イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

こちらの高騰もクラブのリスク…プレミアリーグの高額週給ランキング!

昨今は、ネイマールのパリ入団に端を発した移籍金の高騰が懸念されておりますが、クラブにとってのリスクという観点では選手たちのサラリーの高額化のほうがやっかいだと思います。何しろ、固定人件費です。クラブの財政が急激に悪化したとき、移籍金であれば次からかけないという選択肢があり、選手を売却することで一定戻ってきますが、サラリーはそうはいきません。選手との契約が続く限りは支払わなくてはならず、契約解除の際には違約金が発生することもしばしばです。マンチェスター・ユナイテッドは、2016-17シーズンに5億8100万ポンド(約900億円)の総売上を記録していますが、スタッフコストは13.5%も上がっており、総額2億6350万ポンド(約408億円)。ウェイン・ルーニーの退団でひとりあたりの金額は減ったかと思いきや、アレクシス・サンチェスとの契約で今までよりもさらに上がっています。

テレビ放映権バブルが弾けて、来年から半分しか入らないという話になったら、裕福なプレミアリーグのクラブといえども売上をリカバーすることはできません。TOP6について、2016年から2017年にかけてのクラブ収益の推移を見ると、テレビ放映権料以外の数字を伸ばせているのは「チャンピオンズリーグ出場権獲得で売れ筋の試合が増えた分マッチデイ収入が乗っかり、スポンサーフィーも増えた」トッテナムのようなクラブだけです。スタジアムの収容力UPなどによる売上の増加、スポンサー営業強化など「テレビ以外の収益源開拓によるリスク分散」と、人件費の抑制は各クラブにとって重要な課題です。

明るくない話をひとしきりしたうえで、「ランキングです、どん!」というのも何ですが、「デイリー・ミラー」によるプレミアリーグの高額週給ランキングをご覧いただきましょう。ちなみに、昨年の11月に「ザ・サン」が紹介していたクラブ別の平均週給額では、マンチェスター・ユナイテッドが10万792ポンド(約1560万円)、マンチェスター・シティが10万691ポンドと僅差でワンツーです。上位のリストを見ると、「マンチェスター・シティが強くなる過程で相場を上げ、それに対抗したチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドがさらに上乗せ」というサラリー闘争の歴史が窺えます。

1位 アレクシス・サンチェス(マン・ユナイテッド) 50万ポンド(約7800万円)
2位 エジル(アーセナル) 35万ポンド(約5400万円)
3位 ポグバ(マン・ユナイテッド)29万ポンド(約4500万円)
4位 アグエロ(マン・シティ) 26万ポンド(約4000万円)
6位 ルカク(マン・ユナイテッド)25万ポンド(約3900万円)
6位 デブライネ(マン・シティ) 25万ポンド(約3900万円)
10位 セスク(チェルシー) 22万ポンド(約3400万円)
10位 アザール(チェルシー) 22万ポンド(約3400万円)
10位 イブラヒモヴィッチ(マン・ユナイテッド) 22万ポンド(約3400万円)
10位 ヤヤ・トゥレ(マン・シティ) 22万ポンド(約3400万円)

こうしてみると、アレクシス・サンチェス獲得レースからマンチェスター・シティが降りたのも納得、エジルとポグバも4位~6位ぐらいの水準が妥当でしょう。上位3人のサラリーを応分に削って、スパーズやレッズの前線3人に分配したら世直し完了といったレベル感です。私が申し上げたかったのは、「夏のネイマールもさることながら、冬のアレクシスも相当デンジャラスなのではないか」ということです。週給30万ポンド超えを果たす選手には、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ制覇の立役者といった目に見える実績がほしいところ。移籍金やサラリーの高騰は選手の問題ばかりではない(要求するのは自由ですから)ので、プレッシャーをかけるようなことをいい続けるのは避けたいと思いながらも、これが前例となってクラブのお財布を圧迫し続けることにならなければと願っております。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“こちらの高騰もクラブのリスク…プレミアリーグの高額週給ランキング!” への9件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    何を今更感の強い記事ではありますがおっしゃる通りですね。ミキとのトレードでサンチェスとれたラッキーと言ってるサポーターには是非読んで欲しいです

