを楽しみにしております!

  2. タムコップ より:

    毎日のように、ブリティッシュウェザーよろしく晴れてほしい時に限ってドシャ降りな心境のレッズファンです(笑)
    マネ不在時の戦い方に関しては主様もおっしゃってる通り明らかに数字に表れてるので、今季は『ノー・マネ、ノー・ゴール』を払拭できる攻撃プランをクロッポ御大には示してもらいたいとこです。
    タレントが揃ってるだけに、なかなかすっきりしないですね。スタリッヂの爆発的な得点力を活かすべく2トップのオプションも備えておくべきかと。

    記事の内容から逸れましたが、個人的にはやはり守備面の『強化』をちゃんとしてもらわんと困るなと。
    補強も大切でしょうが、今の体たらくだと、現有戦力での守備強化無しに補強しても無駄遣いにしかならないと思います。
    目に見えて貧弱なセットプレー時の対応はもちろん、プレスを掛ける時と引く時の塩梅や、セカンドボールに対する姿勢など、まあ言い出したらキリが無いです(笑)
    クロッポが「見てて病気になる」と言うほどなので、毎週1試合を楽しみにしているサポーターは病気どころか瀕死の重症患者状態です…。

    まずは今週末のキングパワースタジアムで内容は二の次、しっかり仕返ししてもらうことを楽しみにしております!

  3. makoto より:

    タムコップさん>
    引き方と、サイドにボールが出た時の受け渡しが気になります。マティプはいい選手なのですが、先読みができすぎるためによく持ち場を離れて処理しにいきますよね。個別ではいいプレイも多いのですが、長い目で見れば、あまりそれをしないマンチェスター・ユナイテッドの守備の方が穴は開かないと思います。

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