偏愛的プレミアリーグ見聞録

オールド・トラフォードで、ラファエル・ヴァランが手を振っています。プレミアリーグ2021-22シーズン開幕節、マンチェスター・ユナイテッドVSリーズ・ユナイテッド。スーツを着たフランス代表CBはゲームには出られませんが、ホームのサポーターのテンションを高めるという大事な役割を果たしました。

2日前に契約を延長したばかりのマルセロ・ビエルサ監督は、ユーロ2020で奮闘したカルヴァン・フィリップスをベンチに置いています。マンチェスター・ユナイテッドは、ラシュフォードとカバーニを欠いていますが、ブルーノ・フェルナンデスとポグバを2列めに並べています。GKデ・ヘア、DFワン＝ビサカ、バイリー、リンデロフ、ルーク・ショー。中盤センターはマクトミネイとフレッジ、2列めはダニエル・ジェームズ、ブルーノ・フェルナンデス、ポグバ。最前線は昨季プレミアリーグで7ゴールに留まったメイソン・グリーンウッドです。

キックオフから、積極的にサイドを攻めるマンチェスター・ユナイテッド。マクトミネイが右から放ったシュートとブルーノの左からのクロスは、白いシャツにブロックされてCKです。6分にマクトミネイが中央から仕掛けた速攻は、グリーンウッドのミドルをGKメリエがキャッチ。11分にハフィーニャのバックパスが逸れ、パスカル・ストライクのキックがグリーンウッドに当たってゴールに向かいますが、メリエが必死に手を伸ばしてCKに逃れました。

2分後、ハーフライン付近で奪ったグリーンウッドが、ひとりかわして真ん中からスプリント。左でフリーだったポグバがラストパスをもらってGKと1対1になりますが、右足でまたいで左で触るトリッキーなシュートを左に外してしまいました。16分には、左に展開してリターンを受けたクリヒが右隅を狙うも、読んでいたデ・ヘアが横っ飛びでセーブ。25分にハフィーニャが左から蹴ったFKにロドリゴが飛び込みますが、余裕がないヘッドは左に逸れていきました。

30分、メリエのゴールキックをカットし、マクトミネイが左のポグバに長いボールを通すと、ラインの裏に浮かしたダイレクパスでブルーノ・フェルナンデスがフリー。今季プレミアリーグ初ゴールは、飛び出したメリエの足に当ててねじ込む左足の強引な一撃でした。36分、ルーク・ショーの左からのスプリントで速攻スタート。ブルーノとのポストプレーで中に入ったSBが、ダニエル・ジェームズにフィニッシュを託すと、ダイレクトショットは右に外れました。

45分、ポグバのパスをボックスの左コーナーで受けたダニエル・ジェームズのミドルはミートせず。前半を1-0で終えた昨季プレミアリーグ2位チームは、後半開始直後の49分にアイリングにスーパーミドルを叩き込まれてしまいました。緩いチェックで失点の原因となったポグバは、52分に左から上がったグリーンウッドへの完璧なスルーパスで責任を取ります。ボックスに侵入した11番の強烈なシュートは、右のサイドネットに突き刺さる文句なしの1発でした。

さらに54分、右に出た6番が縦にスルーパスを走らせ、ブルーノ・フェルナンデスがフリー。追いついてきたフィルポを切り返しでかわしたエースが左足でシュートを放つと、ゴールに入ったアイリングがクリアしますが、ゴールラインテクノロジーが3点めを認めました。60分にリンデロフのロングフィードで裏に抜けたのは、またしてもブルーノ。後ろからのボールをしっかりミートした右足のボレーで、ハットトリック達成です。

67分、ジェイドン・サンチョがアップをスタート。マクトミネイのパスを受けたグリーンウッドが左から上がったポグバを走らせ、美しいグラウンダーをフレッジがダイレクトで決めたのは68分でした。残り20分の手前で、マクトミネイに代わってマティッチ。ジェイドン・サンチョのプレミアリーグデビューは74分でした。ダニエル・ジェームズと4アシストのポグバが下がり、マルシアルは最前線に入っています。

3点差になったとき、完全に切れたリーズが執拗なプレスを再開したのは、ビエルサに求められたからでしょう。マンチェスター・ユナイテッドは無理に攻めようとせず、ドルトムントから来たウインガーはピッチの感触を確かめただけで終わりました。5-1、圧勝！ブルーノ・フェルナンデスの開幕戦ハットトリックは、マンチェスター・ユナイテッドでは44年ぶりの快挙。昨季プレミアリーグで26試合3ゴール3アシストだったポグバは、最初の試合で上回ってしまいました。

バイタルエリアでのチェックや右サイドからの攻め方など、気になるところはありましたが、エースの3発とプレイメーカーの4アシストを堪能させてもらった日は、ハイライトを見ながら勝利の余韻に浸りたいと思います。次節はセインツ、3節はウルヴス。ジェイドン・サンチョとヴァランは、8月の終わりにはフィットしてくれるでしょう。マン・シティ、チェルシー、リヴァプールは難敵ですが、弱点をカバーする補強に成功した今季こそは、春まで優勝を争えるポジションに付けてもらえればと思います。いやー、素晴らしい！