偏愛的プレミアリーグ見聞録

2020年最後のプレミアリーグは、ニューカッスルVSリヴァプールの一戦です。首位に立っているものの、勝ち切れない試合が増えた昨季チャンピオンは、負傷者続出で苦しかった年を勝利で締めることができるでしょうか。開始直後から積極的に攻めているのは、ホームのニューカッスル。序盤のCKとFKを先に触っており、主力のCBを全員欠いたレッズは守り方の修正を迫られています。

プレミアリーグ先発3試合めのナット・フィリップスを抜擢したクロップ監督は、中盤インサイドに負傷明けのミルナーを起用しています。GKアリソン、DFアーノルド、ファビーニョ、ナット・フィリップス、ロバートソン、MFミルナー、ヘンダーソン、カーティス・ジョーンズ、FWサラー、フィルミーノ、マネ。12分に縦パスがラインの裏に入り、カラム・ウィルソンがナット・フィリップスを抜き去ってゴール脇に躍り出ます。アリソンと1対1になった瞬間、間に合ったファビーニョが足を出してシュートをブロック。ニューカッスルは、最初の決定機を活かせませんでした。

レッズの最初のオンターゲットは16分。ミルナーの左足ミドルは、GKダーロウが左に反応してキャッチしました。1分後、ボックス手前でボールをキープしたカラム・ウィルソンが右から上がったイェドリンに展開。右足のダイレクトショットは、ゴール前を横切ってファーポストの外に抜けていきました。18分のCKもホームチームが競り勝ち、左に流れたボールをマット・リッチーがボレー。カーティス・ジョーンズがコースに入り、足に当たったボールはタッチラインを割りました。

押されていたレッズの反撃は24分。左サイドで3人をかわしたマネのラストパスは、内から上がったカーティス・ジョーンズに通りません。直後、きれいなサイドチェンジを受けたマネが中のサラーにパスを通し、落としをもらったミルナーがボックスに入ったアーノルドに長いボールを入れますが、SBがダイレクトで蹴ったボールはダーロウの守備範囲にいってしまいました。32分、ロバートソンの高速アーリークロスは、フィルミーノがトラップミス。34分には、最終ラインと入れ替わったサラーにヘンダーソンの浮き球が通りますが、ダーロウと1対1になったエースは左足のフィニッシュを足で阻まれてしまいました。

40分、右からのパスをニアで受けたマーフィーが反転して放った左足ミドルは、アリソンがニアポストの前でキャッチしました。42分に中央から突破を図ったのはフィルミーノ。カットされたボールを奪い返し、前のサラーに転がしたラストパスは、必死に戻ったイェドリンがクリアします。前半は0-0。49分のニューカッスルのカウンターは、4対2になりかけた瞬間、ファビーニョがイエロー覚悟のチャージでイェドリンを止めました。

54分、レッズの右からのCKは、ニアに入ったマネのヘッドがニアポストの脇にアウト。レッズの直線的なアタックもニューカッスルのカウンターも、ラストパスの精度が低く、シュートチャンスがありません。66分、ハーフライン付近で2人かわしたフィルミーノが右にいたサラーを走らせた速攻は、シェアをかわしたサラーの決定的なシュートが左に逸れていきました。クロップ監督は、67分にカーティス・ジョーンズをワイナルドゥム。スティーヴ・ブルース監督はマーフィーをアルミロンにスイッチします。

交代直後のCKは、ダーロウの裏で待っていたフィルミーノが、無人のゴールにヘディングを収められず。73分にミルナーが下がり、チアゴ・アルカンタラが2ヵ月半ぶりにプレミアリーグに戻ってきました。79分、マット・リッチーが右から蹴ったFKをクラークがヘッドで叩くと、右隅に飛んだボールはアリソンの素晴らしいセービングでCK。88分のレッズのCKは、フィルミーノの決定的なヘッドをダーロウが右に飛んでセーブしました。昨季プレミアリーグ王者は攻めきれず、今季初のノーゴールでスコアレスドローに終わりました。

サラーが2度の決定機をものにできず、フィルミーノもいくつかのチャンスでプレイの精度を欠いてしまい、アーノルドのキックも味方に合いませんでした。消化が1試合少ないマンチェスター・ユナイテッドとは3ポイント差、エヴァートンとは4ポイント差。WBA戦とニューカッスル戦の連続ドローでライバルに対するアドバンテージを失ったリヴァプールは、勝ち点を落とせなくなりました。

次節はやっかいなセインツ、その次は2位マンチェスター・ユナイテッドとの直接対決。立て直すべきはレギュラーCBを欠いた守備ではなく、突如湿り始めた攻撃です。ようやく戻ってきたチアゴとチャンバレンによる中盤の活性化、時々迷いが見られるアーノルドの完全復活とともに、チャンスがまわってくるであろう南野拓実にも大いに期待したいと思います。