【Hull City×Tottenham】1枚のレッドカードで舞台は激変!トッテナムが劇的なゴールで逆転勝利!
イェラヴィッチ、ガストン・ラミレス、ベナルファ、ハドルストーン、ブレイディ、リヴァモア。中堅から下位のクラブならチームの顔となり、上位クラブでもそれなりの出番がもらえそうな選手が並ぶ、ハル・シティ自慢のFW&MF陣。19分にはGKロリスのファンブルを拾ったガストン・ラミレスのシュートをDFが必死にブロック。20分、右サイドに流れたイェラヴィッチのクロスが走り込んだブレイディにピタリと合いますが、ゴールの隅を狙ったシュートはロリスがビッグセーブ。直後のガストン・ラミレスの左からのシュートは、ロリスがセーブしたボールがベナルファの真ん前へ。これが入っていれば、ホームチームの完勝でゲームは終わっていたかもしれませんが、左足のシュートはゴールの上へ外れ、2度にわたってまずいプレイをしてしまったロリスは胸をなでおろします。
トッテナムのチャンスは、ソルダード、エリクセン、ラメラのミドルシュートぐらいで、いずれもGKの正面か枠の外。古巣トッテナムを夏に追われたドーソンが仕切るハル・シティの最終ラインは冷静で、トッテナム攻撃陣のゴール前への侵入を許しません。ハーフタイムを迎えたとき、トッテナムはリヴァプールと枕を並べて討ち死にするだろうと思いました。ハル・シティとクリスタル・パレスには共通項があり、同格のチームと戦うと守備の不安定さを突かれてあっさり負ける一方で、プレミアリーグ上位クラブ相手に集中すると、互角以上の試合をして相手を苦しめます。アーセナルやリヴァプールが勝てなかったクラブに、トッテナムは手もなく敗れ去るだろう、と。50分までは、ホームチームの順当勝ちに向かってゲームは進んでいたはずです。しかし、ここで起こった事件が、この試合をまったく別なものにしてしまいました。
激しいチャージを受けて転倒したガストン・ラミレスが、倒れながらフェルトンゲンの足を蹴ってしまう報復行為。彼を倒したのはデンベレとメイソンなのに、なぜまったく関係なかったフェルトンゲンに足を出したのでしょうか。ゲームは止まり、副審の報告を聞いた主審のジャッジは、やむなしの一発レッド。トッテナムは、これで息を吹き返します。
61分、同点ゴールの立役者は、最近途中交代が多かったエリクセン。ゴール正面、20メートルほどの距離から狙った得意のFKは、きれいなカーブで左のポストにヒット。このボールに反応し、ダイレクトで蹴り込んだのはハリー・ケインでした。同点となった後は、完全なるトッテナムペース。とりわけよかったのは、左右に球を散らしてチャンスを創っていたエリクセンと、再三ゴール前にきわどいクロスを送っていた途中出場コンビのレノン&キリケシュ。66分、この日は右SBで起用されたキリケシュは、縦に走り込んでもらったパスをダイレクトでゴール前へ。フリーでシュートを放ち、左に逸らしたソルダードは、絶対に決めなければならないボールでした。その1分後には、レノンのクロスにかぶったCBドーソンの裏からハリー・ケインがフリーでヘッド。72分、左から2人をかわして中に持ち込んだラメラの右足はゴールの上。決定的なシュートをことごとく外したトッテナムは、80分を過ぎるとトーンダウンします。
時計の針は90分に近づいています。残り時間はありません。しかし、トッテナムがリヴァプールと違ったのは、中央に侵入する人数とその運動量でした。サイドを入れれば6~7人、中央だけでも4~5人がチャンスとみればゴール前に入り込み、パスコース、シュートコースを創ってハル・シティの守備をこじ開けようとします。彼らの努力が実ったのは、残り1分。エリクセンのミドルシュートは、前半に喰らったリヴァモアの一発と、ほぼ同じ弾道を描いて左のサイドネットに吸い込まれます。このゴールは、打ったエリクセンだけでなく、23番にパスが出た瞬間、縦に走ってDFを連れていったハリー・ケインもほめるべきでしょう。貴重な勝ち点3を積み上げたスパーズは、ノースロンドンのライバル・ガナーズと勝ち点で並ぶプレミアリーグ9位となり、チャンピオンズリーグ出場権の4位まで、勝ち点差2に迫りました。
トッテナムは、プレミアリーグとヨーロッパリーグで、5戦連続で1-2。期間中はホーム全敗、アウェイ全勝なので、表記するとすべて「1-2」となる不思議な記録です。次戦、ヨーロッパリーグはホームでパルチザンと、プレミアリーグもホワイト・ハート・レーンでEL出場組対決のエヴァートンですが、大丈夫でしょうか。2週間前、アデバヨルが「ホームのサポーターが応援してくれない。ブーイングは堪える」と発言し、直後に慌ててサポーター批判ではないと釈明しましたが、この記録をみると、彼の発言はあながち外れていないのかもしれません。スパースサポーターのみなさん、今週末は、優しい気持ちで応援してあげてはいかがでしょうか。プレミアリーグのアウェイ戦では、2試合連続の終了間際の勝ち越しゴール。みなさんの応援する選手たちは、最後まで諦めないタフな選手たちのようです。
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