偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ6節で2勝3分1敗。夏のビッグディールで期待が膨らんだブルーズサポーターにとって、11位に沈んでいる現状はもの足りないのではないでしょうか。本日の対戦相手は、今季プレミアリーグで未だ勝利がないバーンリー。ランパード監督は、超攻撃的布陣で押し切ろうとしているようです。GKエドゥアール・メンディ、DFリース・ジェームズ、ズマ、チアゴ・シウヴァ、チルウェル。MFカンテ、カイ・ハヴェルツ、メイソン・マウント、FWツィエク、タミー・アブラハム、ヴェルナー。キックオフからプレスをかけ、チェルシーのパスコースを絞っていたバーンリーが4分に決定機を創りました。

ロートンのロングフィードがズマの頭を越え、裏を狙っていたアシュリー・バーンズに通ります。ストライカーとGKが1対1となり、メンディが鋭い飛び出しで足元に入ると、10番はフィニッシュを浮かしてしまいました。ピッチを脱したチェルシーは、ポゼッションを取って攻め続けます。チルウェルとリース・ジェームズのポジションは高く、速いパスが入るとシンプルに縦に持ち込んで勝負。15分に右のSBがボックス右からクロスを入れると、走り込んだ左SBは惜しくも触れず。1分後、カンテのクロスが中央のタミー・アブラハムの頭を捉えますが、ヘディングシュートはポープが枠の裏にクリアしました。

執拗に右サイドを崩しにかかるチェルシー。カイ・ハヴェルツとリース・ジェームズのクロスは、いずれもニアでブロックされてしまいます。26分の先制ゴールのシーンは、やはり右。ツィエクの縦パスでボックス右に入ったヴァルナーが折り返し、ニアのタミー・アブラハムが後ろに落とすと、DFの股間をすり抜けてきたツィエクの鋭いシュートにポープは反応できませんでした。ゴールが必要となったバーンリーですが、ロングフィードを2トップに当てる以外に手立てがありません。中央はカンテと2人のCBがケアしており、中盤が押し上げなければチャンスは創れないでしょう。

カンテを外に釣り出すことに成功した40分のアタックは、スティーブンスからの縦パスを受けたアシュリー・バーンズがマクニールに戻し、左に展開。久々に攻め上がったテイラーは、グラウンダーを味方に通せません。45分、リース・ジェームズがアーリークロスを入れると、ロングのクリアがヴェルナーに当たってニアを襲いますが、ポープが冷静にキャッチしました。前半は0-1、完全なるチェルシーペース。後半開始からしばらくは、攻めの枚数を増やしたバーンリーが攻勢に転じましたが、チェルシーの中盤の寄せが速く、バイタルエリアの手前でカットされるシーンが目立っています。

51分、右でキープしたカイ・ハヴェルツが逆サイドに転がすと、メイソン・マウントのダイレクトショットはポープの正面。57分のアシュリー・バーンズのミドルは、左ポストの脇を抜けていきます。押されていたアウェイチームが、追加点を決めたのは63分。メイソン・マウントのCKは、タルコフスキーは触れずズマには届く絶妙の弾道でした。CBの強烈なヘッドがゴール右に突き刺さり、2点のビハインドを背負ったホームチームは、70分に決定的な3点めを許してしまいました。

ウェストウッドのパスをインターセプトしたリース・ジェームズが脇にいたツィエクに預けると、左足のスルーパスがボックス左に走り込んだヴェルナーに通ります。ドイツから来たストライカーのプレミアリーグ3発めは、右のサイドネットに吸い込まれる完璧なフィニッシュ。ランパード監督は、勝ちましたよと宣言するかのように次々に選手を代えていきます。

73分に1ゴール1アシストのツィエクが下がり、ハドソン＝オドイ。77分にはタミー・アブラハムをジルーにスイッチし、86分にカイ・ハヴェルツをジョルジーニョで3点差キープをめざします。バーンリーはオンターゲットゼロのまま、タイムアップとなりました。プレミアリーグで最も多くの費用を新戦力に投入したクラブが、ブライトンにいたスティーブンスしか獲らなかったクラブに0-3快勝。チェルシーの超攻撃的な布陣が成立したのは、チルウェルとリース・ジェームズの上下動のセンス、メイソン・マウントの献身的な守備、カイ・ハヴェルツの豊富な運動量があったからでしょう。

2試合連続で相手のアタックをゼロに抑えたランパード監督のチームは、暫定ながら4位に浮上。首位リヴァプールと4ポイント差は、優勝を狙えるポジションです。7人のニューフェイスが全員フィットし始めているのが脅威で、まだまだ伸びしろは充分。スタンフォード・ブリッジで迎え撃つCLのレンヌ戦と週末のシェフィールド・ユナイテッド戦は、攻守のバランスが向上した新チームのゴールラッシュを期待しましょう。