    私はポグバが移籍してきた時に彼にのっかったサラリーを見た時から危惧してましたが、今回のサンチェスの件でそれも加速しそうです。実際、ポグバの後を追ってきたルカクにも超高額のサラリーが乗ってますし、サラリーのスタンダードが上がる事は中・長期的な視点からファイナンス的にはかなり危険な事なんじゃないかと。

    まあエドはその道のプロ中のプロですし、我々のような浅い会計の知識でウンタラカンタラ言うこと自体、何を今更なのかもしれませんが笑。

    個人的にはユニフォームが売れる選手、クラブのアイコンになり得る選手には金額を惜しまず流す、ネイマール獲得のパリにも言える事ですが、優秀な経営者は投資の回収手段をかなり広い視点から探ってるんだろうなと。ただそこに代理人への手数料とか乗っけてユナイテッドは取引してるんで本当に大丈夫なのかなという懸念は拭えませんが

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    テレビ放映権料に関しては次の契約からAmazonが参入してくるみたいな話もありますし、アジア市場の獲得に躍起になっているラリーガの戦略はむしろリーグの価値を落としているのでは…?と思えるくらいの下手さなので向こう5〜10年は更に上がるのではないかと思えます

    アレクシスのサラリーのリスクに関しては私もそう思います。しかもライオラの選手を多く抱えるユナイテッドにとってはかなりリスキーな選択だったと思います。アレクシスの獲得発表後にポグバがアレクシスより上のサラリーを要求しているみたいな話を見るとユナイテッドはライオラの玩具になってしまうのではないかという浅はかな心配を少ししています。

    逆にサラリーの低さを度々指摘されるスパーズは徐々に水準を上げようとしてるみたいですね。リーグの規定により一気には上げられないですが、チームの躍進、新スタの開設により収入がアップしていく状況になっているということならサラリーを上げる準備は出来ているということですか。。流石はレヴィ会長とポチェッティーノですね。。

  3. voo より:

    収入全体における給与のパーセンテージがユナイテッドはプレミアで一番低いって話を何かで目にして、それなら額面の大きさに比して最も健全経営できてるからいいかと思った記憶があります。全体の収入が減ったならそれに合わせて給与水準も減らしていけばいいか、と。
    サンチェスは移籍金なしでムヒタリアンの分の年俸もなくなるわけですから年俸だけで高いともなかなか言い切れない気がします。固定費ではありますが移籍もありますし、よくいわれるユニフォーム代、そしてなによりネイマール以降の流れですでにポグバは安かったといえるような状況はさらに加速して二年後にはサンチェスは安かったといえるような状況になるかもしれないので…。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    セスクが結構貰っててびっくらポンですね

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    収益に対する給与が一番低いユナイテッドよりもオーナーの金で大型補強を繰り返すシティやPSGこそ今のサッカー界の癌だと思います。
    選手獲得だけで年間で400億使うクラブが2つもあるなんて時代が来るなんて昔じゃ考えられないことです。
    このまま純粋な収益で補強するクラブが減り、オイルマネーを持つクラブが増えれば10年後にはリーグの勢力図は大きく変わっているかもしれませんね。

  6. sini より:

    給与をたんまりあげているユナイテッドやシティも、給与をケチりまくっているスパーズも、話題の出し方次第では批判の対象になってしまうのがメディアの怖いところですが、給与を多くあげることも、ケチることも、それぞれが違った形でリスクを背負っていることには変わらないんですよね。

