8月の最優秀監督は全勝ワトフォードのハビ・グラシア、MVPは3発ゲットのルーカス・モウラ!
ワトフォードの快進撃には、びっくりしました。昨季のプレミアリーグでは、11勝8分19敗で14位。最後の9試合で1勝しか挙げていないクラブに、厳しい状況を打開する補強があったかといえば、手痛い主力の離脱のほうが目立ったオフシーズンでした。ローン移籍だったカリージョのベンフィカ復帰は予定通り、しかしリシャルリソンのエヴァートン行きは激痛です。左サイドで暴れまわってくれた若きブラジル人がいなくなった後、ワトフォードは代役を獲りませんでした。夏の新戦力リストのなかで即戦力といえるのは、35歳のGKベン・フォスター、ボローニャから来た左SBアダム・マジーナ、エステルスンドから獲得したMFケン・セマと地味な顔ぶれ。デウロフェウとトム・クレヴァリーを負傷で欠いたチームは、苦しい戦いを強いられるものと思われました。
ハビ・グラシア監督の最大の工夫は、4試合連続のスタメン固定です。フォスター、ヤンマート、キャスカート、カバセレ、ホレバス、ウィル・ヒューズ、ドゥクレ、カプェ、ロベルト・ペレイラ、ディーニー、アンドレ・グレイ。プレミアリーグ開幕戦でブライトンに2-0で完勝したメンバーをそのまま使い続け、コンディションが整わないままEL予選を戦っていたバーンリーを叩くと、クリスタル・パレス戦は2点を先取して逃げ切りました。走り負けなかったトッテナム戦は、2回のセットピースを活かして逆転勝利。クロス本数はリーグ19位ながら、インターセプト65回とロングボール300本は、いずれも2位に食い込んでいます。奪ったボールを素早くディーニーやアンドレ・グレイ、ロベルト・ペレイラに展開する直線的なサッカーは、リーグ3位の9ゴールという形で実を結びました。4-4-2の完成度で勝負した指揮官が、次節のマンチェスター・ユナイテッドや9月末に当たるアーセナルに対して、どんな戦い方を選ぶのか注目です。
4戦4発のマネとアルナウトヴィッチを差し置いて、ルーカス・モウラがMVPに選ばれたのは、2ゴールを決めたマンチェスター・ユナイテッド戦の活躍が鮮烈だったからでしょう。ハリー・ケインが先制ゴールを決めた直後、エリクセンの丁寧なグラウンダーに走り込んだ豪快なボレーで、昨季プレミアリーグ2位は完全にしびれました。スモーリングを抜き去ったドリブルシュートも、いかにも彼らしい一撃です。今年の1月に入団してからしばらくは、チーム戦術にうまくはまらず苦しみましたが、チームメイトの理解が深まった新シーズンは相当やってくれるのではないでしょうか。アジア大会を制したソン・フンミンが戻ってくれば、スパーズの前線は質・量とも盤石です。
チャンスメイカーを抜かれた伏兵と、補強ゼロのトップクラブは、既存のメンバーの活性化でどこまで戦えるでしょうか。キャラ立ちまくりのクラブひしめくプレミアリーグは、今季もおもしろくなりそうです。オールド・トラフォードで0-3…いや、終わった試合のことは忘れましょう。あの試合のルーカス・モウラは素晴らしかった。この稿で語られるのは、それだけで充分です。
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