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メスト・エジルはアーセナルに残ってほしい…マンチェスター・ユナイテッド移籍報道に混乱中です!

この話に触れると、非常に複雑な気分になります。2週間前からしきりに報じられているアーセナルのメスト・エジルの去就に関する記事は、その多くが「レアル・マドリード時代にともに戦ったジョゼ・モウリーニョのチームへの入団を希望している」というものです。2015-16シーズンのプレミアリーグで19アシストを記録したプレーメイカーは、今季は低調なスタート。プレミアリーグ開幕から4試合に続けて先発したものの、チームは2勝2敗で、4-0で敗れたリヴァプール戦の試合後にはインスタグラムでサポーターに大敗を謝罪したことが話題になりました。その後、膝を痛めてチェルシー戦とブライトン戦を欠場。出場5試合でゴールもアシストもゼロは、彼らしいスタッツではありません。

そんななかで、ドイツとイギリスで一斉に報じられたのが、エジルがマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を希望しているというお話でした。その中身はメディアによってニュアンスが違い、「デイリー・ミラー」が本人が希望していると強調する一方で、「インディペンデント」はモウリーニョ監督がガナーズの司令塔の入団を強く確信していると主張。「本人が契約満了後にエミレーツに残る意欲を失っているため、残留交渉は行き詰まり、マンチェスター・ユナイテッドが契約を結ぼうと画策している」と獲得する側の熱意にフォーカスしています。この記事の見出しは、「Manchester United to make a move for Mesut Ozil this January as Arsenal contract talks continue to stall(アーセナルの交渉が停滞しているなか、マンチェスター・ユナイテッドはメスト・エジルを1月に移籍させようとしている)」。契約満了を待って移籍と伝えるメディアが大多数ですが、半年前倒しで動く可能性があると指摘する向きも出てきています。

冒頭に複雑な気分と書いたのは、アーセナルのチームカラーにフィットするエジルには今のクラブで長く活躍してほしいという願望があるのと、マンチェスター・ユナイテッドにドイツ代表の中心選手が来たためにあぶれる選手の行く末を憂えるからです。アーセナルは、エジルが普通にプレイしているだけで相当強いチームだと思っています。彼がクリスマスまでに18アシストを積み上げて1月17日まで首位だった2015-16シーズンと、「ゼロトップ戦術の隠れストライカー」として最前線に積極的に飛び出し、チームを14戦無敗に導いた昨季プレミアリーグの前半戦は見事でした。「走らない」「守備しない」という評価がありますが、前者は11番がしばしばチームNo.1レベルの走行距離を示すのを見れば誤りとわかり、後者については映像を見れば「エジルが消えるメカニズム」は、守備に忙殺されて前に出られなくなることなのだと理解できるはずです。

これだけの選手がマンチェスター・ユナイテッドに来るとなれば、サポーターとしては諸手を挙げて歓迎すべきなのかもしれませんが、われわれにはムヒタリアンとマタがいます。プレミアリーグにすっかり慣れたムヒタリアンは、ここまで5アシストと6本のスルーパスという秀逸な数字を残しており、いずれもリーグ2位。エジルが19アシストを記録したシーズンに、公式戦52試合23ゴール32アシストというとてつもない数字を残したアタッカーは、今やなくてはならない存在です。彼とエジルが共存できるとすれば、あぶれるのはマタでしょう。前線への飛び出し、効果的なプレス、違いを創るサイドチェンジでアタックを活性化してくれている8番が、再度ベンチ行きを命じられる姿を見るのはしのびなく、ワールドクラスのプレーメイカーの降臨を手離しでは喜べません。

