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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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若きSBは23連勝がストップ、ヴィラの主将は20連敗…史上最長★プレミアリーグの天国と地獄!

ガブリエウ・ジェズスが92分に突き刺したゴールがVARによって取り消されたとき、22歳のテクニシャンが続けていた偉大な記録が途切れました。2016年の夏にマンチェスター・シティに加わったオレクサンドル・ジンチェンコは、プレミアリーグデビュー以来23連勝という数字を残していたのです。最初の1年はPSVアイントホーフェンにレンタルされ、ペップの2年めにチームに呼び戻されると、2017‐18シーズンはプレミアリーグ8試合出場。19歳で初キャップのウクライナ代表で、あのシェフチェンコの最年少ゴール記録を塗り替えた神童は、スター揃いのクラブでは本職の中盤で起用されるには至りませんでした。

まかされたポジションは、バンジャマンメンディが長期離脱となった左SB。1月から1ヵ月半だけレギュラーとして起用されたものの、バンジャマン・メンディが復帰すれば出番はなくなると見られており、2018年の夏にはマン・シティとウォルヴァー・ハンプトンがクラブ間合意と報じられました。プレミアリーグ昇格クラブで出場機会を増やすものと思われたジンチェンコは、土壇場で移籍話を蹴ってペップのチームでチャレンジする道を選択。この決断によって、デブライネにそっくりのプレーメイカーは、引き続きプレミアリーグの全勝記録を積み上げていくことになります。

2018‐19シーズンは、バンジャマン・メンディが再度負傷したことにより2月からレギュラーに定着。プレミアリーグ出場は14試合と前シーズンより増え、ピッチに立った試合の通算成績は22戦全勝となりました。国内トレブルを達成したチームで居場所を確立したレフティは、新シーズンの開幕節のウェストハム戦で記念すべき勝利をゲット。23連勝は、大先輩のダヴィド・シルヴァが2017‐18シーズンに創った史上最多連勝とタイレコードで、「デビュー以来」という言葉が加われば前人未到の大記録です。

ここまでのスタッツがまた凄い!23試合のゴール数は61で、失点はわずか7。2ゴールを許した試合はひとつもなく、クリーンシートが16回。ダヴィド・シルヴァの23連勝は失点13、クリーンシートは12回に留まっており(これも凄い)、実はジンチェンコこそがエースなのではないかと思えてきます。スパーズ戦で初の2失点、初のドローとなってしまいましたが、左サイドの後方にプレーメイカータイプがいる変態チームはやはり脅威です。今季はアーノルドのシーズン12アシストというプレミアリーグのSB最多記録を破り、通算3アシスト&チャンスメイク3回というもの足りないスタッツを上書きしていただければと思います。

さて、勝者がいれば、同じ数だけ敗者がいるのがフットボールの世界。プレミアリーグに復帰したアストン・ヴィラに、よくぞここまで移籍せずに耐え抜いたと拍手を送りたい若手がいます。ジンチェンコよりひとつ年上、23歳でキャプテンを務めるジャック・グリーリッシュが最後にプレミアリーグで勝ったのは、2014‐15シーズンの36節、5月9日に行われたウェストハム戦です。このシーズンのラスト2試合を連敗で終えたアタッカーは、20歳で迎えた2015‐16シーズンで出場した16試合を全敗という不名誉な記録を作ってしまいました。

彼がいなかった22試合は3勝8分11敗と、敗戦率50%。運が悪いのか自分が悪いのか、それとも「悪童」に科せられた天罰か。わからないままチャンピオンシップで耐えること2年。やんちゃな少年は、頼もしいオトナへとキャラ替えに成功しました。2019年の夏、ようやくトップリーグに戻ってきたグリーリッシュは、以前に誘ってくれたスパーズとの一戦で残り20分まで1‐0でリードしていました。

このままいけば久々の勝利。追いつかれても久々の勝ち点。ああ、それなのに…。73分にタンギ・エンドンベレに決められた後、残り4分でメラにインターセプトを喰らったのは誰あろうグリーリッシュでした。シュートのディフレクションを押し込んだハリー・ケインは、90分にとどめの3発めをゲット。2節のボーンマス戦は、本拠地ヴィラ・パークだったにも関わらず、12分までに2発叩き込まれて完敗を喫してしまいました。

トータル20連敗は、プレミアリーグのワーストレコード。ドローすらない暗黒の日々を過ごす選手の気持ちはいかばかりか。今後の4試合は難敵揃いで、ヴィラ・パークがエヴァートンとアーセナル、アウェイゲームはクリスタル・パレスとウェストハム。ここで4連敗となっても、バーンリー、ノリッジ、ブライトンと続く3連戦のどこかで歓喜の瞬間が訪れるのではないでしょうか。アストン・ヴィラが勝ったら、グリーリッシュに聞いてみたいことがあります。「宿敵バーミンガムに勝つのとどっちがうれしい?」。6歳からヴィラでプレイしている生え抜きは、もしかすると…⁉

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“若きSBは23連勝がストップ、ヴィラの主将は20連敗…史上最長★プレミアリーグの天国と地獄!” への1件のコメント

  1. アイク より:

    毎日おもしろいレポートありがとうございます。

    ジンチェンコ、面白いので試合でいつも注目してますが、明暗の暗の方が強烈すぎて
    前半何が書いてあったのかほぼ忘れてしまいました…
    今日からグリーリッシュ応援します。

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