【Arsenal×Everton】今季プレミアリーグのベストバウト。エヴァートンが粘ってガナーズの独走をストップ!
前半25分までは明らかにエヴァートンが優勢でしたが、それにしても素晴らしかったのが、90分にわたってルカクを完封したCBコシールニーのマークと読みの確かさです。エヴァートンが強豪との戦いに競り勝ち、自身を強めたのに対して、ガナーズの自信は首位に立った3ヵ月前からどんどん深まり、熟成されています。ルカクよりスピードでは劣り、純粋な駆けっこでは勝てないコシールニーですが、彼は「どんなに速いFWでもボールを蹴る瞬間はトップスピードで走れない」ことを熟知しており、ドリブルで持たせつつ、パスやシュートの瞬間にはきっちり足元に入り、カットしたボールを確実に味方につなげます。
DFの奮闘でピンチをやり過ごし、ようやくホームチームにチャンスが訪れたのは26分。速攻から右サイドでカソルラがフリーになり、中央から出たボールをダイレクトで中に入れると、走り込んでいたのはギブス。あと30センチ前に足を伸ばせれば先制、というシーンでしたが、ギブスはわずかに届かず、ボールはゴールラインの外へ転がっていきます。ボールポゼッション比率38:62という信じられない数字が前半のスタッツとして出てましたが、ボールを支配するエヴァートンに対し、決定的なシーンの数はアーセナルのほうに分がありました。前半終了間際には、ジルーのダイレクトパスに反応して裏に抜けたウィルシャーがGKハワードに阻まれ、惜しくもゴールならず。前半は0-0のまま折り返します。
いつも思うことですが、ハーフタイムの指示でチームを改善することにかけては、アーセン・ヴェンゲル監督はプレミアリーグどころか世界有数の監督なのではないでしょうか。この日も、後半が始まってからのアーセナルは、前半が嘘だったかのように攻勢に転じました。50分、右サイドからのエジルのクロスをゴール前でウィルシャーが左足で落とし、カソルラがダイビングヘッドを狙いますがGKハワードがセーブ。56分にはラムジーのボレーがゴールを襲います。対するエヴァートンも、カウンターからバークリーやピーナールがミドルシュートを放ち、敵地での勝ち点3に意欲を示します。
両チームとも守備意識が高く、中盤での寄せが速いので、なかなか得点が奪えません。この状況を打開すべく、ヴェンゲル監督が勝負に出たのは68分。パスミスやボールロストが多かったラムジーと、カソルラ、ウィルシャーを下げ、ロシツキ、フラミニ、ウォルコットを投入する3枚替えです。一気にカードを使い切るというギャンブルでしたが、これは明確に「吉」と出ました。71分にフラミニがゴール左数10センチにわずかに切れるミドルシュートを放つと、80分にはロシツキが左サイドからチャンスメイク。逆サイドに出した彼らしい正確なクロスがウォルコットに渡り、14番がこれを丁寧に中央に落とすと、ゴール前で反応したのはジルーとエジル。まずはジルーが左足で狙いますが見事に空振り、つられたDFをあざわらうかのように、珍しく右足で強く蹴り込んだのは左にいたメスト・エジル!アーセナルがついに先制です。
1-0となった瞬間、アーセナルの勝利は間違いないと思いました。何しろ、プレミアリーグとチャンピオンズリーグで、ここ4試合をすべてクリーンシートで片付けている鉄壁のディフェンスです。エヴァートンがここから追いつくイメージはまったくなかったのですが…。しかし、ガナーズのリードはたったの4分で終わりました。84分、同点ゴールを決めたのは、バークリーに代わって途中出場の19歳、デュルフォー。逆襲からペナルティエリア右にいた彼にボールが出ると、マークに入ったのは左SBのキーラン・ギブス。デュルフォーは、フェイントを2回入れてギブスを一瞬だけかわすと右足を振り抜き、GKシュチェスニーの無失点を507分で止める一発を強引にねじ込みます。ホームでは勝ち点3がほしいアーセナルは、すぐさま逆襲。90分、ゴール前に上がった浮き球をフリーで蹴り込もうとしたフラミニは気負って空振り。残り5秒で放ったジルーの左足ミドルはポスト!結局、勝ち越しはならず。両者勝ち点1ずつという妥当な結果で白熱の一戦は幕を閉じました。
いやいや、おもしろかった!こんなゲームを見せられたら、ビールと緑茶ハイが止まらなくなります。今季プレミアリーグのベストバウトといってもいい、素晴らしく質の高いゲームでした。エヴァートン、強い!彼らは、マンチェスター・ユナイテッド戦より断然、よかったですね。そしてアーセナルの最大の強みが、プレミアリーグで最高のCB、コシールニーを中心とした堅い守備にあることも再認識しました。いいゲームの後は、先のことは考えず、ただただ両チームの選手とスタッフに惜しみない拍手を送りたくなります。おつかれさま、ありがとう!(ジェラール・デュルフォー 写真著作者/Catherine Kõrtsmik)
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