    とはいえ、プレミアの移籍金や給与高騰はいきすぎ感があり、それを鑑みるとレヴィ会長のビジネスライクな経営が私には安心感があります。
    選手流出や監督交代で多少一時的な成績が上下しようとも、数年先を見据えて先端をいくトレーニングセンターの設営やスタジアム拡張を実施し、少しずつクラブとしての筋肉を付けていっている長期的な経営計画は、さすがと思います。事実、ヨル以前には降格の危機もあり、10位以内で御の字だったクラブが、今じゃトップ6と呼ばれる中に入るまでに成長したのですから。シャーウッド時代のような迷走と言われる時期があってさえ、長期的な目線で見れば安定しているんですよね。
    マーティン・ヨル解任時には、このハゲ眼鏡! と思いましたが。
    なので、個人的には、経営面で許容できる範囲の多少の上昇はあるにせよ、これからもレヴィ会長にはガンガン給与をケチってもらいたいと思っています。

  7. スパーズ推し より:

    サポーターとしては、レヴィが会長である限り急激な躍進も無いが、没落も無いと安心しています
    下部の育成もからも期待出来る人材が輩出されて来ていますし、
    何より売りのレヴィは最強ですから誰かが抜けたとしても相当以上の利益を得られるので、大きく落下はしないだろうと思っています
    (もちろん誰も抜けてほしくは無いんですが……)

    なので昨今の爆発する市場には流されず、堅実にじっくりと進めてほしいです

  8. タムコップ より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    アレクシス・サンチェスが飛びぬけているわかりやすいランキングをみて、書いておこうと思いました。おっしゃるとおり、ファイナンスとチーム運営観点でリスクであることは間違いないと思います。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    スパーズは、マッチデイとコマーシャルの収入を上げられる伸びしろが多いので、うまくやれば他の上位同様の水準に上がることができるかもしれません。

    vooさん>
    マンチェスター・ユナイテッド単体でいえば、テレビ放映権料への依存率が低く、リスク分散はできているので大きな問題は起こりにくいと思います。怖いのは、マンチェスター勢が上げて他のクラブが背伸びしてついてきた後、何かあったときに苦しくなるクラブが出るかもしれないというお話です。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    ですね…。当時、何がなんでもほしかったのでしょうね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    どこかで新しいルールが導入されるかもしれませんね。

    siniさん スパーズ推しさん>
    同感です。素晴らしいですよね。ただし、ポチェッティーノさんがいなくなったらどうなるんだろうとも思います。いいコンビですので。

    —–
    サンチェスの週給を年間換算するとおおよそ42億円。
    ビッグネームを1人は獲れる金額。
    さらにライオラが手にしたエージェントフィーも20億超と言われてるマネーホラーなディールがこの先も続くのか、そして更に高騰していくのかと考えると、さすがに首を傾げざるを得ないというのが率直な意見です。
    我がレッズもその他ビッグチーム同様バッグディールを成立させましたが、コウチーニョマネーの目算が前もって立ってなかったとしたら、ファン・ダイク獲得は相当難しかったでしょう。
    世界一の売上を誇るユナイテッドとはいえ、なんぼウッドワードに卓越した経営力があるとはいえ…、今後ユナイテッドが獲りたい選手との交渉のハードルがより一層上がったのは間違いないですね。

  9. voo より:

    推定年俸は出場給や勝利給がどうなっているのかブラックボックスなので額面通り貰えるかは少し慎重に見たいところです。代理人報酬もそうですね。逆に税金負担とかさらにかかってるかもしれないですがよくわかりません。

    私はプレミアリーグ内のバブルだけの問題とはあまり見ていなくてネイマールを取ったPSGのような外圧によって避けようのない変化がもたらされているというイメージなので例えば戦国時代に火縄銃を皆が持ち出すことにはリスクがあると言ってももう不可避な流れじゃないかなあという印象です。スパーズは石つぶて隊で頑張ってるぞといってもなかなか先は・・。単純にもう100億出さないとトップ選手は取れない時代にプレミアだけでなくPSGらプレミア外のクラブによってされてしまい止めることも避けることもできない、と。
    ユナイテッドはポグバにしろルカクにしろサンチェスにしろコウチーニョ的な値上がりがくる前に早く動いてうまく取れたなって後々なるんじゃないかなあ。
    またバブルがはじけて没落するクラブが出てきても代わりに新たなクラブがプレミアに上がってくるチャンスが増えると見ればいいんじゃないかと思います。

コメントを残す