偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Willian wants Premier League stay as Chelsea contract talks stop（チェルシーとの交渉を止めたウィリアンは、プレミアリーグに残りたがっている）」。2019-20シーズンの終わりとともに、チェルシーとの契約が切れるウィリアンが、プレミアリーグのクラブでプレイしたいと公言しています。ウインガーの希望は3年契約で、クラブの提示は2年。できるだけ長くプレイしたい選手が保証を求めたのに対して、若返りを図るクラブも精一杯の条件で残留を請うたのでしょう。両者にうなずくオトナの別れ話。語られるべきは、お互いの未来です。

「プレミアリーグ226試合33ゴール31アシスト」と7年の足跡を記した瞬間、彼ほどスタッツで語られないアタッカーは珍しいのではないかと思いました。2013年の夏に、ジョゼ・モウリーニョと同時にブルーズに加わった小柄なブラジル人は、ヒディンク、コンテ、サッリ、ランパードと、すべての監督に重宝されるバイプレーヤーでした。豊富な運動量、上下動を厭わない献身的な姿勢、ボックス周辺からの強烈なシュート、プレミアリーグ屈指のプレースキック。ESPNブラジルのインタビューに応え、「自分は今、ピークにある。キャリアを積むごとにプレイは向上している」と胸を張ったウィリアンが描く自らの将来に、耳を傾けてみましょう。

「プレミアリーグに留まりたいけど、他国のリーグでプレイする機会を排除するつもりはない」
「シーズンの終わりまでやって、その後何が起こるかを見てみたい。イギリスでの生活にはとても慣れている」
「コリンチャンスへの復帰は考えたこともない。ヨーロッパに残るのが目標だ」

「今のところは、これといったオファーはない」と語ったウインガーをほしがるのは、どこでしょうか。ビッグ6とレスター、ウルヴスは、彼のポジションに若いタレントを揃えており、サブにまわされるリスクが高そうです。最もフィットしそうなのは、ソン・フンミンとベルフワインに匹敵する選手を置きたいトッテナムでしょうか。「モウリーニョとは、とてもうまくやってきた。彼の下で多くを学び、友人であり続けた」と語る31歳に、あちらから声がかかる可能性は低くありません。

中堅以下のクラブに目を向けると、ウィルフリード・ザハに移籍の噂が絶えないクリスタル・パレス、サイドアタッカーに伸び悩む選手が多いニューカッスル、ライアン・フレイザーの未来が不透明なボーンマスあたりにニーズがあるのではないかと思われます。若手を試しているサウサンプトンも、ジェネポやヴァレリの模範となるベテランはウェルカムでしょう。選手層が薄く、高齢化が気になるバーンリーも、ジェイ・ロドリゲスやアーロン・レノンよりもウィリアンと考えるかもしれません。

ひとつだけ、勧めるとしたら、ガリー・ケーヒルがすんなり溶け込んだクリスタル・パレスです。ベンテケとタウンゼントが不振のチームならレギュラー当確。クロスが439本でリーグ19位、セットピースから5ゴールはリーグ17位で、ニューカッスルとノリッジの次に少ない26ゴールと得点力不足に悩むチームは、彼の正確なキックが活かされるのではないかと思います。ロイ・ホジソンと主力の高齢化は気になりますが、何しろロンドンのクラブです。イギリスに来て8年めとなるベテランにとって、暮らしやすさは大きなポイントとなるのではないでしょうか。どうする、ウィリアン。4ヵ月後の居場所に注目です。