今季のチームに絶望したのか、クラブOBの批判にロイヤリティを削られたのか、あるいは自らを変える機会がほしいのか。7月には週給28万ポンド(約4060万円)で契約延長と伝えられたエジルが翻意したのだとすれば、その理由が気になります。ヴェンゲル監督が、アレクシス・サンチェスとエジルの売却益を放棄するリスクをとったのは、ビッグタイトルを獲るためでしょう。指揮官と経営陣は、クラブがトロフィーを狙えるポテンシャルがあるのをあらためて示すことと希望通りのサラリーで、早期にエジルとの新契約締結に漕ぎ付けるというシナリオを描いていたはずです。われわれから見えない場所で何が起きているのかは想像するしかありませんが、毎年恒例の秋の快進撃でエジルの納得感を得て、クラブに骨を埋めると宣言するぐらいの契約を結んでいただければと思います。彼が来るとなればもちろん応援しますが、ムヒタリアンとマタが好きなサポーターとしては、気持ちの切り替えに相当の時間がかかるのは間違いありません。…こんな報道があること自体が、何ともいえず複雑です。

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“メスト・エジルはアーセナルに残ってほしい…マンチェスター・ユナイテッド移籍報道に混乱中です!” への6件のフィードバック

  1. グーナーです より:

    グーナーです。
    エジルが仮にユナイテッドに移籍するとしたら、
    最悪のシナリオがあり得ると思っています。
    「サンチェス、エジルがいてもタイトルは全くとれなかった」「サンチェス、エジルは移籍金をまったく残さずライバルチームに移籍した」というストーリーです。

    批判の対象にされがちなエジルですが、私は南アフリカW杯からのファンで、レアルの試合も追っていましたし、アーセナルに突然やってきたときには夢かと思いました。
    (そのあとレアルがCLで快進撃コースに入ったのは複雑なのですが)

    ユナイテッド移籍はルール違反でもなんでもないのですから本人の自由といえばそれまでなのですけれど、何度も何度も声をあげて応援してきた彼を敵として認識しないといけない日がくるのはちょっと耐えられそうにありません。

    せめて、せめて移籍するなら海外に移籍してもらえたら。。。

    いや、移籍なんて絶対しないで欲しいのですけども。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    エジルとサンチェスという二大エースをマンチェスター勢がフリーで分け合うというシナリオが現実味を帯びてきましたね。

  3. 不知火 より:

    ルカク、イブラ、ポグバ、デヘアそして将来有望なマルシャルにラッシュフォード。そこにエジルが加わったらちょっとした銀河系軍団ですね。
    ただ、今のところユナイテッドは上手くいってます。
    マタが怪我でもしない限りエジルはとらないんじゃないでしょうか。

  4. stotina より:

    いつも楽しく拝見しています。

    makotoさんがこのようなアップをされるということは、このゴシップは実現性が高いとお考えということでしょうか…。

    ここのところの外野からのエジルへの批判は、不振のチームのスケープゴートに近い扱いで、極めてアンフェアだと思います。
    また、ヴェンゲルさんからの反論や選手擁護もあまり聞こえるようには思えず、心配です。
    エジルにはぜひ残ってほしいですし、そのためにも、ヴェンゲルを敬愛し、クラブに期待をもってきてくれたエジルのような選手をガッカリさせないクラブであってほしいと思います。

  5. ばびぶ より:

    自分なら大歓迎ですね。今のユナイテッドはトップ下と右サイドの控えがいないので。ムヒタリア
    ンとマタどちらかが怪我したら一気に崩れます。リンガードは完全に力不足で、マルシャルやラッシュフォードも右サイドでは窮屈です。エジルが来たら右サイドに置くのがいいと思いますね。ペレイラについてモウリーニョも言ってたことですが、激しい競争に臨めない選手はユナイテッドにはふさわしくないです。

  6. makoto より:

    グーナーです さん>
    「サンチェス、エジルがいてもタイトルは全くとれなかった」「サンチェス、エジルは移籍金をまったく残さずライバルチームに移籍した」→これが怖いですよね。エジルは、アーセナル入団時からチームカラーにぴったりな選手だなとテンションが上がっていたので、マンチェスター・ユナイテッドとなれば相当複雑です。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    そうですね。ただしアーセナルは国外に出すなど、回避に動くのでしょうね。

    不知火さん>
    同感で、1月はないのではないかと思ってますが、夏はあってもおかしくありません。

    stotinaさん>
    報道のされ方が、中身のある話なのかなと思わせるものでした。今の批判は厳しすぎますよね。

    ばびぶさん>
    戦力的には大歓迎なのですが、バンザイできるようになるまでに時間がかかりそうでして。気分的に、です。

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