【ちょっぴり番外編】130億円の価値はあったのか!? ガレス・ベイル、入団3か月めの収支報告
とはいえ、プレミアリーグに特化した小さなブログが、大所高所に立ってサッカー界全体の選手売買について論じるというのも荷が重い話ですので、ここでは「ベイルさん、お元気ですか?レアル・マドリードは獲ってよかったですか?」というテーマについてのみ、語ることにしたいと思います。
10月30日のリーガ・エスパニョーラ第11節、セビリアとの戦いで、レアル・マドリードは7-3と大勝しました。こういった乱打戦を見ると、私は失点の3のほうが気になってしまうのですが、それはさておき、このゲームでベイルは2ゴール2アシストを記録。クリスティアーノ・ロナウドのハットトリックもあり、今シーズン初めて「ガレス・ベイルのゴールで勝った試合」となりました。彼のスペインでの初ゴールは9月14日のビジャレアル戦ですが、このときもクリスティアーノ・ロナウドとのアベック弾(スポーツ新聞のような、昭和の香りがする表現ですね)を決めたものの、試合は2-2のドローだったのです。サポーターやマスコミに「活躍した」といわれるまで、2ヵ月半もかかってしまったのですね。
今季のベイルは、リーガ・エスパニョーラ11試合中、5試合に出場、スタメンは3試合。出場283分で3ゴールです。まだ序盤戦ではありますが、これは130億円かけた選手の記録としては厳しいもので、ベイルの半額で売ったメスト・エジルのプレミアリーグでの活躍をみれば、せっかちな記者が「失敗ではないのか」と言い出してもおかしくありません。シーズンが始まる前、移籍話に翻弄されたためかコンディションが最悪で、ベイルはここまでで2回も負傷しています。こうなると容赦ないのがスペインのメディア。「椎間板のケガは慢性的なものではないか」「メディカルチェックをちゃんとやったのか」「不良品をつかまされたのではないか」等、言いたい放題。しかし直近、セビリア戦の活躍でようやく風向きが変わり、「キャプテン翼の日向小次郎のようなタイガーショット」という手放しのほめちぎりぶりに豹変しています。このあたりはまさにラテン系、情熱の国のマスコミならではです。
話はそれますが、欧州における「キャプテン翼」の影響力は絶大で、デル・ピエロ、ジダン、トッティ、メッシなど、多くの選手がこのマンガの影響されてサッカーの練習に励んだようです。ちなみに翼くん派がティエリ・アンリ、岬くん派はトレセゲ、三杉くん派がピルロ。ジラルディーノは立花兄弟、ガットゥーゾはDFの石崎くん(渋いけどわかる)!…もしかしたら高橋陽一郎先生は、残念ながら日本と欧州の差を広げるほうに貢献してしまったかもしれません。
失礼しました。ベイルですよね。彼のコンディションが完全になれば、クリスティアーノ・ロナウド、イスコ、ベンゼマと、個人で打開できる選手が多くてどこからでも点が獲れるレアル・マドリードは脅威です。きっとこれから、今までの空白の時間を埋めるべく活躍し始め、一定の結果は出すでしょう。しかしそれでも、総額130億円、エジルとの価格差70億円という金額に見合うかといえば疑問が残ります。今季のレアル・マドリードは、前線でボールを散らして攻撃にバリエーションをもたらすタイプの選手が少なく、チャンピオンズリーグで強いクラブに当たったとき、うまく守られると単調なサッカーに終始するのではないかと思います。イグアインやカジェホン、アルビオル、エジルを出してまで、このチームづくりをする必要があったのか。やはり微妙ですね…。
今の状況から結論めいたことを書くとすれば、「130億円の効果を得るまでには時間がかかりそう。失敗の可能性も充分にある」となります。そうそう、もうひとつ気になるのは、トッテナムのレヴィー会長の選手獲得戦略。もう既に、タウンゼントやエリクセン、ハリー・ケインあたりの3年後の値段をはじき出しているかもしれません。この方だけは、あなどれませんね。優秀なオーナーです。
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