【Chelsea×Aston Villa】 またもやベンテケ!テリーのハンドは…チェルシー、薄氷の勝利
前半6分、アザールが左からスルーパスに抜け出し、右隅を狙ったシュートがDFに当たってゴールインしたときは、こんなに早い時間に失点してしまってはチェルシーを脅かすことなどできないだろうと思っていました。昨季の記憶が鮮明に残っていたわけでもないのでしょうが、アストン・ヴィラは失点を恐れ、極端に引いたフォーメーションです。チェルシーに追加点をやらない、という目標は達成できるかもしれませんが、既に0-1。同点に追いついて勝ち点1得るイメージすらまったく湧きません。前半終了間際までは、モウリーニョ監督の想定内でゲームは進行していたはずです。そしてそれは、スタンドのサポーターも、テレビの前で観戦していたプレミアリーグファンも同じだったのではないでしょうか。チェルシーが1-0で折り返し、そのまま順当に連勝する、と。
しかし前半の追加タイム、日本で眠い目をこすりながら観ていたファンの眼をさますような、驚愕の同点ゴールがチェフの右サイドを襲います。シュートの主は、クリスティアーノ・ベンテケ。彼が右からのグラウンダーを受けた時は、まさかシュートが枠に飛ぶとは思いませんでした。柔らかいトラップの後、恐るべきベルギー代表が振りぬいた左足から放たれたシュートは、このコースしかないという究極のピンポイント。ニアサイドから左ポストを叩いて枠に飛び込むボールに対し、チェフは反応したものの、まったく触れることはできません。アストン・ヴィラ、1-1の同点。最高の時間に最高の役者が仕事を果たし、ゲームは振り出しに戻りました。
後半になると、勝ち越しを狙うチェルシーのスキを突いて、アストン・ヴィラがゴールを脅かし始めます。中心となったのは、アーセナルを絶望の淵に追い込み、ため息をつかせた曲者アグボンラホル。61分にあわやというシュートを放ち、試合終了間際にはテリーの疑惑のハンドを誘発した26歳のプレイに、チェルシーは最後まで悩まされ続けます。そしてもうひとりはヴァイマン。63分が、このゲームの勝負の分かれ目。ベンテケのクロスをボレーで叩いた彼の決定的なシュートを、チェフがファインセーブで止めなければ、最終スコアは逆になっていたでしょう。
しかし、チェルシーは耐えました。そして、ここを乗り越えたことが、73分のイヴァノヴィッチの一発につながります。2-1とした後、終了直前のテリーのハンドには、ケヴィン・フレンド主審の笛は鳴らず。ポール・ランバート監督に「イヴェノヴィッチのベンテケへのひじ打ちと、テリーのハンドを見逃したのは明らかに誤審」と嘆かせ、モウリーニョ監督にすら「ドローで終わっていたとしてもアンフェアな結果ではない」と言わしめた微妙なゲームは、ホームチームの薄氷の勝利で幕を閉じました。いや、お見事、アストン・ヴィラ。
このゲームから見えてきたことが、2つあります。ヨーロッパ・スーパーカップを控えてターンオーバーを敷くモウリーニョ監督は、来週の大一番、マンチェスター・ユナイテッド戦でマタとランパードを使う気はなさそうというのがひとつ。これは、彼らはチームの中心ではない、というメッセージにも取れますが、どうでしょうか。そしてもうひとつは、エースのベンテケが「個性の違う選手が揃っているのがいい」と胸を張る、アストン・ヴィラの3トップは相当脅威だということです。20番を付けた大男に気を取られ過ぎると、伏兵ヴァイマンとアグボンラホルに一気に足をすくわれます。最初の3ゲームで何失点するのかと思われていたバーミンガムの古豪は、トップ4との2戦を勝率5割、得失点差プラス1で乗り切ってしまいました。今週末当たるリヴァプールのみなさん、くれぐれもご注意を。
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ベンテケはプレミアでもトップクラスのFWだと思うのですがアストンヴィラは上位チーム以外との試合でも引いて前線に放り込む戦いをしそうですか?
またどのへんの順位になりそうですか?
ウェーバーさん>
ヴァイマン、アグボンラホルと前が3枚いるので、放り込むというよりはサイドを使ってくるのではないでしょうか。その意味では、チェルシー戦の同点ゴールは狙い通りなのだと思います。今季はかなり気合の入った補強をしており、既にアントニオ・ルナは機能しはじめ、これからヘレニウスも出てくると思われます。大きなケガ人さえなければ、順位でいえばトップ6の下、スウォンジー、サウサンプトン、エヴァートンあたりと中位を争うのではないかと見ています。